本田宗一郎一日一話 夢を追って生きるために
PHP研究所 定価680円
本の整理をしていたら出てきた「本田宗一郎一日一話-夢を追って生きるために-」。
奥付は、1985年。
20歳からのホンダファンとして買った一冊だと思います。
同書には、366の本田宗一郎の語録が載っており、ホンダイズムの源泉を読み取ることができます。
同著の10月30日に「課長がいちばん大事なポスト」という本田宗一郎の言葉があります。
改めて読むと興味深い指摘を発見・・・。
「課長クラスというのがいちばん大事なポストだね、人を見るためにはね。
(中略)部下をたくさん欲しがる課長は、みな悪いんだ。
部下を少なくして、ほんとは自分の課をなくしても、ちゃんと仕事ができていくようにしていくのが、課長の目的でなきゃならん。
(中略)いちばん難しいのが人の管理ですよ。
(中略)人間は上から下から、横から縦から、しっかりと見て評価を与えなきゃ、うまく管理できない。」
本田技研工業では、いまでも三現主義(現場・現実・現物)があるとのことですが、その源流とも言える本田宗一郎の現場感覚がよく伝わってくる言葉だと思います。
パーキンソンの法則やピーターの法則を知らなくても、現場をよく見ていれば、さまざまな発見があるということです。
「自分の課をなくしても・・・」というあたりが独自のマネジメント論を展開するホンダらしさといっていいのではないでしょうか?
「ワイガヤ」
「三つの喜び 買って喜び・売って喜び・作って喜ぶ」
「役員の大部屋」
「A00(エーゼロゼロ)」
「マストとウォント(KT法ですよね?)」
「三現主義」
「あんたは、どう思う?」
「人に迷惑をかけるな」などなど
以前、友人でもあるホンダの社員から聞いたホンダのマネジメントの話です。
イキイキと働く彼には、新興宗教の信者のようにホンダイズムがしっかりと刷り込まれていたのでした。
同じ自動車業界のT社やM社の友人は、いかにもつらそうに窮屈そうに働いていた記憶があるのですが、彼を含む複数のホンダマンは本当に楽しそうに仕事に取り組み会社に行くことをを楽しんでいました。
それ以来、ホンダの車を三台乗り継いでいます。
嫌々作った車より、楽しく働いて出来上がった車に乗りたいですものね。
当時、仕事でも本田技研工業さんの仕事もやらせていただき、その時に様々なエピソードを聞かせていただきました。
「青山一丁目の本社の一階ショールームは、わざとカッコ悪く作ってある。ここは、ホンダの聖地でもあり全国からライダーが集まってくる。その時にモダンで綺麗なショールームだと彼彼女が委縮して入りづらいだろう。」
「ホンダ本社の地下には、地域住民のために水や非常食が貯蔵してある。ホンダ社員のためでけではない。」
「ホンダ本社の窓は、引っ込んでいる。だから、自然光が入らず社内は暗い。これは、火事の時に上層階の延焼を防ぐとともに、地震の時にガラスを下に落とさないため。本田宗一郎の人に迷惑をかけるなというモットーを受けたもの」
当時は、「Hっぽい」という言葉がありました。
ホンダらしいという意味です。
革新性、進歩性、斬新さのあるクルマという意味合いです。
いまでは、予定調和的に同じプロトタイプを目指しているのかと思われるスタイル、スペックの車が世に溢れています。
Hだけは、DNAを継承し、引き続き、「Hっぽい」クルマを作っていただきたいと思います。