賃上げか物価抑制か:当面する経済対策
毎月勤労統計が発表される毎に、マスコミには「実質賃金今月もマイナス」といった記事が出ます。
もうどのくらいマイナスが続いているのでしょうかグラフにしてみました。
現金給与総額(指数)、消費者物価、コアコアの前年比上昇率(%)
資料:厚労省「毎月勤労統計」・総務省「消費者物価指数」
図の賃金は5人以上の事業所の全労働者の現金給与総額の指数(名目値)で、消費者物価指数は「総合」と「コアコア」で、数字はそれぞれの指数の対前年同月上昇率です。
青線が名目賃金の毎月の対前年上昇率で、赤線が消費者物価指数(総合)の対前年同月上昇率ですから、赤線が青線の上に出れば、その月の実質賃金は前年に比較して下がった、つまり実質賃金マイナスという事になります。
ご覧頂きますように、昨年4月から赤線が青線の上に出て、その後は、昨年末のボーナスが比較的良かったものですから、微かに赤線の上に出ましたが、それ以外はずっと実質賃金の伸びはマイナスという事です。
賃金指数の青線について気になるのは今年に入って予想よりも上昇率が伸びていない事です。
昨年12月のボーナスの伸びが高かったのは、企業業績の好調や、コロナの終息も見込まれ、2023年の春闘では労使が共に「賃上げが必要」という見方で一致するなど、雰囲気の変化が感じられましたが、実績を見ますと今年5月以外は、賃上げろ値が高まったという様子はほとんど感じられません。
賃上げの雰囲気が盛り上がった割に2023春闘が、実績としてはこの程度のものだったという事は些か信じられないのですが、統計に嘘はないでしょうから、実際の賃金レベルの上昇は名目値で2%まで行っていないという事なのでしょうか。
特に緑の線をご覧ください、これは「コアコア」と書いてありますが、エネルギーと生鮮食品を除く消費者物価指数で、日本の国内事情で起きているものです。
どんな国内事情かと言いますと、最近の主な原因は「円安」です。
円安は円レートが1ドル110円近辺から147円になりました。日銀は一時的なものと言っていましたが、まだまだ長くなりそうです。
ガソリンもアメリカでは下がっていますが日本では上がっています。小麦や、大豆、トウモロコシも同じです。円が安くなった分日本の物価は上がるのです。
それなら日本の賃金も上がればいいのですが、賃金は上がりません。アメリカやヨーロッパでは、こういう時は労働組合が強くなり賃金が上がります。
去年から上がり過ぎて10%前後のインフレになって、大慌てで金利の引き上げです。
何故上がらないのでしょう。日本の産業の生産性は特に変わらないのですから、「円安になった分だけ」経済学的には賃金が上がっても特に問題はないはずです。
少なくとも、物価上昇をカバーするぐらいの賃金上昇がないと、消費が減退、物価上昇も止まって、景気が悪くなり、生産性が下がって縮小均衡になるのが結果(オチ)でしょう。
この辺りのバランス感覚が政府や日銀、それに連合や経団連にないと、日本経済の復活は(アメリカのインフレ次第のようなことになったりして)、容易ではないでしょう。
どうでしょう、騙されたと思って、思い切って、労使で図って「秋闘」をやり、家計を担う非正規労働者の正規化を重点に、平均10%ぐらいの臨時賃上げをやったら ・・・。
日本経済は元気になりますよ。
毎月勤労統計が発表される毎に、マスコミには「実質賃金今月もマイナス」といった記事が出ます。
もうどのくらいマイナスが続いているのでしょうかグラフにしてみました。
現金給与総額(指数)、消費者物価、コアコアの前年比上昇率(%)
資料:厚労省「毎月勤労統計」・総務省「消費者物価指数」
図の賃金は5人以上の事業所の全労働者の現金給与総額の指数(名目値)で、消費者物価指数は「総合」と「コアコア」で、数字はそれぞれの指数の対前年同月上昇率です。
青線が名目賃金の毎月の対前年上昇率で、赤線が消費者物価指数(総合)の対前年同月上昇率ですから、赤線が青線の上に出れば、その月の実質賃金は前年に比較して下がった、つまり実質賃金マイナスという事になります。
ご覧頂きますように、昨年4月から赤線が青線の上に出て、その後は、昨年末のボーナスが比較的良かったものですから、微かに赤線の上に出ましたが、それ以外はずっと実質賃金の伸びはマイナスという事です。
賃金指数の青線について気になるのは今年に入って予想よりも上昇率が伸びていない事です。
昨年12月のボーナスの伸びが高かったのは、企業業績の好調や、コロナの終息も見込まれ、2023年の春闘では労使が共に「賃上げが必要」という見方で一致するなど、雰囲気の変化が感じられましたが、実績を見ますと今年5月以外は、賃上げろ値が高まったという様子はほとんど感じられません。
賃上げの雰囲気が盛り上がった割に2023春闘が、実績としてはこの程度のものだったという事は些か信じられないのですが、統計に嘘はないでしょうから、実際の賃金レベルの上昇は名目値で2%まで行っていないという事なのでしょうか。
特に緑の線をご覧ください、これは「コアコア」と書いてありますが、エネルギーと生鮮食品を除く消費者物価指数で、日本の国内事情で起きているものです。
どんな国内事情かと言いますと、最近の主な原因は「円安」です。
円安は円レートが1ドル110円近辺から147円になりました。日銀は一時的なものと言っていましたが、まだまだ長くなりそうです。
ガソリンもアメリカでは下がっていますが日本では上がっています。小麦や、大豆、トウモロコシも同じです。円が安くなった分日本の物価は上がるのです。
それなら日本の賃金も上がればいいのですが、賃金は上がりません。アメリカやヨーロッパでは、こういう時は労働組合が強くなり賃金が上がります。
去年から上がり過ぎて10%前後のインフレになって、大慌てで金利の引き上げです。
何故上がらないのでしょう。日本の産業の生産性は特に変わらないのですから、「円安になった分だけ」経済学的には賃金が上がっても特に問題はないはずです。
少なくとも、物価上昇をカバーするぐらいの賃金上昇がないと、消費が減退、物価上昇も止まって、景気が悪くなり、生産性が下がって縮小均衡になるのが結果(オチ)でしょう。
この辺りのバランス感覚が政府や日銀、それに連合や経団連にないと、日本経済の復活は(アメリカのインフレ次第のようなことになったりして)、容易ではないでしょう。
どうでしょう、騙されたと思って、思い切って、労使で図って「秋闘」をやり、家計を担う非正規労働者の正規化を重点に、平均10%ぐらいの臨時賃上げをやったら ・・・。
日本経済は元気になりますよ。