株式会社が会社法第234条第1項各号に掲げるコーポレート・アクションの実施に伴って株式の交付を行う場合に,各株主に交付される株式につき1株未満の端数が生ずることがあり得る。
仮に,株主Aに10.7株,株主Bに10.7株,株主Cに10.7株という割当比率になるとすると,端数の処理は,
0.7株+0.7株+0.7株=2.1株
となり,0.1株を切り捨て,2株を競売等で処理することになる。
したがって,新たに発行される株式の数は,32株である。
端数相当株式(上記事例では2株)についても,発行されるのは,例えば全部取得の効力発生日であるが,当該時点から買受人等が定まるまでの間の株式は,端数の権利者(上記事例ではABC)の共有ということになる。
共有ということになると,権利行使については,会社法第106条の規定等に従うことになり,その間の権利行使は,事実上不可能となろう。
cf. 東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」(商事法務)「第9章 端数相当株式任意売却許可申立事件」129頁以下
「論点体系 会社法第2巻」(第一法規)216頁