「合同会社の利益相反行為について」登記インターネット第88号(2007年3月1日号)by 監修東京法務局民事行政部不動産登記部門
登記インターネットの「相談事例」に標記Q&A及び解説が掲載されている。要旨は、社員が1名である合同会社において、当該社員と合同会社の間で利益相反する場合には、不動産登記申請における添付情報として、会社法第595条第1項ただし書の定款の別段の定めを証するため、定款の添付が必要である、とするものである。理由として、「社員が1名の場合は承認そのものが受けられず、定款に承認を受けることを排除する旨の規定が必要になってくるものと考えられます。」とある。
しかし、合同会社において利益相反取引を規制する趣旨は、「他の社員の保護」にあるのであり、社員が1名である合同会社においては、そもそも利益相反の問題は生じないのであって、会社法第595条の適用はないと考えるべきである。
cf.
平成18年6月24日付「合同会社における利益相反取引の承認」
ただし、合同会社においては、業務を執行する社員の氏名等のみが登記事項となっており、登記事項証明書からは社員が1名であることは判じない(合名会社においては、社員全員の氏名等が登記事項である。)ので、社員が1名であることを証するために定款の添付が必要となると言えなくはないが。