tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

FRBと日本銀行:日米物価の見方と対策

2023年09月14日 17時30分12秒 | 経済
FRBと日本銀行:日米物価の見方と対策
円安がまた進んでいます。
嘗ては、プラザ合意、リーマンショックで、大変な円高に追い込まれ、30年近く円高不況に呻吟した日本経済です。

2013~14年の日銀の政策変更で円高が解消しましたが、それに対応する国内経済政策がとられなかったせいで、その後10年ゼロ近傍成長で、相変わらず冴えない日本経済です。

昨年辺りから、少し国民の意識にも変化し、円安に対応する国民の自然な経済行動が見られ、今年あたりから日本経済も正常化に向かうかと思われたのですが、アメリカの金利引き上げで、国内の自然の動きが混乱、また日本経済は混乱状態に入ったようです。

それに対して、今のところ、政府も日銀も、適切で効果的、具体的な対応に資する経済の理論も政策の説明もなく行動もはっきりしません。

今、アメリカは、金融引締めを再び強める姿勢で、それを反映して円安はじりじり進む気配です。FRBが気にしているのはCPI(消費者物価)の上昇が収まらないという事です。

アメリカの8月の消費者物価上昇率(総合)は対前月0.6%(対前年同月3.7%)で、エネルギー価格が対前月で10.5%(対前年同月では-4.2%)、これがFRBの懸念のようです。

それ以外は、運送サービスの0.3%(対前年同月10.3)ぐらいで、食品は0.2%、エネルギーと食品を除くいわゆるコアコアは0.3%(対前年同月4.3)で、アメリカの感覚では正常の範囲でしょう。

日本の場合はまだ7月分ですが、分類の違いはありますが、対前年同月で総合が3.3%、食料8.8%、家具家事用品8.4%、教養娯楽が4.8%、光熱水道は-9.6%、生鮮食品とエネルギーを除く総合(コアコア)の4.3%は偶然8月のアメリカと同じです。

これは日本の感覚としてはかなり高いインフレで、エネルギー価格が政府の補助金で下がっているのが(困った)特徴ですが、食料・日用品といった生活必需品価格の上昇が異常です。
 
最近の日本の生活必需品の値上がりは$1=150円に近づいた円安が原因と言われ、補助金でエネルギー価格下げるという政策が終わったら大変でしょう。

エネルギー、食料の自給率が大変低い日本、それに対して殆ど自給のアメリカの経済構造の違いと、他国の都合は関係なく、インフレに異常にの敏感になって、金利引き上げで実体経済を無視した為替レートの変動を起こして意に介さないアメリカ、そして、まともにその影響を受ける日本です。

日本経済の実体経済に適切な110円程度の円レートであれば、日銀は余り困ることもないかと思うのですが、変動相場制の今日、こうした問題に日本の中央銀行は、もちろん政府も含めて、新しい対応策を考えなければならないのです。

勿論常識的には、政府・日銀に頼るのが当たり前でしょう。しかし、それで上手く行かないときはどうするかです。

振り返ってみれば、1973年第一次石油危機がありました。あの時は、政府も日銀も大変な努力をしました。しかし。世界も驚くような大きな役割を果たしたのは、日本の労使だったと考えて多分誤りはないでしょう。

今、政府、日銀にも適切な具体策を考えて欲しいと思いますが、同時に、長期不況の中での苦難の経験を生かし、新手の日本経済起死回生の策を、日本の労使にも積極検討してほしいと思うところです。