能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

労働法改正に振り回される人事部 労務管理が大変な時代 マネジメントも大変な時代になりました

2012年09月15日 | マネジメント

民主党が政権を取り、弱者救済、労働者保護という観点からの労働法改正が相次いでいます。

この8月だけでも労働契約法、高年齢者雇用安定法、年金機能強化法が改正されています。

これ以前にも今年に入って労働者派遣事業法、障害者雇用促進法も改正され、企業内における就業規則改正や人事労務管理の見直し、さらには人件費コストのシミュレーション、中期的な要員管理等策定などが、人事部や労務部の新たな仕事として加わってきているのです。

それでなくても間接部門の人員スリム化で人数の減っている中での追加業務ということでたいへんだと思います。

本当にご苦労様です。


今朝の朝刊にも新エネルギー戦略として原子力発電の今後についての報道がありましたが、今回の労働法改正とかなりオーバーラップしてきました。


「本当に責任ある意思決定をしているのか?」という素朴な疑問です。

大企業のエゴは許されない、労働者は常に弱者、現場を知らなくても理念を実現させればOK・・・といった実務・実学・実践なき空論が、渦巻いているようにしか思えない昨今です。

戦略を出すにしても、法令を改正するにしても、いっきょに結論というショートカット思想がまかり通っているように思えます。


日経ビジネス9/17号でも「雇用関連法改正に企業が悲鳴」と題し、ニッセイ基礎研究所の研究員の「一度の会期中に、こんなにも多くの労働関係法が成立するのは近年では異例」という記事を掲載しています。

これからの時代、パートタイマーの多い小売や、平均年齢の高い製造業などは、一歩間違えば労務倒産ということにもなりかねません。

これから企業組織のスリム化は促進され、雇用自体が減少。経済も縮小均衡していくことが危惧されます。

今年に入って改正された労働法の概要は次のようなものです。


1.労働者派遣事業法の改正

・日雇い派遣の原則禁止

・賃金をはじめとする労働条件で派遣先の労働者とのバランスを配慮


2.障害者雇用促進法の改正

・障害者の雇用率を1.8%から2%へ

→これは大賛成です。パラリンピックで見せたもらった障がいを持つ人たちの努力、ガンバリ、底力は本当にすごいものだと思います。


3.改正高年齢者雇用安定法の改正

・定年後も段階的に希望者全員を雇用

→組織は老害により確実に退化していきます。日本の企業も衰退化、非活性化に向いて進んでいくように思います。高給取りの老人を一人雇うのと、元気ある20歳代の若手社員二人を雇う人件費は、ほぼ同じ。自分であれば、スキルに難があっても後者を雇用したいです。


4.労働契約法の改正

・勤続5年を超えた契約社員等を無期雇用に転換

・有期契約と無期契約で不合理な労働条件の格差禁止

→同じ職場で同じような仕事をしている人が、正規か非正規によって処遇が大きく違う。同じ働く人間として大きな問題だと思います。しかしながら、これは本当に法律で規制することなのかという点については大きな疑問符です。


5.年金機能強化法

(公的年金制度の財政基盤及び最低保証機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律)

・短時間労働者への厚生年金、健康保険への適用を拡大

すべては、公的年金の65歳支給が改正の出発点になっていると思うのですが、年金制度の給付水準を見直す等の施策があっていいようにも思えます。


これからの日本の人事部、個別労働紛争の増大、モンスター社員の台頭、メンタルヘルス問題等、たいへんな時代を向えるに思



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