司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

銀行などが中小企業へ融資する際の個人保証~債権法の改正~

2013-12-29 11:40:59 | 民法改正
日経記事(有料会員限定)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64745560Z21C13A2MM8000/

「法務省は事業での借入金への個人保証の対象者について絞り込みたい考えだ。保証人の範囲は(1)経営者が自社の債務を保証する場合(2)総議決権の過半数を持つ株主らが引き受ける場合――などとする案をまとめた。
 一方で保証を自ら進んで引き受ける意思を確認できた個人に限り、例外的に保証人になることを認める。直接の資金提供ではなく保証人となって第三者の起業を支援する投資家らを想定。意思確認は公正証書の活用を求めるなど厳格な手続きを設け、法の趣旨を逸脱した拡大解釈の防止につなげる」(上掲記事)

「直接の資金提供ではなく保証人となって第三者の起業を支援する投資家ら」・・・いますかね?

 今後は,次のようなスケジュールで進むらしい。

2014年7月 民法改正要綱原案がまとまる。
2015年2月 法制審議会総会で改正要綱を答申
2015年   通常国会に改正法案を提出
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 特例財団法人の移行認可に伴う定款変更の限界~一般財団法人の認可の取消請求訴訟~

2013-12-29 11:13:09 | 法人制度
大阪地裁平成25年10月25日判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83822&hanreiKbn=04

【判示事項の要旨】
1 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律45条の認可によって効力が完成する特例財団法人の定款の変更により同財団法人から助成を受けられる唯一の対象たる地位を失うことになる者が上記認可の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 内閣総理大臣が特例財団法人に対してした一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律45条の認可が同法117条に違反しないとされた事例


 この判決は,特例財団法人の移行認可に伴う定款変更の限界について,重要な判断を示している。

「移行認可に伴う定款変更については,特例財団法人の設立者の意思に反し,又は当該財団法人の同一性を失わせるような目的等の変更であっても,当該変更を行わなければ移行認可がされず,一般財団法人としての存続が不可能となるおそれがある場合には,当該変更が信義則に反し,権利の濫用に当たる等の特段の事情がない限り,許されると解するのが相当である」
※ 33頁

 実務的には,重要な判決である。やや長文であるが,御一読を。
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「三菱」を使用した商号登記の抹消

2013-12-29 10:31:26 | 会社法(改正商法等)
東京地裁平成25年12月19日判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83852&hanreiKbn=07

 原告は,三菱商事株式会社及び三菱重工業株式会社。「10万円」というのは,弁護士費用相当損害金である。

主 文
1 被告は,その営業上の施設又は活動に,「有限会社三菱合同丸漁業」その他の「三菱」の文字を含む商号及び標章を使用してはならない。
2 被告は,「三菱」の文字を,船舶,魚類選別台,名刺その他の営業表示物件から抹消せよ。
3 被告は,千葉地方法務局平成14年8月1日設立の商業登記中,「有限会社三菱合同丸漁業」の商号登記の抹消登記手続をせよ。
4 被告は,原告らに対し,それぞれ10万円及びこれに対する平成25年7月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は被告の負担とする。
6 この判決は,第3項を除き,仮に執行することができる。


 不正競争防止法の施行期日が平成6年5月1日であることから,附則3条1号の規定により,被告の行為が,平成6年5月1日以前に開始されており,かつ,これが継続された行為である場合は,法3条の適用はない(法2条1項1号に該当する場合は除く。)はずであり,そういう議論がまったくないが,はたして・・・。

cf. 平成24年10月23日付け「「阪急電鉄」が「阪急住宅」に対し「阪急」の使用差止請求訴訟を提起(3)」

 ちなみに,阪急住宅事件は,平成25年4月11日,大阪高裁が阪急住宅の控訴を棄却し,上告されているようである。
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