一般社団法人 全国手話通訳問題研究会の「専門的な手話通訳者の雇用状況に関する調査研究事業報告書」が出た。
全通研は1990年から5年ごとに手話通訳者の労働と健康などについて実態調査を行い、結果を報告してきた。
結果はこれまで同様に厳しいものである。いや、手話通訳者の労働条件へこれまで以上に厳しくなってきている。
自治体に雇用される手話通訳者 正規職員が1990年の61名から48名へと減少しているのに対し非正規職員は209名から647名へ。団体雇用の手話通訳者は正規職員109名⇒169名、非正規職員は78名⇒248名。
若い通訳者は減り続け、年齢の多いものが増えてきている。30歳未満の人が1990年17.1%⇒3.2%に対し50歳代が10.3%⇒38.9%、60歳以上が2.6%⇒11.3%となってきている。
他にももちろんいろんなことについて調査がなされ結果の分析がなされているが、私は緊急的な課題として手話通訳者の労働条件を上げる取り組みが必要だと思う。
一応少しは触れられているが、こんなに状況がはっきりしているのに、どうして緊急の課題として一番に挙げないのだろうかと疑問がある。
頚肩腕障害も 一つの職業病が数年の取り組みの中で同種の職業病としてはおきなくなっているものが多いのに手話通訳者の頚肩腕障害はどうしてこんなに10年、20年が経過しても同じようなことが繰り返されるのだろうか…。
手話通訳者が、「聴覚障害者の情報・コミュニケーション保証の専門職」であり、「その専門業務の内容の確立」や「業務水準を確保する」ためには まず、手話通訳者の労働条件の改善がその出発点であろう。
そろそろ、「手話通訳者の使い捨て事業」から私たちは方向を転換すべきだと私は考える。