司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

華麗なる転職?~実は税金の無駄遣い

2004-08-16 12:49:41 | 会社法(改正商法等)
 産経新聞によれば、平成9年度から5年間に国費で海外留学した若手キャリア官僚のうち、10人に1人が留学後に早期退職し、47人分、約8億5千万円に上る税金が授業料や旅費などの名目で“無駄遣い”となっているという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040815-00000002-san-pol

 民間企業においても、幹部候補生を海外留学させてMBAを取得させてもすぐに転職してしまうケースが後を絶たず、留学制度を廃止した会社も多いようだ。

 労働法的にはどうか?帰国後一定期間退職を禁止し、退職する場合は留学費用を返還させる内容の契約は、「強制労働の禁止」(労働基準法第5条)に該当する。したがって、使用者が被用者に留学費用を貸与する形式をとり、帰国後一定期間勤続の場合にはその返還を免除する手法がとられることがある。しかし、自主的留学に対する貸与ならばともかく、使用者が従業員研修の一環として業務命令で留学させるケースでは「賠償予定の禁止」(同第16条)に違反する虞が強い。

 人事院から改善要求を受けた行革推進事務局が「善処策を検討している」らしいが、キャリア官僚の場合「留学は職務命令の出張扱い」で行われており、縛りをかけることは上記「賠償予定の禁止」の問題があって、難しいと言わざるを得ないであろう。



 (強制労働の禁止)
第5条  使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

 (賠償予定の禁止)
第16条  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

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