tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済の現状と賃金決定:「連合の出番」では !

2023年09月19日 14時11分05秒 | 労働問題
最近の生活必需品の価格上昇が著しい事は、統計で見ても、買い物に行っても多くの方がお気付きです。

10月からはまた数千種類の生活必需品の値上げが予定されていることはNHKの報道で拝見しましたが、そうした商品のメーカーも値上げしにくくなっているのではないでしょうか。既に総務省の「家計調査」などでは、家計の買い控えの様子が見えています。

政府もエネルギー関係の商品・サービスについては、補助金を出して値上げを抑えようとしていますが、短期的な円安対策ならいざ知らず、輸入価格の上昇が長引けば続けられない事は明白です。

国際的にインフレの中で、日本だけ物価安定というのがこれ迄でしたが、最近は財政赤字の拡大、円安の放置が顕著で、物価はじりじり上がり、実質消費の減退から低成長経済の常態化というアベノミクスの延長線上に戻りそうな気配です。

何処で間違ったかですが、間違ったなら、今までと違った事をやらなければなりません。それなら何をやるかです。

という事で、主要国がみんなインフレだったら、日本も思い切ってインフレにしてみたらどうでしょう。生活必需品の値上げが続いて、生活が苦しくなったら、消費支出を削るのではなくて、十分な賃上げをして消費を活発にするのです。

そんなことをしたら企業が潰れる、企業にそんな賃金支払能力はない、と言う前に、企業も値上げして利益を確保するのです。現にいま多くの企業がそれをやっています。

十分な賃上げがあれば、家計は節約せずに買い物を楽しみます。多少の値上げでも消費意欲は衰えず、「消費不振」解消は賃上げで可能です。

ある程度の物価上昇は続くでしょう。それはOKです。いま日本の物価は、円安のせいで、国際的にみて異常に低いのです。円安が収まり円レートが110円~120円になっても、「日本製」は国際競争力があり、インバウンドは盛況を続けるでしょう。

注意すべきは、欧米主要国以上のインフレにはしない事だけです。これは日本の労使は、十分に理解していると思っています。

50年前第一次石油危機の際33%の賃上げの結果の22%のインフレを反省した当時の経営者団体(日経連)は「翌年の賃上げは15%以下」と提言し、日本の労使は協調して13%という結果を出し、日本経済をインフレ→スタグフレーション転落から救いました。

来年の春闘では連合が「賃上げ15%以上(注)」を提言し、日本を消費不振の低成長経済から救うというのはどうでしょうか。

こうした提言が出来るのは連合だけですし、消費不振の解消には賃上げ以外の方法はないというのが現状です。つまり連合にしか出来ない事です。(野党結集のバックアップが 得られればベスト)
今回は、まさに「連合の出番」ではないかと思っています。
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(注)15%は50年前の日経連との語呂合わせです。「10%以上」でもいいでしょう。これは賃上げ(純粋ベースアップ)の平均値で、構造的な視点では、家計に責任を持つ非正規従業員の正規化(教育訓練を含む)を強力に要求する必要があるでしょう。