久々に面白い一冊に出会いました。
メディアクリエイター高城剛さんの新刊。
著者は、世界を股にかけ、最新のITテクノロジーに精通、そして女性にモテモテのイケメンです。
「時代の大波を知り、自分の波を知る」
宇宙の誕生、地球の誕生、人類の誕生・・・壮大なドラマの中には、周期、サイクル、法則性があると著者は指摘します。
いつものイケイケドンドン・ムードの高城さんとは異なり、冷静にエビデンスと理論、歴史を見つめる視点視座には説得力があります。
いままで起きたこと、これから起きること「周期」で読み解く世界の未来
高城剛著 光文社新書 860円+税
目次
第1章 移り変わる「暦(サイクル)」の歴史
第2章 世界を動かす「80年サイクル」
第3章 2025年は「周期の危機」の惑星直列
第4章 人生を支配する周期について
第5章 これから何が起こるのか
第1章では、太陰暦や太陽暦、マヤ歴や陰陽五行、二十四節気やイスラム歴などの人類が産み出した「暦(サイクル)」の歴史を概説していきます。
世界中を旅した著者ならではの視点もあり、なかなか勉強になります。
第2章では、80年サイクルで世界を動いていることを、経済学者フリードマン、ストラウス、ハウの理論を分かりやすく解説していきます。
4つの世代サイクル(英雄・芸術家・預言者・遊牧民)も面白く読むことが出来ました。
歴史は20年ごとに、高揚=春、覚醒=夏、分解=秋、危機=冬というサイクルで回っていくとのこと。
この理論で行くと次の大きな転換点は2025年前後になるそうです。
コロナ禍やウクライナの戦争、世界的なインフレや資源争奪戦などで大変な国際情勢を見事に予測しています。
第3章では、 景気の循環理論が登場。
有名なコンドラチェフの波(約50年の周期)やロジスティック波、クズネック波(約20年の周期)などが登場します。
複数の学者の予測によると、2025年頃から下降局面に入るとのこと・・・。
いやいや大変です。
さらには、800年の周期で歴史をとらえる文明研究家の村上節さんの文明法則史学も解説。
2000年を境に東西文明の立場が逆転・・・欧米からアジアに覇権が移ると指摘します。
今まで何度も言われてきたアジアの時代が復活・・・上げ潮の中国、引き潮のアメリカという図式を浮き彫りにしていきます。
さらに周期的気候変動をもたらすミランコビッチサイクルでは、地球の公転軌道、地軸の傾きなどから2030年頃からは地球の急激な寒冷化を予測しています。
SDGsやカーボンニュートラルで温暖化防止の取り組みをしている中ですので、ちょっとビックリです。
同書の様々な分析をまとめて、第4章で著者は指摘します。
・世界は、2020年代後半~2040年頃にかけて、大きな転換点を迎える
・各地で社会的、経済的な危機がいくつも起きる
・西側の文明が低長期を迎える一方、東側の文明は右肩上がりになる
・覇権国は移るか、もしくは分散する
なるほどです。
そういえば、コロンブスやマゼランによる新しい世界発見(地理上の発見)以降、覇権が大きく動いていきました。
無敵艦隊スペイン、ホルトガル→世界貿易都市オランダ→7つの海を支配した大英帝国→世界の警察アメリカ合衆国→アジア?
同書では最終章では、米国の民主主義、暗号通貨の今後など触れつつ、周期、サイクルについての理論をまとめていきます。
歴史は法則性を持って繰り返す・・・同書の訴求するコンセプトです。
法則が分かれば、今後の対応策、対処策も想定できます。
わずか200ページの本ですが、中身は濃く、情報量も多い一冊です。
読書の秋・・・ぜひ読んでいただきたいコスパの高い新刊新書です。