降って来るもの

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「悠久の月日」を-挽歌二十四首-

2020-02-14 07:01:05 | 短歌

      挽歌24首「悠久の月日」を

 

○ 競うごと 大和歌壇に投稿せし 竹馬の友の逝きし 古希にて

 

○ 入選の 歌数甲乙つけ難し ライバル消えたり 大親友の

 

○ 突然の 弔辞依頼に うろたふに ゑみし遺影に 五分語りぬ

 

○ 癌とふ奴 悪鬼の如し 丸五年 戦い抜きて 友力尽く

 

○ 君と在りて 濃厚なりし 若き日の その日その時その場所その顔

 

○ サヨナラを告げし 彼岸でまた会ほふと 弔辞終えたり お別れの会

 

○ 共に載る 大和よみうり文芸の 順位の後先 こころ騒ぎて

 

○ ボロアパート 共同生活 自炊せし 青春のひととき 忘れ難かり

 

○ 君送る 君の葬儀に 僕が居て 僕の別れに 君居ぬ不都合

 

○ 青春の 蹉跌分け合いし 日日の 必須の友なり 前半生の

 

○ 渾名にて ハタン・マンボと 呼び交わす 瑞瑞し日々 遠く遙けし

 

○ 掲載の 入選歌読み 知り初むる 去年の睦月に 癌と戦すと

 

○ 歌詠みの 君に相応し 入選の 一首葬儀の 御礼の葉書に

 

○ 残りたる コトバと想い 君の待つ 向こう岸にて いつか語らむ

 

○ 寂しいぞ ハートの欠片 持ち去りし 君の仕業の 故の虚ろさ

 

○ 会者定離 熟語知りしが 現実の 厳しおさらい 胸深く落つ

 

○ 朝が来て 昼来て夜来て 何事も なく移ろいぬ 君のみ不在の

 

○ 幸せの 時間生きしか 穏やかに 笑みたる遺影 そを物語りて

 

○ ペン持てば 五七五は すらすらと 一気呵成に 七七に至る

 

○ ひと息に 挽歌二十四首 書き上げて 仏前に手向けぬ 些かの供養に

 

○ 君と居た 空間月日 時間場所 その悠久を 慈しみ抱く

 

○ 君の死に 詠みし挽歌の 易々と 追悼歌集編む 「悠久の月日」を

 

○ 歌と詩と 君に届けむ 喪失の ”のたうち”幾つ 言霊にして

 

○ 書けるだけ 迸るだけ Utaにせむ 君と契りし 悠久の月日を

 

※挽歌「悠久の月日」二十四首を、わが友「Y・H君」の墓前に捧げる。

 

 

        別れUTA「心ゆくまで別れの咆哮を」

 

ああ、其処此処でイノチは生まれ

ああ、其処彼処でイノチは亡くなる

 

誰かが何処かで繰り返す生死

知らぬ間に循環してゆくイノチのサイクル

数知れずの哀楽を育み

その都度に

億リットルの涙を絞って

移ろってゆく月日の無常よ

 

ああ、一粒の砂の悲哀よ

それゆえ、触れ合った一粒の

永遠の別れを心ゆくまで・・

 

睦み合った奇蹟の時間を

結び合った幸福のひとときの縁のことを

おお、心ゆくまで・・

              R2 02/14 07:00:07 万甫

 

 

コメント (2)
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