司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

改正不動産登記法施行時の登記実務の対応

2004-08-20 22:56:27 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 月報司法書士8月号63頁に「新『不動産登記法』施行時の未指定庁における登記実務の変更の要点」が掲載されている。改正不動産登記法はオンライン申請を原則形態としているが、来年3月の施行時点での指定庁は1庁のみで順次指定されて行くため、当分の間は未指定庁が数多く残存する。したがって、その間の登記実務の対応も非常に重要である。同稿はその要点を簡潔にまとめているので、入手可能であれば(1冊250円)ぜひご覧いただきたい。日司連のHPには約4か月後に掲載される。

①出頭主義の廃止(即全庁で実施。郵送申請が可となる。)
②登記済証の廃止(指定庁のみ。)
③登記識別情報の導入(指定庁のみ。)
④保証書の廃止(即全庁で実施。)、登記義務者確認情報の提供等(即全庁で実施。)
⑤登記原因証明情報の必要的提供(即全庁で実施。)
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残業月100時間以上の過労死対策

2004-08-20 20:51:16 | 会社法(改正商法等)
 厚生労働省が、過労死や過労自殺を防止するため、労働安全衛生法を改正し、月100時間を超える長時間の残業をした労働者を対象に医師による心身のチェックを企業側に義務付ける方針とのこと。過労死、過労自殺が急増しており、その対策ということらしい。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20040819k0000m010099000c.html

 月100時間以上のほか、2~6カ月間に月平均80時間を超える時間外労働をした労働者を「ハイリスクグループ」と規定し、医師が面接して健康状態を把握し、発症の恐れがある場合には、企業と本人に対して、休日の取得や労働時間の短縮など働き方の指導をする、というような制度の導入を企業側に求めるもの。

 司法書士会の会務を含めると、コンスタントに月100時間以上のオーバーワークであり、私も「ハイリスクグループ」(?)。定期的なメディカルチェックが必要ということか。
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日弁連シンポジウム「21世紀の公証人制度を考える」

2004-08-19 19:34:50 | いろいろ
 来る9月25日(土)東京弁護士会館にて、シンポジウム「21世紀の公証人制度を考える」- 日独公証人制度を比較して - ~ 商工ローン・ヤミ金等による公正証書の濫用防止に向けてが開催される。粗製濫造される執行証書等、公証人制度の問題点を指摘し、公証人法改正を狙いとするシンポジウムである。
 なお、京都司法書士会においても、翌26日(日)京都アバンティホールにて、同公証人を招いたシンポジウム「予防司法を考える」を開催する(HPにも近々アップする予定。)。
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華麗なる転職?~実は税金の無駄遣い

2004-08-16 12:49:41 | 会社法(改正商法等)
 産経新聞によれば、平成9年度から5年間に国費で海外留学した若手キャリア官僚のうち、10人に1人が留学後に早期退職し、47人分、約8億5千万円に上る税金が授業料や旅費などの名目で“無駄遣い”となっているという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040815-00000002-san-pol

 民間企業においても、幹部候補生を海外留学させてMBAを取得させてもすぐに転職してしまうケースが後を絶たず、留学制度を廃止した会社も多いようだ。

 労働法的にはどうか?帰国後一定期間退職を禁止し、退職する場合は留学費用を返還させる内容の契約は、「強制労働の禁止」(労働基準法第5条)に該当する。したがって、使用者が被用者に留学費用を貸与する形式をとり、帰国後一定期間勤続の場合にはその返還を免除する手法がとられることがある。しかし、自主的留学に対する貸与ならばともかく、使用者が従業員研修の一環として業務命令で留学させるケースでは「賠償予定の禁止」(同第16条)に違反する虞が強い。

 人事院から改善要求を受けた行革推進事務局が「善処策を検討している」らしいが、キャリア官僚の場合「留学は職務命令の出張扱い」で行われており、縛りをかけることは上記「賠償予定の禁止」の問題があって、難しいと言わざるを得ないであろう。



 (強制労働の禁止)
第5条  使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

 (賠償予定の禁止)
第16条  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

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「法社会学の可能性」

2004-08-15 14:14:03 | いろいろ
和田仁孝・樫村志郎・阿部昌樹編「法社会学の可能性」(法律文化社)

 棚瀬孝雄京都大学教授の還暦記念論文集である。実務の世界に身をおくと、次第次第にこれまで構築してきた事案処理の判断準拠枠組に沿って判断を構成するようになる。すなわち、より実践的な課題に見合う形で、簡略化されたり、目分量的な判断の準拠枠が構成され、実務的カンを働かせるようになるのである。しかし、これは功罪相半ばする面があろう。ときに自身の法体系(判断準拠枠組)を社会学的視座から再検証することが必要であると思われる。そんなときにお奨めか。

 本書所収の樫村志郎神戸大学教授「『相談の語り』とその多様性」の中に、「司法書士と依頼人との間の社会的関係は、弁護士と依頼人との間の社会的関係よりも、平等的である。司法書士の提供するサービスは弁護士のサービスと概括的に異なっている。これらの事情は、司法書士が行う法律相談を、弁護士の法律相談と、概略的に異なったものとしている。」という一節がある。「概略的に異なる」という点が、意不明であるが、脚注に「この点の分析のためには、別稿を予定している。」とあるので、期待して待ちたい。
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ジェンダーフリーな社会へ

2004-08-13 16:51:30 | いろいろ
男女混合名簿の見直し検討 ジェンダーフリー禁止も (共同通信) - goo ニュース

 憲法第14条第1項が禁じているのは「不合理な差別」であって、「合理的区別」は当然許容されるのであるが、その間で揺れている感じである。「誤解が生じている」のであれば、その誤解を解くべく教育すればいいのであるが、安直に混合名簿禁止に逆行しようとするところがいかにもお役所的発想といえよう。
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「中小企業の視点からの会社法改正の方向性」説明会

2004-08-13 13:40:53 | 会社法(改正商法等)
「中小企業の視点からの会社法改正の方向性」説明会が中小企業庁により各地で開催される。ほぼ大筋が定まった段階であり、どれほど意見が反映されるのか?ともいえるが・・・。
 近畿会場は、9月6日(月)14:00~16:00大阪合同庁舎1号館、である。
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司法書士の報酬について

2004-08-12 23:17:39 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 司法書士の報酬については、以前は会則に「規定」がおかれていたが、その後「基準」となり、現在は撤廃され、まったくの自由競争となっている(とはいえ、もちろん「不当な嘱託誘致にわたらない限りは」という但書は付くのであるが。)。したがって、委任または嘱託時に、明瞭に「報酬に関する合意」をしておくべきである。
 もし、司法書士との間で報酬についてトラブルが生じたら?最寄りの司法書士会にお問い合わせの上、紛議調停制度を利用されたい。
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司法書士の代理事件数は?

2004-08-11 22:59:46 | 司法書士(改正不動産登記法等)
平成15年度の簡裁の既済事件数の統計(※第13表)


事件総数337076件のうち、
原告または被告のいずれかに
弁護士または司法書士の選任された事件数が30863件。

そのうち、
原告側
弁護士を選任    15198件
司法書士を選任    1247件

被告側
弁護士を選任    17919件
司法書士を選任     254件

ちなみに、双方司法書士事件は4件。


簡裁代理元年としてはこんなもの・・・か。
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公益法人の破綻

2004-08-10 10:38:57 | 会社法(改正商法等)
学会センター、民事再生法適用棄却 負債30億、破綻も (朝日新聞) - goo ニュース

 公益法人が金融機関等から長期借入を行う場合、また所有不動産に担保権設定を行う場合には、ほぼ例外なく寄附行為(または定款)の規定により、理事会決議等の内部手続に加え、監督官庁の許可が必要とされている。しかし、金融機関、司法書士いずれもこれを看過し(意図的な場合もあるかもしれないが)、監督官庁の許可を得ることなく融資が実行されているケースが多いのが実態のような感がある。おそらく本件も同様であろう。

cf. 公益法人(財団法人、社団法人)とは
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ダスキン事件(取締役会議事録のHP上での公開)の教訓

2004-08-09 20:59:10 | 会社法(改正商法等)
 ダスキンに対して株主代表訴訟を提起している原告株主が、訴訟に関連して謄写許可を受けた取締役会議事録をHPで公開したとして、ダスキンが同株主に対して損害賠償請求訴訟を提起したとのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040807ic01.htm

 取締役会議事録の閲覧または謄写は、現行法上「株主は・・・その権利を行使するため必要あるときは裁判所の許可を得て・・・得」(商法第260条第6項)のように限定的にしか認められていない。取締役会の議事には秘密を要する事項も含まれているため、とされている。しかし、注意すべきは「会社法制の現代化」による平成17年改正によって、「業務監査権限を有する監査役が設置されていない株式会社(委員会設置会社を除く。)における株主は、裁判所の許可を得ることなく、取締役会の議事録を閲覧することができる。」と改正される見込みであることである。もちろん持株数によって一定割合を保有する株主に限定されるのではあろうが、容易に取締役会議事録を閲覧謄写できることになってしまうのである。
 平成17年大改正施行(平成18年4月?)後は、大半の株式会社が有限会社的規律に移行すると目されているが、会社の機密保持のためには「業務監査権限を有する監査役を設置する」類型を選択する必要があることになろうか。
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新しいビジネスモデル

2004-08-08 21:15:43 | 会社法(改正商法等)
日本人元銀行員、米で金融機関設立 (産経新聞) - goo ニュース

 マネーロンダリング等の問題がなければ、すばらしいビジネスモデルであると思う。
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公証人の試験制度

2004-08-06 23:34:28 | いろいろ
 公証人は、裁判官、検察官等の法曹有資格者の天下り先となっていた(但し、従来より法務局長クラスの法務事務官は特別認可(?)で公証人となることができた。)。しかし、司法制度改革において、天下り批判が強くなり、特任公証人制度が創設され、平成15年春より試験が実施されている。もちろん、法曹有資格者公証人制度は残存している。

 ちなみに、平成15年度は、法務局職員(退職者を含む)18人、裁判所職員3人、副検事2人と、企業の法務担当者2人、司法書士2人が応募した結果、企業の法務担当者と司法書士は全員が不合格、法務局職員全員と裁判所職員1人の計19人が合格している。平成16年度は情報が明らかとなっていない。
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「不動産登記はこう変った!」

2004-08-06 22:02:09 | 司法書士(改正不動産登記法等)
司法書士山田猛司ほか著「不動産登記はこう変った!これが大改正の内容だ!」(セルバ出版)が刊行された。

 本年6月18日に公布された改正不動産登記法の概説Q&A集。未だ規則、準則等の政省令が明らかになっていない段階であり(早ければ今月中にも政省令の案が公表、パブコメが実施されるのではといわれているが)、まさに速報版といったところ。改正法の施行は来年3月の予定で、まさに21世紀の新たな不動産取引実務の夜明けを迎えることになる。いまはまだ霧の中。
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民法の現代語化

2004-08-05 09:33:15 | いろいろ
 法務省が「民法現代語化案」に関してパブリックコメントを実施。9月3日(金)まで。


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