司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社法改正に関する質疑について

2013-12-09 07:26:14 | 会社法(改正商法等)
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成25年11月29日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00481.html

【記者】
 会社法の改正案が閣議決定されましたけれども,企業のガバナンスに対して期待することは何かありますでしょうか。
【大臣】
 改正案では,社外取締役等を推し進めていこうというのが1つございます。経営の任に当たっている方々が,その内部の感覚だけではなく,緊張感を持って,幅広い視野で事態を判断しながら会社経営に当たっていただくということで,かなりの効果が見込まれるのではないかと思っております。
【記者】
 会社法ですが,本国会は会期が短いですけれども,通常国会での成立を目指すというお考えでよろしいでしょうか。
【大臣】
 これは国会の中の手続きです。昔から,「国会の内部のことは閣僚は口を出してはいけない。」というふうに教わってまいりました。ただ,もちろん私としては慎重に御審議いただいて速やかに可決していただくことを当然望んでおりますし,是非そういうことでやっていただきたいと思っております。
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親権制限事件の動向

2013-12-09 07:15:50 | 家事事件(成年後見等)
親権制限事件の動向 by 裁判所
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/H25.12_kouhou.pdf

○ 申立て件数の推移
 平成24年に全国の家庭裁判所に申立てがあった親権喪失事件は111件,親権停止事件は120件でした。親権制限事件全体の申立て件数は239件で,平成23年の119件から倍増しています。

○ 終局結果
 親権制限事件は,従前から取下げにより事件が終了する割合が高いという特徴があり,平成24年も約7割を占めています。

○ 対象となった子の年齢
 親権停止は,親権喪失に比べ,0歳以上3歳未満の割合が少なく,高校生・その他の割合が高くなっており,全体としても対象となる子の年齢がやや高くなっています。

○ 親権停止の期間
 停止の期間については,上限の2年と定めたものが約6割を占めています。

○ 認容原因(虐待の内容等)
 親権停止では,親権喪失に比べて,ネグレクト(育児放棄等)の割合が高くなっています。

cf. 親権制限事件の動向と事件処理の実情 by 裁判所
http://www.courts.go.jp/about/siryo/sinkenseigen/index.html
※ 「本資料は,親権制限事件(親権喪失の審判事件,親権停止の審判事件及び管理権喪失の審判事件)について,事件の動向及び新設された親権停止の審判事件を中心とした事件処理の実情を取りまとめたものである」
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会社法概説(5)~取締役及び監査役の責任の一部免除~

2013-12-09 06:08:01 | 会社法(改正商法等)
○ 要綱
第1部 企業統治の在り方
第2 社外取締役及び社外監査役に関する規律
(3)取締役及び監査役の責任の一部免除
1 株式会社は,取締役(業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人であるものを除く。),会計参与,監査役又は会計監査人との間で,第427条第1項に定める契約(責任限定契約)を締結することができるものとする。
2 最低責任限度額(第425条第1項)の算定に際して,職務執行の対価として受ける財産上の利益の額に乗ずべき数は,次のアからウまでに掲げる役員等の区分に応じ,当該アからウまでに定める数とするものとする(同項第1号参照)。
 ア 代表取締役又は代表執行役 6
 イ 代表取締役以外の取締役(業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人であるものに限る。)又は代表執行役以外の執行役 4
 ウ 取締役(ア又はイに掲げるものを除く。),会計参与,監査役又は会計監査人 2
3 第911条第3項第25号及び第26号を削除するものとする。


会社法改正法案
 (責任の一部免除)
第425条 前条の規定にかかわらず、第423条第1項の責任は、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から次に掲げる額の合計額(第427条第1項において「最低責任限度額」という。)を控除して得た額を限度として、株主総会(株式会社に最終完全親会社等(第847条の3第1項に規定する最終完全親会社等をいう。以下この節において同じ。)がある場合において、当該責任が特定責任(第847条の3第4項に規定する特定責任をいう。以下この節において同じ。)であるときにあっては、当該株式会社及び当該最終完全親会社等の株主総会。以下この条において同じ。)の決議によって免除することができる。
 一 当該役員等がその在職中に株式会社から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の一年間当たりの額に相当する額として法務省令で定める方法により算定される額に、次のイからハまでに掲げる役員等の区分に応じ、当該イからハまでに定める数を乗じて得た額
イ 代表取締役又は代表執行役 六
ロ 代表取締役以外の取締役(業務執行取締役等であるものに限る。)又は代表執行役以外の執行役 四
ハ 取締役(イ及びロに掲げるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人 二
 二 【略】
2~5 【略】

 (責任限定契約)
第427条 第424条の規定にかかわらず、株式会社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人(以下この条及び第911条第3項第25号において「非業務執行取締役等」という。)の第423条第1項の責任について、当該非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を非業務執行取締役等と締結することができる旨を定款で定めることができる。
2 前項の契約を締結した非業務執行取締役等が当該株式会社の業務執行取締役等に就任したときは、当該契約は、将来に向かってその効力を失う。
3~5 【略】

 (株式会社の設立の登記)
第911条 【略】
2 【略】
3 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
 一~二十四 【略】
 二十五 第427条第1項の規定による非業務執行取締役等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め
 二十六~二十九 【略】

附則
 (取締役等の責任の一部の免除等に関する経過措置)
第16条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人の施行日前の行為に基づく責任の一部の免除及び当該責任の限度に関する契約については、新会社法第四百二十五条から第四百二十七条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。この場合において、当該責任の一部の免除をしようとする時に監査等委員会設置会社(新会社法第二条第十一号の二に規定する監査等委員会設置会社をいう。)である株式会社についての旧会社法第四百二十五条第三項(旧会社法第四百二十六条第二項及び第四百二十七条第三項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、旧会社法第四百二十五条第三項中「監査役設置会社又は委員会設置会社」とあるのは「監査等委員会設置会社(会社法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第号)による改正後の会社法(以下この項において「新会社法」という。)第二条第十一号の二に規定する監査等委員会設置会社をいう。)」と、「次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定める者」とあるのは「各監査等委員(新会社法第三十八条第二項に規定する監査等委員をいう。)」とする。


 現行法においては,責任限定契約を締結することができるのは社外取締役等である(会社法第427条第1項)であるが,改正により,これに加えて,業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でない取締役についても,責任限定契約を締結することができるようになる。これは,社外性の要件の厳格化により,社外取締役等の要件を満たさなくなってしまう取締役等を救済する意味合いからの改正である。

 そして,これに伴い,会社法第911条第3項第25号及び第26号が削除され,会社法第427条第1項の規定による責任限定契約の締結についての定款の定めがある場合,社外取締役等である旨は,登記事項から外れることとなる。

 また,責任の一部免除(会社法第425条第1項)における最低責任限度額について,業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でない取締役については,これまでの社外取締役と同様となる。

cf. 平成25年9月5日付け「会社法制の見直しに関する要綱案についての考察(6)」
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