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裁判手話通訳者の交流をやりませんか

2011-06-06 | 手話

少し古くなったが福岡でのろう者の刑事事件裁判を伝える二つの記事。

被告は 聞こえないだけではなく 毎日新聞が書いてあるように知的障害を併せ持っているのだと思うが、ほかの地域でもろう者の刑事裁判は続いている。

夏の全通研修会ででも経験交流を行ったらどうだろう。 ぜひご連絡を。 

障害理由に「刑猶予を」 窃盗事件公判で弁護側 福岡地裁

2011年5月24日 10:05

 他人のアパートに侵入し現金を盗んだとして窃盗などの罪に問われた福岡県内の男の被告(63)の初公判が23日、福岡地裁(高原正良裁判官)であった。被告は先天的に全く耳が聞こえず言葉も話せない障害があり、過去にも同様の罪を繰り返して19回の有罪判決を受け、20年以上も刑務所に入っている。今回の事件の捜査で新たに軽度の知的障害があることも判明した。深刻な障害がありながら、周囲の支援が不十分で服役を繰り返す被告をどのように処遇するべきなのか。判決は6月13日に言い渡される。

 起訴内容には争いがなく、検察側は「障害を考慮しても前科が多い」として懲役2年を求刑。弁護側は「被告は刑事司法と福祉のはざまでこぼれ落ちた。社会内で生活するため最善の方法を検討すべきだ」と執行猶予付きの判決を求め、結審した。

 被告は昨年9月に福岡市博多区のアパートに侵入、現金3万円を盗んだとして、今年3月に起訴された。

 弁護側によると、被告は1人暮らし。別に暮らす家族にも障害がある。障害者の年金8万円を受給しているが、福祉サービスは受けていない。金銭管理ができず、別居の弟に任せており、起訴された事件は現金が手元になくなったため起こしたという。

 初公判は手話通訳人が被告にすべてのやりとりを訳す形で進行。被告は起訴内容を認め、質問には「被害者にお金を返さないといけないことは分かる」「仕事がしたい」と手話で述べた。しかし時折、手話通訳人の手話をただ繰り返すだけで質問に答えられず、審理が進まない場面もあった。

 検察側は、傘を使い鍵を外す手口などに触れ「大胆で慣れた犯行。相当期間刑務所に入所すべきだ」と主張。

 弁護側は「責任能力は欠如していないが、健常者と同じではない。刑事施設での矯正は期待できず、福祉施設への入所が必要。なぜ罪を繰り返すのか、社会全体で考える必要がある」と訴えた。

=2011/05/24付 西日本新聞朝刊=

 

取材ノート:知的障害者の更生は /福岡

 「この法廷、見ませんか」。先日、地裁の廊下で弁護士から声をかけられた。窃盗などを重ね、服役19回、22年以上を刑務所で過ごした初老の男が、空き巣の罪に問われている。男は耳が聞こえず、話すこともできない。知的障害も抱えていた。

 初公判は手話通訳を通じて進められた。しかし男は通訳と同じ手話を繰り返すばかり。起訴内容の確認や被告人質問など、裁判官や検察官の言葉が手話で通訳されたが、その意味を理解しているのか疑問を感じた。

 今回の罪で検察は懲役2年を求刑した。弁護士は「収監してもまた罪を犯す。(外の)授産施設で就労の場を見つけたい」と執行猶予付き判決を求めた。判決は来月13日。知的障害者の更生という難題を自分も考えながら法廷に足を運ぶつもりだ。

〔福岡都市圏版〕

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渡辺 修
甲南大学法科大学院教授(2004年4月より)、刑事訴訟専攻。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。法学博士、LLM(コーネル大学ロースクール)

長尾 ひろみ
神戸女学院大学文学部助教授、通訳論専攻。神戸女学院大学文学研究科修士課程修了。文学修士。1982年より法廷通訳人として法廷の現場で通訳をしている。日本司法通訳人協会会長を務める

水野 真木子
千里金蘭大学人間社会学部助教授(2004年4月より)、通訳論、異文化コミュニケーション論専攻。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。国際関係学修士。会議通訳、法廷通訳などを経て、現在は大学を中心に通訳教育に携わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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著者について

渡辺 修(甲南大学法科大学院教授) 水野 真木子(金城学院大学教授) 中村 幸子(愛知学院大学准教授) ※刊行年現在
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