○ 要綱
第1部 企業統治の在り方
第2 社外取締役及び社外監査役に関する規律
(3)取締役及び監査役の責任の一部免除
1 株式会社は,取締役(業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人であるものを除く。),会計参与,監査役又は会計監査人との間で,第427条第1項に定める契約(責任限定契約)を締結することができるものとする。
2 最低責任限度額(第425条第1項)の算定に際して,職務執行の対価として受ける財産上の利益の額に乗ずべき数は,次のアからウまでに掲げる役員等の区分に応じ,当該アからウまでに定める数とするものとする(同項第1号参照)。
ア 代表取締役又は代表執行役 6
イ 代表取締役以外の取締役(業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人であるものに限る。)又は代表執行役以外の執行役 4
ウ 取締役(ア又はイに掲げるものを除く。),会計参与,監査役又は会計監査人 2
3 第911条第3項第25号及び第26号を削除するものとする。
会社法改正法案
(責任の一部免除)
第425条 前条の規定にかかわらず、第423条第1項の責任は、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から次に掲げる額の合計額(第427条第1項において「最低責任限度額」という。)を控除して得た額を限度として、株主総会
(株式会社に最終完全親会社等(第847条の3第1項に規定する最終完全親会社等をいう。以下この節において同じ。)がある場合において、当該責任が特定責任(第847条の3第4項に規定する特定責任をいう。以下この節において同じ。)であるときにあっては、当該株式会社及び当該最終完全親会社等の株主総会。以下この条において同じ。)の決議によって免除することができる。
一 当該役員等がその在職中に株式会社から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の一年間当たりの額に相当する額として法務省令で定める方法により算定される額に、次のイからハまでに掲げる役員等の区分に応じ、当該イからハまでに定める数を乗じて得た額
イ 代表取締役又は代表執行役 六
ロ 代表取締役以外の取締役
(業務執行取締役等であるものに限る。)又は代表執行役以外の執行役 四
ハ
取締役(イ及びロに掲げるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人 二
二 【略】
2~5 【略】
(責任限定契約)
第427条 第424条の規定にかかわらず、株式会社は
、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、
監査役又は会計監査人(以下この条
及び第911条第3項第25号において「
非業務執行取締役等」という。)の第423条第1項の責任について、当該
非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を
非業務執行取締役等と締結することができる旨を定款で定めることができる。
2 前項の契約を締結した
非業務執行取締役等が当該株式会社の
業務執行取締役等に就任したときは、当該契約は、将来に向かってその効力を失う。
3~5 【略】
(株式会社の設立の登記)
第911条 【略】
2 【略】
3 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一~二十四 【略】
二十五 第427条第1項の規定による
非業務執行取締役等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め
二十六~二十九 【略】
附則
(取締役等の責任の一部の免除等に関する経過措置)
第16条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人の施行日前の行為に基づく責任の一部の免除及び当該責任の限度に関する契約については、新会社法第四百二十五条から第四百二十七条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。この場合において、当該責任の一部の免除をしようとする時に監査等委員会設置会社(新会社法第二条第十一号の二に規定する監査等委員会設置会社をいう。)である株式会社についての旧会社法第四百二十五条第三項(旧会社法第四百二十六条第二項及び第四百二十七条第三項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、旧会社法第四百二十五条第三項中「監査役設置会社又は委員会設置会社」とあるのは「監査等委員会設置会社(会社法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第号)による改正後の会社法(以下この項において「新会社法」という。)第二条第十一号の二に規定する監査等委員会設置会社をいう。)」と、「次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定める者」とあるのは「各監査等委員(新会社法第三十八条第二項に規定する監査等委員をいう。)」とする。
現行法においては,責任限定契約を締結することができるのは社外取締役等である(会社法第427条第1項)であるが,改正により,これに加えて,業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でない取締役についても,責任限定契約を締結することができるようになる。これは,社外性の要件の厳格化により,社外取締役等の要件を満たさなくなってしまう取締役等を救済する意味合いからの改正である。
そして,これに伴い,会社法第911条第3項第25号及び第26号が削除され,会社法第427条第1項の規定による責任限定契約の締結についての定款の定めがある場合,社外取締役等である旨は,登記事項から外れることとなる。
また,責任の一部免除(会社法第425条第1項)における最低責任限度額について,業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でない取締役については,これまでの社外取締役と同様となる。
cf.
平成25年9月5日付け「会社法制の見直しに関する要綱案についての考察(6)」