朝日新聞記事
http://mytown.asahi.com/areanews/tottori/OSK201011130103.html
鳥取の行政書士vs大阪弁護士会事件につき,朝日新聞がまとめている。
そもそも書類の作成だけ行っているのであれば,顕名しないので,非弁の謗りを受けることはないはずだが,おそらく「作成代理人」と顕名しているのであろう。そして,「作成代理人」と相手方の間でやり取りが行われ,代理人による交渉と思しきものになったのであろう。
記事は,弁護士法第72条に関する「事件性必要説」と「事件性不要説」を紹介しているが,事件自体は,紛争事案であり,いずれにしても弁護士法第72条の範疇に入る。問題は,同条ただし書の「他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない」にあたるか否かである。すなわち,行政書士法の範囲内の業務を行っただけであるのか,それともそれを飛び越えて,代理人として相手方と交渉を持ってしまったのか,である。
記事中,「依頼を受けて書類作成などをした後,急に相手側と衝突して紛争性が出てくることもあり」とあるが,そうであれば,ただちに事件から下りるのが筋であって,関与を持ち続ければ,弁護士法第72条違反の問題が生ずるのは当然であろう。
司法書士の場合は,「民事に関する紛争」に関する制約された代理権であるので,代理権の範囲内であるか否かについて,神経質にならざるを得ない。また,「事件性必要説」を前提としても,目前の事件が紛争性のないことが明らかなものであったとしても,代理人として行動することは,まずないであろう。
私は,業界エゴを抜きにして,「事件性必要説」に合理性を感じるが,だからと言って,無制約であってよいとは思わない。資格のない輩による法律コンサルティングが跳梁跋扈すれば,当事者その他の関係人らの利益の保護が図れず,また法律秩序を保つことが困難であるからである。
現行の資格制度を前提に,コンセンサスとよき慣行が形成されていくことが望まれる。
cf.
平成16年9月18日付「弁護士法第72条と有償法務サービス」