司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

NPO法人の理事の任期の伸長~4年を超えることはない

2012-04-13 11:07:31 | 法人制度
 いわゆるNPO法人の理事の任期は,原則として最長2年である(特定非営利活動促進法第24条第1項本文)が,定款で役員を社員総会で選任することとしているNPO法人にあっては,定款の定めにより,理事の任期が伸長される場合がある(同条第2項)。

特定非営利活動促進法
 (役員の任期)
第24条 役員の任期は、2年以内において定款で定める期間とする。ただし、再任を妨げない。
2 前項の規定にかかわらず、定款で役員を社員総会で選任することとしている特定非営利活動法人にあっては、定款により、後任の役員が選任されていない場合に限り、同項の規定により定款で定められた任期の末日後最初の社員総会が終結するまでその任期を伸長することができる。

 なんとなく,社員総会が開催されない限り無限に伸長されそうにも読めるが,同法第14条の2の規定により,その任期が4年以上となることはない,という解釈であるようだ。

cf. 平成15年11月7日法務省民商第3320号民事局商事課長通知

 (通常社員総会)
第14条の2 理事は、少なくとも毎年1回、通常社員総会を開かなければならない。

 例えば,事業年度が毎年4月1日から翌年3月31日までであり,理事が平成20年5月31日に開催された定時社員総会で選任されて,同年6月1日0時から就任しているような場合,その任期は,原則としては,平成22年5月31日終了時までであるが,特定非営利活動促進法第24条第2項の規定に基づく定款の定めがあるNPO法人にあっては,その後に最初に開催される社員総会,すなわち臨時社員総会が開催されなければ,平成23年3月期に関する定時社員総会の終結の時まで任期が伸長され,その開催リミットが特定非営利活動促進法第14条の2の規定により平成24年3月31日であることから,任期が伸長される場合であっても,最長は平成24年3月31日までであるということになる。この場合で,3年10か月である。

 教室事例としては,同様のNPO法人が平成20年4月1日に社員総会を開催し,同月2日に理事が就任したような場合,任期が伸長される最長の期限は,やはり平成24年3月31日であることから,その任期は,「4年を超えることはない」ということになる。

 ということで,定款の定めにより理事の任期が伸長される場合であっても,一定の限界(約4年)があり,その限度を超えて後任者が選任されていない場合には,理事が欠けた状態であることになる。

 後任の理事の選任手続については,特定非営利活動促進法第17条の3の規定により選任された仮理事が行うことになるが,退任した当該理事も,民法第654条の規定により,善処義務を負っていることから,後任の理事を選任するための社員総会の招集手続をすることができると考えられる。

cf. 平成19年1月11日付法務省民商第30号法務省民事局長回答
※ ただし,社会福祉法人に関するものである。

平成22年7月26日付「登記記録上任期が満了していることが明らかな社会福祉法人の理事に係る資格証明書及び印鑑証明書」
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「ADR制度 司法書士の役割,より重要に」

2012-04-13 10:26:32 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 本日の京都新聞7面「私論公論」に,井上利博日司連副会長が「ADR制度 司法書士の役割,より重要に」を寄稿されている。ぜひご覧ください。

 京都司法書士会調停センターもぜひ御利用ください。

cf. 平成24年3月20日付「京都司法書士会調停センター」
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