「何だかおかしいけれど、まあ、いいか」
GDP、経済成長という資本主義社会の中で生きていることに、何の疑問ももたず、日々、額に汗して働いている・・・。
小学校、中学校、高校、大学、就活の中で、「早くしなさい」「ちゃんとしなさい」「いい子でいなさい」というサラリーマン養成教育で刷り込みを受けて、社畜として働く人々・・・人口の90%の人たち。
そんな状況に疑義と提案をぶつける一冊・・・山口周さんの大ファンとして、何度も読み直している一冊です。
ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す
山口周著 プレジデント社 1700円+税
同書は、「ビジネスはその歴史的使命を終えつつある。」という一文で始まります。
丹羽さんの「会社がなくなる」という書籍も売れていますが、資本主義社会、新自由主義に立脚する「ビジネス」自体が、その使命を終える・・・。
なかなかショッキングです。
目次
第1章 私たちはどこにいるのか?
第2章 私たちはどこに向かうのか?
第3章 私たちは何をするのか?
補論
著者は、西洋哲学に博覧強記な経営コンサルタント。
「武器になる哲学」は名著です。
電通やボストンコンサルティングでサラリーマンを経験、現在は独立研究者、著述家、パブリックスピーカーという怪しい肩書。
51歳、現在、葉山にお住まいとのことです。
サマリー
1 私たちの社会は、明るく開けた「高原社会」へと軟着陸しつつある。
2 高原社会での課題は「エコノミーにヒューマニティを取り戻す」こと
3 実現のカギになるのが、「人間性に根差した衝動」に基づいた労働と消費
4 実現のためには、教育、福祉、税制等の社会基盤のアッフデートが求められる。
著者は、言います。
・「経済性に根差した動く社会」から「人間性に根差して動く社会」への移行
・目指すべき方向・・・大きな北欧型社会民主主義社会、イノベーションによる社会課題の解決、企業活動による文化的価値の創造
・目指さない方向・・・小さなアメリカ型原理主義社会、イノベーションによる経済成長の追求、樹々用活動による大量消費の促進
・「よりよい未来のために、今を手段化する」「未来のために今を手段化する」ことは否定。
・市場は、経済合理性限界曲線の内側の問題しか解決できない。
・ソーシャルイノベーション!
・資本主義社会のハッカーになれ!
個人的には、極端なリベラリズムやベーシックインカム(UBI)などについては???なのですが、エビデンスを重ねてロジカルに展開する著者の熱意には共感をおぼえます。
すべての働く人たちに読んでいただきたい、少し重たい一冊です。
視点、視座が変わること、うけあいです。