月刊登記情報2007年3月号に、松本真法務省民事局付検事・清水毅同局付「商業登記実務のための会社法Q&A(7)」があり、会社分割と株式の譲渡承認に関して、次の一節がある。
「譲渡制限株式制度(会社法2条17号参照)における「譲渡による取得」に一般承継による取得を含まないものとする趣旨(Q1参照・本誌543号26頁)に照らしても、会社分割によって譲渡制限株式が承継される場合をことさら「譲渡による取得」から除外する理由はない。したがって、ここにいう「一般承継」には、会社分割による承継が含まれないことは明らかである。」
本問は、吸収分割会社が有する資産である「他の株式会社の株式」を、吸収分割により、吸収分割承継会社に承継させることが、「譲渡」であるのか、「一般承継」であるのか、すなわち当該株式が譲渡制限株式である場合に、譲渡承認の対象となるのか、あるいは相続人等に対する売渡し請求の対象となるのかという問題である。
「譲渡」とは、意思表示、すなわち契約に基づく移転行為を意味する。吸収合併や吸収分割も契約によるわけであるから、「譲渡による取得」に含める余地がないとは言えない。しかし、その契約は、株式の譲渡を直接の目的とするものではなく、吸収合併又は吸収分割の効果として株式が移転するわけであるから、正しく一般承継であって、「譲渡」には含まれないと従来解されていた。上記解説のように、吸収分割による株式の取得を「譲渡による取得」と解するのであれば、吸収合併による場合も同様に解すべきことになる。
また、登記情報の解説(543号26頁)の論旨は、相続や合併の場合は「従前の株主が存しなくなる」から承認不要とすべきというだけである。会社法の立案過程において、議論がされたものの結局、株式の移転一般に株式会社の承認を認めることとはせず、「譲渡による取得」についてのみ承認の対象とする取扱いを維持し、「相続その他の一般承継」については、定款の定めによる売渡し請求という制度を新設したものであることに鑑みても、会社分割による承継を「譲渡による取得」に含ませるのは不合理であろう。
会社分割は、組織法上の行為であり、これによる株式の承継は、株式の譲渡を直接の目的とする契約に基づくものではないので、やはり「相続その他の一般承継」に含まれると解さざる得ないであろう。従来の解釈を変更するのであれば、「譲渡」「相続その他の一般承継」に代わる区分を立法で手当てすべきであり、そうでなければ実務は混乱する。
「譲渡制限株式制度(会社法2条17号参照)における「譲渡による取得」に一般承継による取得を含まないものとする趣旨(Q1参照・本誌543号26頁)に照らしても、会社分割によって譲渡制限株式が承継される場合をことさら「譲渡による取得」から除外する理由はない。したがって、ここにいう「一般承継」には、会社分割による承継が含まれないことは明らかである。」
本問は、吸収分割会社が有する資産である「他の株式会社の株式」を、吸収分割により、吸収分割承継会社に承継させることが、「譲渡」であるのか、「一般承継」であるのか、すなわち当該株式が譲渡制限株式である場合に、譲渡承認の対象となるのか、あるいは相続人等に対する売渡し請求の対象となるのかという問題である。
「譲渡」とは、意思表示、すなわち契約に基づく移転行為を意味する。吸収合併や吸収分割も契約によるわけであるから、「譲渡による取得」に含める余地がないとは言えない。しかし、その契約は、株式の譲渡を直接の目的とするものではなく、吸収合併又は吸収分割の効果として株式が移転するわけであるから、正しく一般承継であって、「譲渡」には含まれないと従来解されていた。上記解説のように、吸収分割による株式の取得を「譲渡による取得」と解するのであれば、吸収合併による場合も同様に解すべきことになる。
また、登記情報の解説(543号26頁)の論旨は、相続や合併の場合は「従前の株主が存しなくなる」から承認不要とすべきというだけである。会社法の立案過程において、議論がされたものの結局、株式の移転一般に株式会社の承認を認めることとはせず、「譲渡による取得」についてのみ承認の対象とする取扱いを維持し、「相続その他の一般承継」については、定款の定めによる売渡し請求という制度を新設したものであることに鑑みても、会社分割による承継を「譲渡による取得」に含ませるのは不合理であろう。
会社分割は、組織法上の行為であり、これによる株式の承継は、株式の譲渡を直接の目的とする契約に基づくものではないので、やはり「相続その他の一般承継」に含まれると解さざる得ないであろう。従来の解釈を変更するのであれば、「譲渡」「相続その他の一般承継」に代わる区分を立法で手当てすべきであり、そうでなければ実務は混乱する。