司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「近時における相続登記に関する裁判例の動向」

2017-06-02 16:16:02 | 不動産登記法その他
 判例タイムズ2017年6月号に,宮﨑文康「近時における相続登記に関する裁判例の動向」が掲載されている。

 筆者は,前法務省民事局民事第二課局付である。御一読を。


 取り上げられている裁判例は,

1.奈良地裁平成27年12月15日判決
cf. 平成28年2月3日付け「擬制自白により認定された調書判決書が「他に相続人がいないことを証する書面」と言えるか」


2.東京地裁平成26年3月13日判決
cf. 平成27年4月16日付け「ひとりでも遺産分割の可否(東京高裁判決)」

「相続人たる地位の併有は認められ得るが,遺産共有状態が解消されている以上,第2次相続後に遺産分割を行う余地はないと考えることもできるように思われる」旨のコメントである(上掲49頁)。

 東京地裁判決は,相続人たる地位の併有を否定しているが,私見は,肯定すべきと再々述べてきたところである。上掲宮﨑解説は,この点を肯定しており,評価することができますね。


3.福岡地裁平成27年4月13日判決
遺言に基づく登記の申請に対する登記官の処分が取り消されたもの(いわゆる後継遺贈の効力が争われた事例)

「本判決は,昭和58年判決を踏まえて,遺言書作成当時の事情を仔細に認定した上,個別具体的な事情の下において本件遺言を解釈したものである」(上掲53頁)

cf. 最高裁昭和58年3月18日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66874
【判示事項】
遺言書中の特定の条項の解釈
【裁判要旨】
遺言の解釈にあたつては、遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探究すべきものであり、遺言書の特定の条項を解釈するにあたつても、当該条項と遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して当該条項の趣旨を確定すべきである。
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「民法の一部を改正する法律」(債権法の改正)が公布

2017-06-02 10:52:44 | 民法改正
官報(平成29年6月2日付け)
http://kanpou.npb.go.jp/20170602/20170602g00116/20170602g001160000f.html

 「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)と「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号)が,本日,公布された。

 施行は,平成32年4月あたりか。

附則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 附則第三十七条の規定 公布の日
 二 附則第三十三条第三項の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
 三 附則第二十一条第二項及び第三項の規定 公布の日から起算して二年九月を超えない範囲内において政令で定める日


 公布の日から,即日施行される附則第37条の規定は,次のとおり。なるほどね。

附則
 (政令への委任)
第37条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
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所有者不明問題の解消へ

2017-06-02 10:39:13 | 空き家問題&所有者不明土地問題
朝日新聞記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170601-00000011-asahi-pol

「不動産登記簿に相続登記がされないままの土地について、道路や公園の整備、再開発事業といった公的な目的のためなら、所有権をそのままにして利用できる仕組みをつくる。地方自治体が土地の「利用権」を設定できるようにすることなどを検討する。」(上掲記事)

 司法書士界からも提言していかなければなりませんね。
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東芝保有の不動産に5500億円の根抵当権仮登記

2017-06-02 10:17:36 | 不動産登記法その他
東京商工リサーチ
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170601_01.html

[仮登記の権利者には主力行の三井住友銀行をはじめ、地銀や保険会社など68行(社)が名を連ねている」(上掲記事)

 根抵当権者68社の準共有・・・すごいですね。

cf. 平成29年4月25日付け「東芝所有の不動産に工場財団の登記」
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空き地等の新たな活用に関する検討会

2017-06-02 09:59:02 | 空き家問題&所有者不明土地問題
空き地等の新たな活用に関する検討会
http://tochi.mlit.go.jp/kentou-bunseki/akichi-kentoukai

「本有識者会議では、空き地等が地域に与える影響及び対策を講ずべき意義、空き地等が抱える課題に関する適正な管理・活用方策の今後の方向性、経済成長を支え各地域で地域住民の生活の質の向上に資する豊かな土地利用を実現させる観点からの空き地等の創造的活用に関する具体的施策について、検討を行います。
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平成28年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等

2017-06-02 09:51:24 | 税務関係
平成28年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について by 国税庁
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/kakushin_jokyo/pdf/0017005-061.pdf

「贈与税の申告書を提出した人員は50万9千人です。そのうち、申告納税額のあるもの(納税人員)は37万1千人であり、その申告納税額は2,252億円となっています。
 これを平成27年分と比較すると、申告人員(▲5.4%)、納税人員(▲3.2%)、申告納税額(▲6.2%)のいずれも減少しました。

《暦年課税の申告状況》
 暦年課税を適用した申告人員は46万4千人であり、申告納税額は1,927億円となっています。

 これを平成27年分と比較すると、申告人員(▲5.0%)、申告納税額(▲10.8%)はいずれも減少しました。

《相続時精算課税の申告状況》
 相続時精算課税を適用した申告人員は4万5千人であり、申告納税額は325億円となっています。

 これを平成27年分と比較すると、申告人員(▲9.3%)は減少、申告納税額(+35.0%)は増加しました。」
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経営改善計画の策定支援(中小企業庁)

2017-06-02 09:47:20 | 会社法(改正商法等)
資金繰り管理や採算管理等の早期の経営改善を支援します by 中小企業庁
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/2017/170510kaizen.htm

「本事業は、資金繰り管理や採算管理などのより基本的な内容の経営改善の取組を必要とする中小企業・小規模事業者を対象として、認定支援機関が資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図などの早期の経営改善計画の策定を支援し、計画を金融機関に提出することを端緒にして自己の経営を見直し、早期の経営改善を促すものです。」
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短期賃貸マンションの入居者にもNHK受信料支払義務あり(東京高裁判決)

2017-06-02 09:44:32 | 民事訴訟等
NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170531/k10011001861000.html

 東京高裁は,ウィークリーマンションのような短期賃貸マンションの入居者にも,テレビの備付けがある場合には,NHKの受信料の支払義務がある,とする判断をしている。

 これは,賃貸借契約の内容次第ともいえるが,常識的感覚としては,オーナー側が負担するものでは?

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