前回は今春闘では積極的な賃上げが必要と書きました。これは多分ある程度実現するでしょう。最近のアンケート結果の3%未満の予想を超えるのではないかと思っています。
マスコミでは、ユニクロが最大4割の賃上げをして、国内従業員賃金水準を海外並みに引上げるとか。サントリーは6%アップを目指す、キヤノンは一律7000円のベースアップなど、大手企業の積極的賃上げの姿勢が見え始めています。
これらは、いずれも結構なことだと思います。
しかし、本当に日本経済の安定成長路線のへの復帰という問題を考えれば、少し構造的な問題を指摘しておかなければならないように思います。
実は、過去の賃金水準の引き下げの動きの中身を見ますと、それは、正規従業員の賃金の引き下げによるよりも、圧倒的に大きいのは、正規従業員を定年や早期退職で減らし、低賃金の非正規従業員を増やすことによって行われているという問題です。
十分に訓練された正規従業員を減らし、訓練されていない非正規従業員を増やすことで、人件費の削減は出来ても現場力、現場の生産性や能率は大きく落ちます。
これが日本企業の技術レベルアップを遅らせ、韓国や中国に追い越された大きな原因の1つであることは広く指摘され始めているところです。
つまり、正規従業員を削減し、非正規従業員で補充し賃金コストを切り下げた事は、一方では企業の賃金コストを切り下げ長期不況に対応する効果はありましたが、企業全体の熟練度を引き下げ、世界的技術革新競争の中で日本企業の競争力を大きく遅らせることになったのです。
この長期不況の中での習慣が、円レート120円になったアベノミクス以降も続き、韓国・中国はじめ多くの国々に後れを取り、1人当たりGDPが世界のベスト5入りといった地位から28位(2020年)にまで転落したことの大きな原因にもなったのです。
こう見てきますと今春闘をスタートとして今後の日本経済をかつての健全、強力なものに持ち上げていくためには、単なる賃上げではなく、非正規従業員の正規化と本格的な技術・技能形成を進め、非正規労働力を中心に、日本の労動力総体のレベルアップと賃金の上昇を改めて本格的にやることが必須なのです。
残念ながら、今春闘に向けての議論の中で、「賃上げが必要」という声は広く一般化して来た感じは受けますが、雇用者の15%ほどから40%にまで増えた非正規労働力の正規化という声は、あまり多くは聞かれません。
しかし改めて、長期不況の中で日本企業がやって来た事を確り振り返れば、最大の問題は教育訓練の行き届いた正規従業員を減らし、賃金の大幅に安い非正規従業員で当面間に合わせて賃金コストを下げ、その是正をしてこなかったという現実に気づきます。
しかもそれが、円レート正常化後も10年近く放置されたことが日本経済の正常化を大きく遅らせたことを、今日本は漸く気付き始めたという事ではないでしょうか。
賃上げ促進は必要です、しかしその人件費増の最大の部分は非正規労働力を正規化することによる賃金の上昇、さらに、徹底した教育訓練をするために充てるという視点も確り入れておいて頂きたいと思うところです。
マスコミでは、ユニクロが最大4割の賃上げをして、国内従業員賃金水準を海外並みに引上げるとか。サントリーは6%アップを目指す、キヤノンは一律7000円のベースアップなど、大手企業の積極的賃上げの姿勢が見え始めています。
これらは、いずれも結構なことだと思います。
しかし、本当に日本経済の安定成長路線のへの復帰という問題を考えれば、少し構造的な問題を指摘しておかなければならないように思います。
実は、過去の賃金水準の引き下げの動きの中身を見ますと、それは、正規従業員の賃金の引き下げによるよりも、圧倒的に大きいのは、正規従業員を定年や早期退職で減らし、低賃金の非正規従業員を増やすことによって行われているという問題です。
十分に訓練された正規従業員を減らし、訓練されていない非正規従業員を増やすことで、人件費の削減は出来ても現場力、現場の生産性や能率は大きく落ちます。
これが日本企業の技術レベルアップを遅らせ、韓国や中国に追い越された大きな原因の1つであることは広く指摘され始めているところです。
つまり、正規従業員を削減し、非正規従業員で補充し賃金コストを切り下げた事は、一方では企業の賃金コストを切り下げ長期不況に対応する効果はありましたが、企業全体の熟練度を引き下げ、世界的技術革新競争の中で日本企業の競争力を大きく遅らせることになったのです。
この長期不況の中での習慣が、円レート120円になったアベノミクス以降も続き、韓国・中国はじめ多くの国々に後れを取り、1人当たりGDPが世界のベスト5入りといった地位から28位(2020年)にまで転落したことの大きな原因にもなったのです。
こう見てきますと今春闘をスタートとして今後の日本経済をかつての健全、強力なものに持ち上げていくためには、単なる賃上げではなく、非正規従業員の正規化と本格的な技術・技能形成を進め、非正規労働力を中心に、日本の労動力総体のレベルアップと賃金の上昇を改めて本格的にやることが必須なのです。
残念ながら、今春闘に向けての議論の中で、「賃上げが必要」という声は広く一般化して来た感じは受けますが、雇用者の15%ほどから40%にまで増えた非正規労働力の正規化という声は、あまり多くは聞かれません。
しかし改めて、長期不況の中で日本企業がやって来た事を確り振り返れば、最大の問題は教育訓練の行き届いた正規従業員を減らし、賃金の大幅に安い非正規従業員で当面間に合わせて賃金コストを下げ、その是正をしてこなかったという現実に気づきます。
しかもそれが、円レート正常化後も10年近く放置されたことが日本経済の正常化を大きく遅らせたことを、今日本は漸く気付き始めたという事ではないでしょうか。
賃上げ促進は必要です、しかしその人件費増の最大の部分は非正規労働力を正規化することによる賃金の上昇、さらに、徹底した教育訓練をするために充てるという視点も確り入れておいて頂きたいと思うところです。