「昭和25年商法改正の歴史的意義」by 三枝一雄明治大学名誉教授
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/3760/1/horitsuronso_46_1_69.pdf
昭和25年商法改正(昭和26年7月1日施行)は,戦後最初の大改正であり,これによって,それまでドイツ法に依拠していた株式会社法がアメリカ法化された。
同改正前の監査役は,取締役の業務執行全般に関する監査権限を有していたが,この改正により,監査役の権限は,会計監査に限定された。原案では,名称も,「会計監査役」に変更されることになっていたのが,参議院で修正され,「監査役」のままとなったらしい(その後,昭和49年商法改正により,監査役の権限は,業務監査権限まで拡大されている。)。
今般の会社法改正法案における会計監査限定の登記の議論も,結局,「監査役」の名の下に権限が異なるものを両立させていることから生じた混乱の解消を図らんとするものである。会計監査限定の監査役については,その名称を「会計監査役」とすることを検討すべきではないだろうか。
○ 資金調達の便宜を図るための改正
・授権資本制度を導入(増資の際の定款変更が不要に)
・無額面株式制度を採用
・社債制度の規制緩和
○ 会社運営の合理化のための改正
・株主総会の権限を縮小
・株主総会における株主の地位の強化
・取締役会及び代表取締役の創設
・監査役の権限縮小(会計監査に限定)
○ 株主の地位を強化する改正
・株主の共益権を拡大強化
・株主の財産的地位を強化
・株式の自由譲渡性の絶対的保障(定款の定めによる制限も禁止)
○ その他
・法定準備金を資本準備金と利益準備金に区分
・株式配当,準備金の資本組入れ,株式分割の制度の導入
・外国会社に関する規定の整備