今日・明日と日本銀行の金融政策決定会合が行われます。
国内の経済界の目も、世界の機関投資家の目も、日銀の異次元金融緩和政策が続くのか変更があるのか注目でしょう。
日銀はアベノミクスの中で、低金利で円安を維持し、日本経済をインフレ基調にすることを目指してきました。
これだけ金融を緩和すれば、円安は維持でき、物価は上がって、すぐに2%ほどのインフレになって金利引き上げも必要になり、経済は正常化すると読んでいたと思います。
政府も日銀と共に揃って「2%インフレ目標」を掲げました。
日銀が読み違ったのは「金融緩和→インフレ」という金融論では当然の因果関係が、日本では成立しなかったことです。
上の因果関係は、日本の現実では「金融緩和→利益増加→賃金上昇→インフレ」という厳密なプロセスに従わないと起きないのですが、間に挟まっている2つの条件「利益増加→賃金上昇」という因果関係が働かなかった事が「日銀の読み違い」の原因でした。
この2つの条件は「労働経済」の分野の問題で、「金融論」ではあまり出てこないからでしょうか。
いくら待ってもインフレが起きないので日銀も焦ったと思います。しかし理論的には正しいと信じて10年近く続けているうちに、全く違う原因でインフレが起きてしまいました。
それは「輸入インフレ」です。エネルギーから木材、農産品まで輸入依存度の高い日本はガソリンから燃料、動力、飼料、肥料、加工食品、日用品まで軒並み値上がりです。
政府・日銀の示していた「2%インフレ目標」は賃金も上がって賃金インフレ分が2%という想定だったのですが、輸入インフレは原因が違います。国民は「賃金は上がらないのに物価だけ騰がる」「日銀どうする」という事になってしまいました。
これは日銀のせいではないのですが、上記の「2%インフレ目標」も輸入インフレによる「4%物価上昇」もインフレには違いなにので、議論は混乱することになりました。
それに拍車をかけたのが、欧米諸国のインフレの急伸、金融引締め金利上昇による急激な円安でした。
欧米諸国は普段から2-3%の賃金インフレが普通で、輸入インフレもすぐに賃上げに転嫁し10%近いインフレになります。
変動相場制ですから、国際投機資本を刺激し、急激な円安が起き、円安は輸入物価の急激な上昇を齎します。すると「日銀が金利を上げないからだ!」という人も出るのです。
欧米のインフレが収まれば元に戻るのですが、時間がかかります。金利差は続きます。
こうした場合、日銀は金利を上げるべきでしょうか。問題は簡単には解けません。
実体経済の面からいえば、エネルギーや資源、穀物などの国際価格は安定させるべきで、多少変動しても、国内物価への影響を増幅するような賃金インフレへの転嫁は抑制し、金利の急上昇を起こさず、為替レートの急激な変動は避けるべきだという事でしょうが、そんなお行儀の良い国は日本ぐらいでしょう。
原因が外国発ですから、日銀に出来る事は限られているというのが現実ですが、この問題の底流には日本自体の政策の誤りもあります。
それは、日銀が金融緩和で円レートを正常に戻した時(2013・4年の大幅円安)と同時に必要だった賃金水準の回復がなされてこなかった事、それによる消費不振から、正常な物価水準の上昇が阻害され、長期不況が継続したという問題です。
それが、今回の輸入物価上昇と異常な円安の発生の中で一挙に顕在化し、「物価上昇は認めよう、それをカバーする賃上げが必要」という意見が一般化しているのです。
日銀だけでなく、政府が総合的な責任を持ちそれに労使(経済活動を現実に行う主体)も交えて、本格的に全国民の協力を得て初めて解決出来る問題だと思いますが、こうした主体間のコミュニケーションが十分でない事にも問題があるようです。
国内の経済界の目も、世界の機関投資家の目も、日銀の異次元金融緩和政策が続くのか変更があるのか注目でしょう。
日銀はアベノミクスの中で、低金利で円安を維持し、日本経済をインフレ基調にすることを目指してきました。
これだけ金融を緩和すれば、円安は維持でき、物価は上がって、すぐに2%ほどのインフレになって金利引き上げも必要になり、経済は正常化すると読んでいたと思います。
政府も日銀と共に揃って「2%インフレ目標」を掲げました。
日銀が読み違ったのは「金融緩和→インフレ」という金融論では当然の因果関係が、日本では成立しなかったことです。
上の因果関係は、日本の現実では「金融緩和→利益増加→賃金上昇→インフレ」という厳密なプロセスに従わないと起きないのですが、間に挟まっている2つの条件「利益増加→賃金上昇」という因果関係が働かなかった事が「日銀の読み違い」の原因でした。
この2つの条件は「労働経済」の分野の問題で、「金融論」ではあまり出てこないからでしょうか。
いくら待ってもインフレが起きないので日銀も焦ったと思います。しかし理論的には正しいと信じて10年近く続けているうちに、全く違う原因でインフレが起きてしまいました。
それは「輸入インフレ」です。エネルギーから木材、農産品まで輸入依存度の高い日本はガソリンから燃料、動力、飼料、肥料、加工食品、日用品まで軒並み値上がりです。
政府・日銀の示していた「2%インフレ目標」は賃金も上がって賃金インフレ分が2%という想定だったのですが、輸入インフレは原因が違います。国民は「賃金は上がらないのに物価だけ騰がる」「日銀どうする」という事になってしまいました。
これは日銀のせいではないのですが、上記の「2%インフレ目標」も輸入インフレによる「4%物価上昇」もインフレには違いなにので、議論は混乱することになりました。
それに拍車をかけたのが、欧米諸国のインフレの急伸、金融引締め金利上昇による急激な円安でした。
欧米諸国は普段から2-3%の賃金インフレが普通で、輸入インフレもすぐに賃上げに転嫁し10%近いインフレになります。
変動相場制ですから、国際投機資本を刺激し、急激な円安が起き、円安は輸入物価の急激な上昇を齎します。すると「日銀が金利を上げないからだ!」という人も出るのです。
欧米のインフレが収まれば元に戻るのですが、時間がかかります。金利差は続きます。
こうした場合、日銀は金利を上げるべきでしょうか。問題は簡単には解けません。
実体経済の面からいえば、エネルギーや資源、穀物などの国際価格は安定させるべきで、多少変動しても、国内物価への影響を増幅するような賃金インフレへの転嫁は抑制し、金利の急上昇を起こさず、為替レートの急激な変動は避けるべきだという事でしょうが、そんなお行儀の良い国は日本ぐらいでしょう。
原因が外国発ですから、日銀に出来る事は限られているというのが現実ですが、この問題の底流には日本自体の政策の誤りもあります。
それは、日銀が金融緩和で円レートを正常に戻した時(2013・4年の大幅円安)と同時に必要だった賃金水準の回復がなされてこなかった事、それによる消費不振から、正常な物価水準の上昇が阻害され、長期不況が継続したという問題です。
それが、今回の輸入物価上昇と異常な円安の発生の中で一挙に顕在化し、「物価上昇は認めよう、それをカバーする賃上げが必要」という意見が一般化しているのです。
日銀だけでなく、政府が総合的な責任を持ちそれに労使(経済活動を現実に行う主体)も交えて、本格的に全国民の協力を得て初めて解決出来る問題だと思いますが、こうした主体間のコミュニケーションが十分でない事にも問題があるようです。