tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

SDGsと戦争

2023年01月28日 16時19分42秒 | 政治
終末時計が、あと90秒で0時という事になったとマスコミが報じました。

ご承知のように終末時計は人類の滅亡の時間を午前0時として、その15分前の11時45分から0時までを示した通常の時計の4分の1の部分だけの時計です。

この間まで、人類滅亡までの時間は100秒、つまり1分40秒となっていたのですが、このほどあと90秒ですと10秒進められたとのことです。

進められた主な理由はロシアのウクライナ侵攻だそうで、背景には、これがエスカレートして核戦争になれば人類滅亡の危機という危機感があるのでしょう。

他方、世界人類が、今最も重視している概念はSDGs「持続可能な開発目標」でょう。

これは世界中が「持続可能な開発」で人類社会の持続的な発展を可能にする努力をしようと、環境やエネルギー、日々の生活や教育問題、自然との共存そして平和の維持まで、17の政策目標を掲げ、それに向かって協力、努力しようという人類共通の目標です。

基本となる思想は「S=sustainable」=「持続可能な」です。人類の行う開発は総て持続可能でなくてはならない。それでこそ、人類社会の進歩はいつまでも続くことが出来るという視点が重要なのです。

そうした中で、ロシアのウクライナ侵攻は、決定的にそれを否定する行動だという事を、終末時計を管理する科学者たちは世界に知らせたわけです。

戦争は破壊そのものです。人類の開発した成果を破壊することによって、得られるものは終末への接近でしょう。
更に人類を、個人に分けて考えれば、多くの人の命が失われます。これは個人にとって終末そのものです。SDGsが17の目標の最後に平和を挙げている所以でしょう。

世界人類がこうした問題意識からSDGsという理念を掲げ「持続可能な開発」、それによる「持続可能な人類社会の発展」を目指しているのです。日本はこれをどう受け取るべきでしょうか。

縄文以来「自然との共存」を人間の在り方と考え、1945年以来戦争をしない事を憲法に謳った日本にとっては、最大限の期待を持って協力する目標が与えられたことになるのではないでしょうか

ところで、論戦の続く今国会の中身を見てみますと、どうでしょうか。
国民生活の安定のための政策も勿論議題で、目玉は異次元の少子化対策などと言われていますが、一方では防衛力強化という形で、戦争準備のための高額な予算を急速に積み上げようとしているのです。

いくら国民生活の安定向上などと言っても、いったん戦争に巻きこまれれば、そんなものは雲散霧消し、起きるのは破壊と殺戮、SDGsが最も嫌う、終末時計を進め、多くの人に人生の週末を齎す結果となることは明らかです。

国民の生活の安定向上を議論するのであれば、並行して「いかにして戦争に至ることがないようにするか」を、何にも増して徹底議論すべきではないのでしょうか。

平和憲法を掲げ、SDGsに積極的な日本政府にして、一体何をしているのかと問いたくなるのは、私だけではないと思います。