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AIに勝てるのは哲学だけだ 最強の勉強法12+思考法10 ジェフ・ベゾス「ワークライフ・ハーモニー」

2019年06月24日 | 本と雑誌

AI、IoT、ビッグデータ、シンギュラリティなどテクノロジーの進化が人間にどういう影響を与えるかという問いが喧しい昨今です。


個人的には、人間はアナログでいいんじゃないかと思っていますが・・・。

AIに勝てるのは哲学だけだ 最強の勉強法12+思考法10
小川仁志著  祥伝社新書  800円+税


著者は、哲学者で山口大学准教授、同書にも出てきますが伊藤忠商事を退社し4年間のフリーター生活、そして大学院へ進んで学者になった人。
形而上だけではない、身近なところに哲学を普及されている方です。


目次
第1章 考える人と従う人
第2章 哲学こそ、最強の学問である
第3章 AIに勝つ、最強の勉強法12
第4章 最強の哲学思考法10
第5章 未来の生き方


個人的には、別にAIに勝たなくったっていいじゃない、シンギュラリティが起きて「2001年宇宙の旅」のHALのようなコンピュータが出てきたら、素直に従いましょうというスタンスです(笑)。

完全なオプティミストです。


でも、著者は、冷静にAIと人間を対峙させながら、その強み弱みを分析していきます。
同書の面白いところは、勉強法と思考法を具体的に紹介しているところ。
とても参考になります。


AIに勝つ、最強の勉強法12


1.課題解決勉強法
2.娯楽でも知識でも教養でもない読書術
3.「役に立たないもの」習得法
4.質問千本ノック
5.回答千本ノック
6.物語創作勉強法


7.ながら勉強法
8.ソーシャルキャピタル勉強法
9.お金にものをいわせる勉強法
10.好きなものだけ&飽きたらやめる勉強法
11.ご褒美勉強法
12.全身勉強法


今までとはちょっと違う12の勉強法、そのネーミングもなかなか秀逸です。
勉強法に迷っておられる方は、ぜひ同書を読んでいただけると良いと思います。


そして、哲学カフェ、哲学思考レッスンを手掛ける著者の真骨頂が、第4章の最強の哲学思考法10。
過去の哲人の思考の技、テクニックから具体的な思考方法を解説していきます。
「感じる」を武器にして、より深い思考を目指せと指南します。

最強の哲学思考法10


1.セルフ問答法
ソクラテスの対話、そしてヘーゲルの弁証法から批判的精神、クリティカルシンキングへと持っていきます。


2.プラグマティック思考法
デューイの道具主義による探究を使って思考を深めます。


3.感情思考法
デカルトの情念論・・・思考を強化する感情を活用する方法です。


4.本音思考法
ニーチェの直球主義で切り込んでいく思考法です。


5.身体思考法
メルロ・ポンティの身体思考。

6.記憶生成法
フランスの哲学者ベルクソン記憶生成による思考。


7.瞑想思考法
鈴木大拙、西田幾多郎の禅的思考。無分別の分別。


8.宇宙一体化思考法
老子の「道(タオ)」で無為自然に立ち返る。


9.記号思考法
フランスの人類学者レヴィ・ストロースの概念・記号とプリコラージュ。


10.メタ思考法
アリストテレスの形而上学。


最終章では、「勉強」を「遊び」にすることが人間らしい生き方であると指南しています。
エリック・ホッファーの事例をあげながら、もともと人間は遊ぶ存在だったと説きます。
そういえば、ホイジンガも「ホモ・ルーデンス」の中で、遊びが人間生活の中心であったことを指摘していますね。


著者は、「これからの時代を生き抜く3つのキーワード」として、「勉強」「ポジティブ思考」「共存」の3つをあげています。
なるほどと思わず唸る見事なロジックです。
最終章だけでも、目を通していただきたいお得な一冊です。


そして、同書の締めは、「未来の生き方・働き方」。
amazonのジェフ・ベゾスの言う「ワークライフ・ハーモニー」を一つの理想像として取り上げます。
1日24時間を分けるワークライフバランスではなく、ワークとライフをハーモニーさせるという哲学者ベゾスの思想・・・芸術家やクリエイターのような生活・・・それが出来ればきっと充実した人生になるんでしょうね。


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