平成20年4月24日付京都地裁判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36361&hanreiKbn=03
「遺産中に存する金銭債権は,相続開始とともに法律上当然に分割され,各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解せられる(最高裁判所昭和29年4月8日判決・民集8巻4号819頁参照)。しかしながら,・・・本件当事者全員は,・・・遺産である預貯金債権,不法行為に基づく損害賠償請求権及び貸金返還請求権をいずれも遺産分割の対象とすることに合意したものであるところ,これは,本来の分割債権を,相続人の間では,相続開始時に遡って不可分債権とするとともに,これを再分割する方法又は履行を受けた金銭を分配する方法を遺産分割協議に委ねる旨の意思表示であると解することができる。」
「遺産分割の対象は,遺産分割時に現存する遺産であるから,相続開始後遺産分割が成立する以前に一部の相続人がこれを処分,費消した財産は,遺産分割の対象財産から逸失することになる。しかしながら,遺産分割が成立する前に分割対象財産を管理する相続人は,他の相続人の同意なくこれを処分,費消することができないから,これをした場合,その相続人に対する損害賠償請求権が遺産の代償財産として遺産分割の対象となると解するのが相当である。」
本判決は、遺産分割の対象について、相続開始後に生じた変動もすべて、遺産分割において考慮すべき一切の事情に含めようとする立場を採っている。妥当ですね。