tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2023年8月、消費者物価上昇基調変わらず

2023年09月22日 13時44分02秒 | 経済
今朝、総務省統計局から2003年8月分の消費者物価指数が発表になりました。
大方の予想通り、消費者物価の動きに特段変化がなかったところから、マスコミの報道では小さく「3.1%の上昇」と例月通りの生鮮食品を除く総合の数字が見出しでした。

特段変化がなかったという事の中身は、しかし複雑で、8月は生鮮食品の伸び率が低かった事もありますが、大きいのは、政府の補助金の継続で電気代が2割、都市ガス代が1割ほど前年より下がっている(2月以降)ことなどが含まれています。

10月以降、これらの補助金がどうなるかで、消費者物価が大きく動く可能性もあるわけで、政府は補助金で人気を維持する様子ですが、本来の経済現象を歪めてその皺が財政赤字によっている事を見ないと本当の動きは解りません。

それはともかく、毎月注目している主要3指数の動きをグラフで見ますと、総合、生鮮を除く総合、エネルギと生鮮を除く総合の青、赤、緑の3本の線は従来通りの角度で上がっていて、生鮮の上昇鈍化の影響が総合にかすかに出ている程度です。

   消費者物価指数主要3指数の動き

             資料:総務省統計局「消費者物価指数」

下のグラフの対前年同月比の数字を見ますと、総合と生鮮を除く総合は政府の補助金政策で、次第に横ばいの動きになっていますが、緑の線の生鮮とエネルギーを除く総合は相変わらずの上昇基調です。

      消費者物価指数主要3素数の対前年同月上昇率(%)

                     資料:上に同じ

この緑の線は、加工食品、菓子、飲料、調味料などの食料、それに毎日使う日用品などいわば生活必需品が多いのですが、このグループの上昇率は相変わらず高く、からあげ、ハンバーガー、アイスクリーム、炭酸飲料やトイレットペーパーなど年率1割ないしそれ以上の上昇率をづけているものも多い状態です。

円安も続く気配、エネルギーの国際価格の上昇で、政府の補助金も何時までも続けられるものでもないと思われますので、物価問題はなかなか安心とは言えないようです。

このブログでは、世界中インフレなので、日本だけインフレを抑えるのは無理だから、思い切って賃上げをする方が適切な政策ではないかと指摘していますが、それには連合が動かなければだめでしょう。

1980年代までは、日本の労働組合もそういう元気を持っていたのですが、今の連合は大人しくなり過ぎではないでしょうか。
現状では、補助金より賃上げの方が健全だと思っている人も多いのではないでしょうか。

余計なことも書きましたが、岸田政権が今の世界と日本の経済情勢を的確に判断できるかどうかが鍵でしょうから、些か難しいとは思いますが、秋以降の経済政策に期待したいと思うところです。