日経ビジネス誌2022.9.26号の特集は「増殖ゾンビ企業 コロナ融資の後遺症」。
コロナ禍から2年半。
この間に困窮した企業を救うために広がった実質無利子、無担保の「ゼロゼロ融資」。
その返済が始まります。
「ゾンビ企業」とは、実質的に倒産状態であるにもかかわらず、営業を継続している企業。
インタレスト・カバレッジ・レシオが1未満の企業という定義(国際決済銀行/BIS)です。
Contents
プロローグ 10社に1社との推計も 過剰債務ゾンビ企業の行方
Part1 ゼロゼロ融資、2割がゾンビ化 破綻増加の足音 後遺症に身構える銀行
Part2 上場企業にも予備軍 外食・宿泊の苦境鮮明に
Part3 さらば成長なき延命 外部の支えで再出発
アフターコロナ、ゾンビ企業への対応を間違えると、失われた40年に繋がる可能性が多々あります。
帝国データバンクによると、中小企業、零細企業を中心に16.5万社あると言われるゾンビ企業。
ここで信用不安が連鎖すると、日本経済に大きな打撃を与えることになります。
メガバン、地銀、信金、政府系金融機関にも多大な影響を及ぼすことになります。
日本政府も動かざるを得なくなります。
ただ、この時点で企業の新陳代謝を行わなければ、低い生産性の会社、古い設備の成長しない会社、実質赤字の会社などが残ります。
成長しない企業の市場からの退出は、雇用不安や地域経済衰退の危機を産み出すことになります。
対応を誤ると、バブル対応の失敗を繰り返すことになりかねません。
この特集記事の中で冨山和彦・経営共創基盤グループ会長が述べています。
「企業の新陳代謝が人を救う 今度こそ、さらば昭和を」
「潰せない時代は終焉 働き手の移動を促せば生産性や賃金が高くなる」
「法的整理は地域社会への打撃が大きい。私的整理を使いやすくするなど、経営者や家族の人生を壊すことなく再チャレンジしやすくすることが大事だ」
そのとおりだと思います。
また、この特集記事では、悪循環から抜け出す3つの道を掲げています。
1 負債減らせば未来が見える 金融機関やファンドが伴走者に
2 人手不足も同時に解決 大手・中堅の傘下で再出発
3 良い資産を生かす 守るべきは企業よりも人と地域
事例では、広島市のフタバ図書のケースも取り上げられています。
行政や地銀、地場企業が連携し地域ぐるみで再生を目指すスキームが解説されています。
今度こそ、ピンチをチャンスに変える・・・きわめて重要なタイミングを迎えている日本経済です。
雇用を守り、地域経済を支え、成長軌道に乗せていくことが出来れば、新しい資本主義が実現できると考えています。