こどもが図鑑を読むように楽しく読める本に出合いました。
自動車の歴史本です。
世界の歴代の名車が100台以上登場、写真もモノクロですが、たくさん載っています。
クルマ好きには、たまらない一冊です。
自動車の歴史 T型フォードからEV、自動運転まで
鈴木均著 中公新書 960円+税
著者の鈴木均さんは、新潟県立大学准教授。
主にヨーロッパ史を研究されている学者です。
同書では、自動車という工業製品を通じて、各国の盛衰と国際関係の歴史をたどっていきます。
ジャパンアズNo.1と言われたわが国も、電動化、自動運転、CASE(つながる・自動化・シェア・電動化)といった流れの中で遅れをとっていると言われています。
EVをリードする米国のテスラ社や中国のBYD社・・・トヨタやホンダ、ニッサンは対抗していくことが出来るのでしょうか?
目次
序章 自動車産業の夜明け
第1章 大衆車普及への道 終戦と高度成長
第2章 貿易摩擦の時代 省燃費化のスタートからスーパーカーブームまで
第3章 狂乱の80年代 日本車の黄金時代と冷戦終結
第4章 グローバル市場の誕生 台頭する新興国と日本の衰退
第5章 中国の台頭とCASE エコカー・電動化・自動運転の波
第6章 失われた40年か、ブレークスルーか テロとの戦い、気候変動、コロナ危機
学者の執筆ということで参考文献やソースについて、巻末でしっかり紹介されています。
社史や自動車メーカーのHP、著作物なども幅広く紹介されています。
メルセデスベンツやフェラーリ、アストンマーチンやルノー・・・伝説のクルマを産み出した自動車メーカーのことがよく理解できる解説です。
また、コラムとして入っている「世界の公用車」の解説も面白かったです。
国の威信をかけた大統領や首相の乗るクルマをどうするか?なかなか興味深いテーマです。
これから自動車は、どうなっていくのか?
どこの国、どこのメーカーが主導権を握るのか?
いろいろ想像を膨らませてくれる一冊です。
米国では、現在ハイブリッド車が売れているようですし、中国にはEVの墓場があるといった話がネットを賑わせています。
日本国内ではEVバッテリーの充電器は数が少ないですし、充電器の普及にはまだまだ時間がかかりそうです。
EVの普及・・・
ちょっと見当がつかない昨今です。
欧州で生まれた自動車という工業製品、ドイツや英国、フランス、イタリアから米国、日本、そして中国へと工業力、技術力が移っていくことを俯瞰することが出来る一冊です。
大人の絵本、ならぬ大人の字本・・・お薦めの一冊です。