「成年後見人が成年被後見人の居住用不動産の処分についての家庭裁判所の許可を得て売却した場合にする当該不動産の所有権の移転の登記の申請における登記識別情報の提供の要否について」
現物は確認していないが,「登記研究」平成25年1月号の「カウンター相談」で,「要しない」旨の解説がされているそうだ。
「カウンター相談」ということで,割り引いて読む必要はあるが,善き哉である。
cf. 司法書士古橋清二の『朝礼ですよ』
http://s-furuhashi.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-5879.html
平成23年7月7日付け「成年後見と登記識別情報の提供の要否について(再掲)」
以下は,登記研究の質疑応答の構成をとっているが,私見である。
【○○○○】成年被後見人が所有する居住用不動産について所有権移転登記を申請する場合における登記識別情報を提供することの要否について
〔要旨〕成年被後見人が所有する居住用不動産について,成年後見人が家庭裁判所の許可を証する情報を添付して所有権移転登記を申請する場合には,登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。
問 成年後見人が,家庭裁判所の許可を得て,被後見人が所有する居住用不動産を売却し,所有権移転登記を申請する場合,家庭裁判所の許可を証する情報を添付するので,申請情報と併せて登記義務者の登記識別情報を提供することを要しないものと考えますが,いかがでしょうか。
答 ご意見のとおりと考えます。
問題意識としては,登記識別情報の失念の場合に,本人確認情報の提供を要するか否か,である。
破産管財人に関する先例,相続財産管理人に関する質疑応答の趣旨からすると,本ケースでは,これらの場合と同様に,家庭裁判所の許可を証する情報を添付するので,登記義務者の申請意思は担保される。また,居住用不動産の処分についての許可は,被後見人=不動産所有者であることが大前提であり,当該許可書は,申請人(被後見人)=登記名義人(不動産所有者)であること,すなわち本人確認資料として十分なものである。さらに,成年後見人が,目的である不動産に関する登記識別情報を入手し難い点も同様である。
したがって,所有権移転登記を申請する場合に,登記義務者の登記識別情報を提供することを要せず,すなわち,本人確認情報の提供を要しないものと考える。