最高裁平成27年2月19日第1小法廷判決を受けて整理すると,
1.権利行使者の選定及び通知がある場合
共有に属する株式の権利行使者を定めるに当たっては,共有物の管理行為として,各共有者の持分に従い,その過半数で決する(民法第252条)。
そして,従来,共有に属する株式の権利行使者として選定され,株式会社に通知された者は,他の共有者の意思に拘束されず,自己の判断で当該株式についての権利を行使することができると解されていた。
「有限会社において持分が数名の共有に属する場合に、その共有者が社員の権利を行使すべき者一人を選定し、それを会社に届け出たときは、社員総会における共有者の議決権の正当な行使者は、右被選定者となるのであつて、共有者間で総会における個々の決議事項について逐一合意を要するとの取決めがされ、ある事項について共有者の間に意見の相違があつても、被選定者は、自己の判断に基づき議決権を行使しうる」(最高裁昭和53年4月14日第2小法廷判決)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53307
しかし,今回の最高裁判決は,これを変更した(?)。
「共有に属する株式についての議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為として,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決せられるものと解するのが相当である。」(最高裁平成27年2月19日第1小法廷判決)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84875
上記は,本来,当然の前提であって,権利行使者として指定された者であっても,議決権の行使をするに当たっては,「民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で」決するべきである。
ただし,株式会社としては,権利行使者の指定及び通知がある以上,その議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものであることを確認することまでは必要ではないというべきである。
逆に,権利行使者の指定及び通知があったとしても,その議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものではないことが明らかであるときは,株式会社は,議決権の行使を認めるべきではないであろう。
2.権利行使者の選定及び通知を欠く場合
この場合には,共有者は,共有に属する株式に係る議決権の行使をすることはできないのが原則である(会社法第106条本文)。
しかし,権利行使者の選定及び通知を欠く場合であっても,共有に属する株式に係る議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものであるときは,株式会社は,当該議決権の行使について同意(会社法第106条ただし書)をすることができ,この同意によって,当該権利の行使は,適法となる。
共有に属する株式に係る議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは,株式会社は,当該議決権の行使について同意をすることはできず,仮に同意をしたとしても,当該権利の行使は,適法となるものではない。
したがって,株式会社としては,権利行使者の選定及び通知を欠く場合に,共有に属する株式に係る議決権の行使について会社法第106条ただし書の同意をしようとするときは,その議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものであることを確認する必要があるということになる。
cf. 平成27年2月19日付け「共有に属する株式について,権利行使者の指定及び通知を欠く場合の議決権の行使(最高裁判決)」
1.権利行使者の選定及び通知がある場合
共有に属する株式の権利行使者を定めるに当たっては,共有物の管理行為として,各共有者の持分に従い,その過半数で決する(民法第252条)。
そして,従来,共有に属する株式の権利行使者として選定され,株式会社に通知された者は,他の共有者の意思に拘束されず,自己の判断で当該株式についての権利を行使することができると解されていた。
「有限会社において持分が数名の共有に属する場合に、その共有者が社員の権利を行使すべき者一人を選定し、それを会社に届け出たときは、社員総会における共有者の議決権の正当な行使者は、右被選定者となるのであつて、共有者間で総会における個々の決議事項について逐一合意を要するとの取決めがされ、ある事項について共有者の間に意見の相違があつても、被選定者は、自己の判断に基づき議決権を行使しうる」(最高裁昭和53年4月14日第2小法廷判決)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53307
しかし,今回の最高裁判決は,これを変更した(?)。
「共有に属する株式についての議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為として,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決せられるものと解するのが相当である。」(最高裁平成27年2月19日第1小法廷判決)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84875
上記は,本来,当然の前提であって,権利行使者として指定された者であっても,議決権の行使をするに当たっては,「民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で」決するべきである。
ただし,株式会社としては,権利行使者の指定及び通知がある以上,その議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものであることを確認することまでは必要ではないというべきである。
逆に,権利行使者の指定及び通知があったとしても,その議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものではないことが明らかであるときは,株式会社は,議決権の行使を認めるべきではないであろう。
2.権利行使者の選定及び通知を欠く場合
この場合には,共有者は,共有に属する株式に係る議決権の行使をすることはできないのが原則である(会社法第106条本文)。
しかし,権利行使者の選定及び通知を欠く場合であっても,共有に属する株式に係る議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものであるときは,株式会社は,当該議決権の行使について同意(会社法第106条ただし書)をすることができ,この同意によって,当該権利の行使は,適法となる。
共有に属する株式に係る議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは,株式会社は,当該議決権の行使について同意をすることはできず,仮に同意をしたとしても,当該権利の行使は,適法となるものではない。
したがって,株式会社としては,権利行使者の選定及び通知を欠く場合に,共有に属する株式に係る議決権の行使について会社法第106条ただし書の同意をしようとするときは,その議決権の行使が民法の共有に関する規定に従ったものであることを確認する必要があるということになる。
cf. 平成27年2月19日付け「共有に属する株式について,権利行使者の指定及び通知を欠く場合の議決権の行使(最高裁判決)」