東宝株式会社においては,監査役A氏が平成27年5月2日に死亡したため,補欠監査役として選任されていた者(B氏)が,監査役に就任した。
B氏が補欠監査役に選任されたのは,平成23年5月26日開催の定時株主総会であった。なお,東宝株式会社の定款第33条第4項には,次のとおりの別段の定め(会社法施行規則第96条第3項本文)がある。
定款
第33条 【略】
2・3 【略】
4 補欠監査役の選任に係る決議が効力を有する期間は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の開始のときまでとする。
http://www-a.toho.co.jp/toho_ir/company/regulations/teikan2010.pdf
死亡した監査役A氏は,本年の定時株主総会で任期満了となる者ではなかったが,監査役B氏については,定款第34条第2項の規定は適用されず,本年の定時株主総会の終結の時に任期満了退任となる。
定款
第34条 【略】
2 任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期は、退任した監査役の任期の満了するときまでとする。
補欠役員が正規の役員に就任したときは,当該役員の任期は,補欠として選任された日(平成23年5月26日)から起算される(相澤哲編著「論点解説新・会社法」(商事法務)303頁)からである。
そのため,本年の定時株主総会における改選が間に合わなかったことから,臨時株主総会を開催し,改選を諮ることとなったものである。
cf. 臨時株主総会招集のための基準日設定および臨時株主総会招集に関するお知らせ by 東宝株式会社
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS05040/c83c7c55/ce30/4642/b832/20d559aa61e1/140120150528494719.pdf
本年の定時株主総会には,B氏を補欠監査役に選任する議案の上程が予定されていたが,同氏が監査役に就任したことから,当該議案は撤回されている。他者(C氏)を補欠監査役に選任する議案であったならば,そのまま上程して,補欠監査役に選任されたC氏がそのまま監査役に就任することも可能であったと思われる。
cf. 定時株主総会議案の一部撤回に関するお知らせ by 東宝株式会社
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS05040/ac68dbbc/c966/4fb1/886c/4249faf49a33/20150511152706734s.pdf
平成21年5月9日付け「補欠監査役の就任の可否」