先月お亡くなりになった野中郁次郎一橋大学名誉教授。
改めてお悔やみ申しあげます。
中国新聞朝刊の一面の書籍広告欄に「失敗の本質」の広告が掲載されていました。
名著「失敗の本質」が、なんと100万部突破したとのこと。
歴史書としてだけではなく、ビジネス書、組織論としての位置づけもあったことが、ベストセラー、ロングセラーになった理由だと思います。
また、文庫本化も部数を伸ばした理由だと思います。
「失敗の本質」は、防衛大学校の教授陣を中心に、野中郁次郎先生らが加わった共著。
太平洋戦争中の日本海軍、日本陸軍の戦い方、敗戦原因について分析された大著です。
ノモンハン事件・・・失敗の序曲
ミッドウェー作戦・・・海戦のターニングポイント
ガダルカナル作戦・・・陸戦ターニングポイント
インパール作戦・・・賭けの失敗
レイテ作戦・・・自己認識の失敗
沖縄戦・・・終局段階での失敗
同書では、6つの作戦、戦いについて史料に基づき専門家の分析が綴られています。
そもそも経済規模が11倍もある米国に戦争をしかけるということそのものが「大失敗」だったと思いますが、太平洋戦争の日本の作戦それぞれにも「失敗」がたくさん積み重ねられています。
日本の組織、意思決定が、いかに合理的でなかったのかをあぶり出しています。
これでは必ず負けます。
同書の肝と言える図表です。
野中先生は、続編として、「戦略の本質」が出しました。
こちらは第二次世界大戦前後にあった戦争を取り上げています。
こちらも、とても面白い一冊です。
若い方は、こちらから入られる方が良いと思います。
そして、失敗、戦略に次いで、野中先生が編著された「失敗の本質を超えて」。
こちらは、日本の防衛論、自衛隊のあり方、戦い方について解説されています。
改めて「失敗の本質」を読んで、良くも悪くも日本人の特性が自分自身の中にもあることを感じた次第です。
論理性、合理性だけが素晴らしいとは思いません。
ただ、気分や感情、その場の空気で動くことは、きわめてリスキーだと思います。
結論としては、戦っては駄目・・・孫子のように「戦わずして、勝つ」のが君子の戦略です。
野中先生に教えていただいた教訓、教えを今後も活かしていきたいと思います。
合掌!