日本の会社は、「健康な男性・長期勤務・長時間労働」がスタンダード。
正社員を中心に人事労務管理が行われています。
しかしながら、非正規雇用が三分の一を占める現在、ニッポンの雇用も変化が求められているように思います。
あまり上品な言葉ではありませんが、「ジョロウガイ」という言葉・・・女性、老人、外国人を指しているとのことです。
今の時代、女性労働者、高齢労働者、外国人労働者、障がい者の方々は、もはやマイノリティではないと思っています。
「コマギレ勤務」が社会を変える 多様な働き方を目指して
高橋美紀著 労働調査会 952円+税
多様な雇用形態の社員が活き活きと働き、成果を産みだし、社会に貢献し続ける組織・・・。
これは、会社の理想型であり、ユートピアであると思います。
同書で、著者の提唱している「コマギレ勤務」社員とは、短時間勤務する正社員のこと。
コマギレ八時間労働がスタンダードとなっている日本の雇用環境の中で、コマギレ勤務社員を組み込むことにより、
ニッポンの会社、社会が変わると提言しています。
まさにそのとおりだと思います。
職務給を中心とする欧米のブルーカラー労働者と日本の非正規社員は、ホワイトカラーと比較した時の賃金の安さ、雇用の不安定さで似ているといわれています。
ソーシャルが世の中の基本コンセプトとなりつつある今、もはやブルーカラー、ホワイトカラー、あるいは正社員、非正規社員などと言っている企業は、社会から淘汰されるリスクがあります。
現状からすぐに大変革を起こすのは難しいにしても、少子高齢化の進む日本の未来を見据えた人事労務施策が求められているようにも思えます。
本書は巻末の「あとがき」から読まれることをお勧めします。
著者の自己紹介が綴られています。
均等法とともに女性の総合職として働き、結婚し、子育て、障がいを持たれたお子さんのサポート・・・。
その中で体感したニッポンの会社の雇用の偏りを見事に喝破されています。
単なる「あるべき論」ではないのです。
今や女性、障がい者、外国人、高齢者はマイノリティではないのです。
彼彼女たちが、その持てる能力や才能をフルに発揮し社会に貢献するソーシャル・カンパニーがスタンダードとなる時代を向かえていると思います。
従来のステレオタイプを切り替えるためにも一読いただきたい一冊です。