夏休みの積読一掃シリーズ・・・ビジネス本ランキングでトップ3に入っている新刊を読みました。
朝倉裕介さんの新刊です。
朝倉裕介さんの新刊です。
ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と再生の戦略論
朝倉裕介著 ダイヤモンド社 1800円+税
ファイナンスについては、中小企業診断士の一次試験の時、必死で勉強したことを覚えています。
資本コスト、正味現在価値、DCF法、WACC、ROIC、ROEなどMBAであれば当然にマスターすべき項目について、独学で勉強しました。
ファイナンスについては、学校教育でもほとんど触れられることもないジャンルですが、
これを知ると知らないのでは、日常の生活でもモノの見え方が全く違ってきます。
会計については、BS、PL、CSなどなじみのある財務諸表で、手を動かしながらカラダで理解できます。
会計(アカウンティング)が過去現在を扱うのに対して、
ファイナンスは未来、明日を扱う実学・・・その理解は、ちょっと高度です。
同書では、巻末の特別付録を含めて、数時間でファイナンスの要諦を学ぶことが出来ます。
ファイナンスとは、「会社の企業価値を最大化すること」。
そのために、
A 事業に必要なお金を外部から最適なバランスと条件で調達し(外部からの資金調達)、
B 既存の事業・資金から最大限にお金を創出し(資金の創出)、
C 築いた資産(お金を含む)を事業構築のために新規投資や株主・債権者への還元に最適に分配し(資産の最適配分)、
D その経緯の合理性と意思をステークホルダーに説明する(ステークホルダー・コミュニケーション)
という一連の活動のことと定義しています。
著者の朝倉さんは、マッキンゼーや起業したネイキッドテクノロジーやミクシィ社長などを歴任。
競馬騎手養成学校から競走馬の育成の仕事を経て、東大法学部へ。
本当に多彩なキャリアには驚かされます。
この「ファイナンス思考」は、経営共創基盤の冨山和彦CEOも帯で推奨。
冨山さんも、その著作の中でファイナンス思考の中で、たくさん触れられています。
目次
第1章 PL脳に浸された日本の会社とビジネスパースン
第2章 ファイナンス思考なくして日本からアマゾンは生まれない
第3章 ファイナンス思考を活かした経営
事例:アマゾン、リクルート、JT、関西ペイント、コニカミノルタ、日立製作所
第4章 PL脳に侵された会社の症例と末路
第5章 なぜPL脳に陥ってしまうのか
同書では、朝倉さんのロジカルライティングが光ります。
MECE、ピラミッドストラクチャが、きちんと機能しています。
MECE、ピラミッドストラクチャが、きちんと機能しています。
日本のビジネスパースン、経営者の多くが持つPL脳。
GAFA(グーグル、アップル、FB、アマゾン)を産み出すことの出来ない日本という国・・・。
著者は、「黒字企業の売却をためらう」「時間的価値を加味しない」「資本コストを無視する」「事業特有の時間感覚を勘案しない」「事業特有のリスクを勘案しない」といったPL脳の行動パターンが見られると言っています。
それが、売上至上主義、利益至上主義、キャッシュフローの軽視、バリューの軽視、短期主義に陥ると指摘しています。
そういえば、日本の会社では、PLの売上と利益しか分からない、語れない経営者や管理者がたくさんいます。
巻末には、特別付録の「会計とファイナンスの基礎とポイント」も付いているサービス満点の一冊です。
今一度、ファイナンスという眼鏡で身の回りを見ると世界観が変わってくるような気がします。
今一度、ファイナンスという眼鏡で身の回りを見ると世界観が変わってくるような気がします。