UAW(全米自動車労組)の協約改定交渉は賃上げ率で応酬が続いているようです。
前回も触れましたが、UAWと「ビッグ3」の労働協約は4年ごとで、9月14日に協定期間が切れ、話し合いは折り合わずにストに入ったという事です。
主要課題の賃上げ要求は、今年20%、来年以降5%で協定期間は4年で累計39%です。
日本では複数年協定は基幹労連の2年以外にはないようですから、単純に比較はできませんが、経済情勢や物価に応じた賃上げという狙いは共通でしょう。
先ずアメリカ(UAW)ですが、正常な経済状態であれば5%賃上げというのがUAWの基本的な考え方でしょう。
我々が驚くのは初年度の20%ですが、これは昨年からの10%近いインフレによる生活費上昇をカバーする2年分の要求という事でしょう。
報道の中ではUAWの中にも初年度18%という妥協案もあったようで、この場合は4年間で36%と言っているようです。(アメリカのインフレはピークで8%台でした)
「ビッグ3」の側ではクライスラーの親会社のステランティスの提示した21%(おそらく初年度8%、あと3年は4%)についてUAWは問題にしていないようです。
UAWの要求の目玉は、初年度の大幅(2年分)部分ですが、今年にないってFRBの努力でインフレ率は日本並みですから些か無理筋でしょうか。
ところで日本の場合ですが、連合の今春闘の要求は「5%程度」でした。物価上昇傾向はありましたが、何とも控えめです。
恐らく来春闘ではかなり高くなると思いますが、実は問題があります。
日本の賃上げ要求はかつての労働4団体のころから「定昇+ベア」です。アメリカの賃上げは「賃金表の書き換え」ですからもともとベアそのものです。
定昇(2%程度)というのは賃金協定で決まっているのですから上がって当たり前で、本当の賃上げはベア部分だけなのです。
特に定年再雇用の場合などは、賃金は7割とか5割に下がります。高齢化でそういう方も増えていますが、これは春闘賃上げの計算には入らないようです。
しかし、賃金統計(毎月勤労統計)などで見れば、賃金水準の低下要因で、国民所得統計の雇用者報酬、個人消費支出にはマイナス要因です。
日本経済はこのところずっと個人消費の低迷で成長しないというのが実態ですが、連合が「春闘と、日本経済の活性化、成長経済への進展」との関係を考えるならば、春闘の賃上げについても、要求の幅は勿論、賃上げ率の提示の仕方も再検討の要があるのかもしれません。
所で経済実態と賃金の関係を考えれば、アメリカの「ビッグ3」が利益を稼いでいるのは、中国を始め途上国の工場でしょう。アメリカの賃金水準で、車を作って、どこまで競争力があるかです。しかもドルは今金利上昇で当分「ドル高」でしょう。
翻って日本を見れば、国内の工場生産が重要で、車だけでなく多くの製品で、生産設備の国内回帰が言われるだけの競争力を維持し、さらにこの所、大幅な円安で、コストも物価も極めて安い国になっています。
端的に言えば、アメリカの賃上げは、アメリカの赤字を増やす効果を持ち、日本の賃上げは、日本の黒字を減らす効果を持つという事でしょう。日本では大幅賃上げが国(日本経済)の為なのです。
この儘ではいずれまた円高要請を呼び、プラザ合意の二の舞になるかもしれません。
ならば、このチャンスに、国内の賃金コストと物価を『計画的に』引き上げて、円高要請に対する防波堤とすることが、日本の賃金政策の中にあってしかるべきでしょう。
日本は、真面目な努力を円高で苦しみに変えてきました。今後はその努力分を賃上げし、国民が日本経済の豊かさとして活用することを考えるのが大事ではないでしょうか。
前回も触れましたが、UAWと「ビッグ3」の労働協約は4年ごとで、9月14日に協定期間が切れ、話し合いは折り合わずにストに入ったという事です。
主要課題の賃上げ要求は、今年20%、来年以降5%で協定期間は4年で累計39%です。
日本では複数年協定は基幹労連の2年以外にはないようですから、単純に比較はできませんが、経済情勢や物価に応じた賃上げという狙いは共通でしょう。
先ずアメリカ(UAW)ですが、正常な経済状態であれば5%賃上げというのがUAWの基本的な考え方でしょう。
我々が驚くのは初年度の20%ですが、これは昨年からの10%近いインフレによる生活費上昇をカバーする2年分の要求という事でしょう。
報道の中ではUAWの中にも初年度18%という妥協案もあったようで、この場合は4年間で36%と言っているようです。(アメリカのインフレはピークで8%台でした)
「ビッグ3」の側ではクライスラーの親会社のステランティスの提示した21%(おそらく初年度8%、あと3年は4%)についてUAWは問題にしていないようです。
UAWの要求の目玉は、初年度の大幅(2年分)部分ですが、今年にないってFRBの努力でインフレ率は日本並みですから些か無理筋でしょうか。
ところで日本の場合ですが、連合の今春闘の要求は「5%程度」でした。物価上昇傾向はありましたが、何とも控えめです。
恐らく来春闘ではかなり高くなると思いますが、実は問題があります。
日本の賃上げ要求はかつての労働4団体のころから「定昇+ベア」です。アメリカの賃上げは「賃金表の書き換え」ですからもともとベアそのものです。
定昇(2%程度)というのは賃金協定で決まっているのですから上がって当たり前で、本当の賃上げはベア部分だけなのです。
特に定年再雇用の場合などは、賃金は7割とか5割に下がります。高齢化でそういう方も増えていますが、これは春闘賃上げの計算には入らないようです。
しかし、賃金統計(毎月勤労統計)などで見れば、賃金水準の低下要因で、国民所得統計の雇用者報酬、個人消費支出にはマイナス要因です。
日本経済はこのところずっと個人消費の低迷で成長しないというのが実態ですが、連合が「春闘と、日本経済の活性化、成長経済への進展」との関係を考えるならば、春闘の賃上げについても、要求の幅は勿論、賃上げ率の提示の仕方も再検討の要があるのかもしれません。
所で経済実態と賃金の関係を考えれば、アメリカの「ビッグ3」が利益を稼いでいるのは、中国を始め途上国の工場でしょう。アメリカの賃金水準で、車を作って、どこまで競争力があるかです。しかもドルは今金利上昇で当分「ドル高」でしょう。
翻って日本を見れば、国内の工場生産が重要で、車だけでなく多くの製品で、生産設備の国内回帰が言われるだけの競争力を維持し、さらにこの所、大幅な円安で、コストも物価も極めて安い国になっています。
端的に言えば、アメリカの賃上げは、アメリカの赤字を増やす効果を持ち、日本の賃上げは、日本の黒字を減らす効果を持つという事でしょう。日本では大幅賃上げが国(日本経済)の為なのです。
この儘ではいずれまた円高要請を呼び、プラザ合意の二の舞になるかもしれません。
ならば、このチャンスに、国内の賃金コストと物価を『計画的に』引き上げて、円高要請に対する防波堤とすることが、日本の賃金政策の中にあってしかるべきでしょう。
日本は、真面目な努力を円高で苦しみに変えてきました。今後はその努力分を賃上げし、国民が日本経済の豊かさとして活用することを考えるのが大事ではないでしょうか。