「道(どう)」は、日本人の持つ自己研鑽、自己管理、礼儀、人間関係などを凝縮した生き方、生き様ということができます。
茶道、華道、香道、柔道、剣道など「道」の世界では、時間をかけた修練、努力が必要です。
その中で、身体と精神面を強化し、技術、技能を極めていくわけです。
能率学者上野陽一(1883年~1957年)は、科学的管理法を日本に導入し、「能率道(のうりつどう)」にまとめあげました。
科学的管理法とは、19世紀末、米国のフレデリック・テーラーが工場管理に科学的視点から抽出した生産性向上策。
テーラーの理論により、米国の産業界は大きく発展しました。
ドラッカー博士もマネジメント史の中で最大級の賛辞を送っています。
この科学的管理法を、日本に普及させるため、上野陽一は、五つの道、能率道に帰結させました。
この五つの道を日々実践することにより、能率的な人生を送ることができるというものです。
能率五道
1.正坐
2.正食
3.正学
4.正信
5.正語
正しい姿勢を保ち、正しいものを食べ、正しい学問をし、正しい信念をもち、正しい言葉を使うこと。
それが能率的な生活、能率的な人生を送る上で重要であると指摘したのです。
西洋の合理的科学に、日本的、東洋的な思想を融合させた能率道は、世界的にも評価されています。
1984年に米国で出版された書籍「The goldenbook of management(マネジメントに貢献した世界の100名)」にも日本の民間人として唯一上野陽一が取り上げられています。