友人に勧められ、遅ればせながら映画館に足を運びました。
太平洋戦争末期の史実ということで、あまり期待はしていなかったのですが、現場のリーダーという現在の立ち位置とオーバーラップさせられることになり、ついつい感動してしまいました。
米軍が圧倒的な物量で押し寄せてくるサイパン島。
ここには、日本の統治領で、日本軍人3万人と民間人2万人が暮らす太平洋上の島。
ここで陸軍大尉(captain)を務める大場栄(配役・竹之内豊)を真ん中にすえたストーリーです。
ほぼ、全島が米軍の制圧下にある中、大場大尉率いる47名が山中に立てこもり徹底抗戦していきます。
絶望的な状況にもかかわらず、部下を統率し、先頭にたって状況の打開策を打ち出していく大場大尉。
ある意味、部下からの人望、精神論に走らないクールヘッドを持ち合わせた軍人であっただろうと推察します。
結末は、見てのお楽しみですが、大場大尉率いる小隊は、昭和20年12月1日まで交戦を続けます。
終戦後、3か月以上もサイパン島にいる4万7000名の米国兵を悩ませるのです。
大場大尉の行動をリーダーシップ論の立場から言及すると、シチュエーショナル・リーダーシップからの説明が適すると考えます。
外部環境や内部資源の状況を適切にとらえ、その状況にあったパワーを行使していく。
そのため、外部情報の収集に最大の注力をするとともに、メンバーの状態、士気、状態にも気を配る。
そのうえで、限定的合理性の範疇の中で、最適解と思われる施策を分かりやすく説明し、即行動に移す・・・。
精神論・根性論が跋扈していたと言われる日本陸軍の中では、きわめて異色なリーダーであったと言えます。
大場大尉が武装解除を決定した時、兵士たちの前で訓示します。
「本当にここまで、よくやってくれた。君たちとともに戦えたことを心の底から誇りに思う・・・」。
全力で事にあたった者だけが言えるフレーズだと思います。
誰もがいつかは職場を去ることになります。
その時、このフレーズが自然に出てくるかどうか、そして、それを聞いた者が素直に受け入れてもらえるか?職業人、プロフェッショナルにとって真剣に考えなければならないテーマだと思った次第です。
大場大尉役の竹之内豊、刺青の入った荒くれ兵士役の唐沢寿明・・・良い仕事をしています。
マネジメントにかかわる人に、ぜひ見ていただきたい映画です。