マーケティング、市場戦略で有名なランチェスターの法則。
もともとは、戦争、軍事力の分析から導き出された法則です。
1916年、英国の航空機エンジニアだったフレデリック・ランチェスターさんが、第一次世界大戦の戦績を分析して2つの法則にまとめました。
第1法則(一騎打ちの法則)戦闘力=武器の性能✖兵力数
1対1の接近戦を想定したもので、兵器の性能や兵力数が多いほど戦闘力が上がるというものです。
ある意味、当たり前ですね。
第2法則(集中効果の法則)戦闘力=武器の性能✖兵力数の2乗
大砲や航空機などを使った大兵力同士の遠隔戦を想定したもので、兵力数が戦闘力に影響する割合が大きくなるというもの。
兵力数が2倍になれば、戦闘力は4倍になります。
兵力数が3倍になれば、戦闘力は9倍になります。
第二次世界大戦後、このランチェスターの法則は、マーケティング、戦略戦術の分野で開花することになります。
第1法則(一騎打ちの法則)は、「弱者の戦略」と呼ばれ、中小企業向けの市場戦略に向いています。
大企業と正面から戦っても勝ち目はないため、販売エリアを限定したり、大企業が手を出せないニッチな分野で戦うことで優位性を引き出そうという戦略、戦術です。
ベトナム戦争時、ベトコンが米国を破った戦い方です。
第2法則(集中効果の法則)は、逆に「強者の戦略」と呼ばれ、大企業の持つ圧倒的な資本力、資金力で低コストの商品や大規模な広告、キャンペーンで一気に市場を押えようというものです。
まさに、第二次世界大戦時の米国軍の戦い方です。
若き日に、日本のランチェスターの第一人者、田岡信夫さんの本を何度も何度も読んだものです。
マーケティングの世界では、今でもランチェスター信奉者がたくさんいます。
ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター博士の競争戦略よりも、ちょっと人間味に溢れるランチェスターの法則です。
今では、もちろん競争に勝つことも大切ですが、環境や社会性、共創、協奏といったソーシャルな社会課題解決が消費者、生活者、マーケットで支持されつつあるように思います。
時代は、競争から、共創、協奏の時代に移行しつつあります。