司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

ダスキン事件(取締役会議事録のHP上での公開)の教訓

2004-08-09 20:59:10 | 会社法(改正商法等)
 ダスキンに対して株主代表訴訟を提起している原告株主が、訴訟に関連して謄写許可を受けた取締役会議事録をHPで公開したとして、ダスキンが同株主に対して損害賠償請求訴訟を提起したとのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040807ic01.htm

 取締役会議事録の閲覧または謄写は、現行法上「株主は・・・その権利を行使するため必要あるときは裁判所の許可を得て・・・得」(商法第260条第6項)のように限定的にしか認められていない。取締役会の議事には秘密を要する事項も含まれているため、とされている。しかし、注意すべきは「会社法制の現代化」による平成17年改正によって、「業務監査権限を有する監査役が設置されていない株式会社(委員会設置会社を除く。)における株主は、裁判所の許可を得ることなく、取締役会の議事録を閲覧することができる。」と改正される見込みであることである。もちろん持株数によって一定割合を保有する株主に限定されるのではあろうが、容易に取締役会議事録を閲覧謄写できることになってしまうのである。
 平成17年大改正施行(平成18年4月?)後は、大半の株式会社が有限会社的規律に移行すると目されているが、会社の機密保持のためには「業務監査権限を有する監査役を設置する」類型を選択する必要があることになろうか。
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