挽歌24首「悠久の月日」を
○ 競うごと 大和歌壇に投稿せし 竹馬の友の逝きし 古希にて
○ 入選の 歌数甲乙つけ難し ライバル消えたり 大親友の
○ 突然の 弔辞依頼に うろたふに ゑみし遺影に 五分語りぬ
○ 癌とふ奴 悪鬼の如し 丸五年 戦い抜きて 友力尽く
○ 君と在りて 濃厚なりし 若き日の その日その時その場所その顔
○ サヨナラを告げし 彼岸でまた会ほふと 弔辞終えたり お別れの会
○ 共に載る 大和よみうり文芸の 順位の後先 こころ騒ぎて
○ ボロアパート 共同生活 自炊せし 青春のひととき 忘れ難かり
○ 君送る 君の葬儀に 僕が居て 僕の別れに 君居ぬ不都合
○ 青春の 蹉跌分け合いし 日日の 必須の友なり 前半生の
○ 渾名にて ハタン・マンボと 呼び交わす 瑞瑞し日々 遠く遙けし
○ 掲載の 入選歌読み 知り初むる 去年の睦月に 癌と戦すと
○ 歌詠みの 君に相応し 入選の 一首葬儀の 御礼の葉書に
○ 残りたる コトバと想い 君の待つ 向こう岸にて いつか語らむ
○ 寂しいぞ ハートの欠片 持ち去りし 君の仕業の 故の虚ろさ
○ 会者定離 熟語知りしが 現実の 厳しおさらい 胸深く落つ
○ 朝が来て 昼来て夜来て 何事も なく移ろいぬ 君のみ不在の
○ 幸せの 時間生きしか 穏やかに 笑みたる遺影 そを物語りて
○ ペン持てば 五七五は すらすらと 一気呵成に 七七に至る
○ ひと息に 挽歌二十四首 書き上げて 仏前に手向けぬ 些かの供養に
○ 君と居た 空間月日 時間場所 その悠久を 慈しみ抱く
○ 君の死に 詠みし挽歌の 易々と 追悼歌集編む 「悠久の月日」を
○ 歌と詩と 君に届けむ 喪失の ”のたうち”幾つ 言霊にして
○ 書けるだけ 迸るだけ Utaにせむ 君と契りし 悠久の月日を
※挽歌「悠久の月日」二十四首を、わが友「Y・H君」の墓前に捧げる。
別れUTA「心ゆくまで別れの咆哮を」
ああ、其処此処でイノチは生まれ
ああ、其処彼処でイノチは亡くなる
誰かが何処かで繰り返す生死
知らぬ間に循環してゆくイノチのサイクル
数知れずの哀楽を育み
その都度に
億リットルの涙を絞って
移ろってゆく月日の無常よ
ああ、一粒の砂の悲哀よ
それゆえ、触れ合った一粒の
永遠の別れを心ゆくまで・・
睦み合った奇蹟の時間を
結び合った幸福のひとときの縁のことを
おお、心ゆくまで・・
R2 02/14 07:00:07 万甫