tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価3指数:東京都区部2023年1月速報

2023年01月30日 10時58分04秒 | 経済
先週、標記、東京都区部の消費者物価指数の2023年1月速報が発表になりました。

消費者物価上昇もそろそろピークを打つのではないかと予想していたのですが、案に相違して、総合で4.4%、生鮮食品を除く総合で4.3%という対前年同月上昇率で、前月(12月)4%辺りが上限かなという感じとは違ったものになりました。

気になったので、2022年に入ってからの動きをチェックしてみようと思い、東京都区部と全国のグラフを並べてみました。

並べてみれば東京都区部の動きも全国の動きも、総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品とエネりぎーを除く総合の3指数いずれもほとんど差のない動きで、何時も書いていますように、「東京都区部の数字は全国の先行指標」といわれるのも当然という感じです。

   東京都区部消費者物価3指数:対前年上昇率の推移(%)
    =下は対比のための全国の同指数の推移(%)=

                    資料:総務省統計局

そういう視点で見ると、昨年11月以来の上昇率の鈍化は、これで値上げも一巡、そろそろ消費者物価も落ちついて来るのではないかとはいかないのかなと少し心配になります。

消費者物価は、昨年1月まで下がり気味だったのが、原油・ガソリンの値上げで火が付き2~4月と急騰、その間、今まで落ち着いていた日常的な消費物資の動きに急激な変化が生じたことから上昇率が高まることになりました。

物価のベースは、図の一番下の緑の線、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」です。これがずっと安定していたのですが、ガソリンやエネルギー価格(電気、ガス、灯油など)が急上昇したので、これまで値上げを我慢していた国内の日用品の一般消費物資のメーカーも、もう我慢できないと一斉に価格引き上げに動いたのです。

ですから4月以降で見ますと、エネルギー価格が含まれている青や赤の線よりも、緑の線の方が余計上って、差を詰めている感じもあります。
そのうえ、円高になって、輸入品の価格は、みんな一律に上がることになりました。

エネルギーの国際価格は秋以降、反落もしていますので、今後の消費者物価の上昇は、国内の一般消費物資の、値上げがどれ程になるか、もう一つ、国の補助金などで値上げを防いだ電力などの4月から大幅値上げなどという政治要因でしょう。

その意味で今後の物価上昇は緑の線が上げ続けるか(これまで値上げせずに我慢してきた分がまだ残っているか)、そろそろ値上げ一巡で落ちつくかにかかっているという事でしょう(緑の線が横這い以なれば青も赤も横這いになる)。

その点から見ますと、東京都区部の1月速報の緑の線が上昇を強めているのが些か気になるのですが、これは殆どが、都市ガスの値上がりという東京の事情が大きいようなので、全国では、11月、12月に見られたような一般消費物資の価格が安定すれば、物価も上昇から横ばいになる可能性もあるがと思っているところですがどうでしょうか。