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裏道を行け ディストピア世界をHACKする 橘玲さんの新刊新書 残酷な「無理ゲー社会」を攻略するためのたった一つの生存戦略

2022年01月05日 | 本と雑誌

大ファンである橘玲さんの新刊新書が出ました。

著者は「上級国民・下級国民」や「無理ゲー社会(「攻略できないゲーム」のこと)」などの新語を生み出した作家。

資本主義社会や格差社会、社会の矛盾を切れ味鋭い辛口、毒舌でバッサバッサと斬っていきます。

世の中に広がる格差社会・・・ユートピアとディストピアに驚くとともに、期待、希望、不安、不信を目に前に突き付けてくれる作家。

痛快、爽快であるとともに、この社会を生きていくためのヒントを多々与えてくれます。

裏道を行け ディストピア世界をHACKする

橘玲著 講談社現代新書 940円+税

 

同書のキーワードは「HACK」。

もともとはMITの学生が創ったコトバだそうですが、悪い意味だけではなく良い意味でも使われる言葉だそうです。

「ルールを破っている」という意味ですが、常識やルールを無視して「ふつうの奴の上を行く」ことを指していると著者は言います。

 

目次

プロローグ ふつうの奴らの上を行け

PART1 恋愛をHACKせよ 「モテ格差」という残酷な現実

PART2 金融市場をHACKせよ 効率よく大金持ちになる究極の方法

PART3 脳を HACKせよ あなたも簡単に依存症になる

PART4 自分を HACKせよ テクノロジーが実現する至高の自己啓発

PART5 世界を HACKせよ どうしたら「残酷な現実」を生き抜けるか?

 

「リベラル化」については良いイメージしか持たない小職ですが、「自分らしく自由に行きたい」という「リベラル」の価値観・・・それはそれで厳しい世界・・・自己責任を問われます。

サルトルの言う「自由の刑に処せられている」という実存主義のニュアンスに近いと思います。

PART1の「恋愛をHACKせよ モテ格差という残酷な現実」は、前著「無理ゲー社会」から続く応用編です。

著者は米国の学者の研究を受けて言います・・・「オトコは戦い、オンナが選ぶ」。

オトコは子孫を残すために最善を尽くし、オンナは自分と子どもを守ってくれるオトコを選ぶ・・・。

オンナは選ばれるためにものすごい努力をする。

問答無用、一刀両断です。

そして、結論はこうなります。

「オトコは経済力、オンナは若さ」

身もふたもない話ですが、これが残酷な現実です。

高校生、大学生を調査すると異性に求めるものは外見力・・・見た目、カッコよさ、可愛さです。

でも、同じ調査を社会人にすると「オトコは経済力、オンナは若さ」になるそうです。

米国では、女にとっての理想の男は、「トリプル・シックス」。

「身長6フィート以上(183センチ以上)」「収入6ケタ以上(年収1100万円以上)」「腹筋が6つに割れている」。

やれやれ・・・。

この条件を満たす男性は、わずか3%。

恋愛や結婚も「無理ゲー社会」になっています。

 

統計学的に「アルファ」と呼ばれる、選ばれしオトコ、オンナがいます。

自分の経験則からすると、それぞれ5%くらいでしょうか?

高校のオトコ20名オンナ20名の40名クラスで言うと、それぞれスポーツも勉強も出来るカッコいいオトコ1名、聡明で美人で愛嬌のあるオンナ1名がいます。

彼彼女たちは、大学へ進み、良い会社に入り、20歳代で早々と売れていきます(結婚)。

その次のクラスに所属するオトコ、オンナも、それに次いで徐々に売れていきます。

それから、やっとその下の階層(小職です・・・涙)に番が回ってくるかと思いきや、なかなかうまく行かず苦戦を強いられることになります(涙)。

齢を取れば取るほど、さらに恋愛、結婚の難易度が上がっていきます。

同書では、そこから外れた人間がブチ切れて、小田急線刺傷事件などを起こすと指摘します。

あってはならない、残酷な現実です。

著者は、従来の「ふつうに生きていたら何とかなる」という、これまでのベルカーブの世界は終わり、「普通に生きていたら転落する」ショートヘッド、ロングテールの世界に入っていると指摘します。

大多数の「ふつうの奴ら」はショートヘッド(恐竜の頭)で「下級国民」となります。

 

資本主義社会でのサバイバル術や自己啓発の話のあと、最終章では「どうしたら残酷な現実を生き抜けるか?」について解説していきます。

あまり書くとネタバレになりますが、キーワードは「ミニマリスト」と「FIRE」。

「効果的な利他主義」や懐かしいボボスというライフスタイルも登場します。

 

お金があふれている社会、反面、格差がどんどん広がる資本主義社会・・・。

著者は言います。

「人生の難易度が上がり、ふつうに生きていたら転落する」

「才能のある者は人生を攻略し、才能のない者は搾取される」

同書を読んで何かアクションを起こすか、はたまた現状を受け入れひたすら耐え忍ぶか、逃げ出すか・・・。

前著「無理ゲー社会」と合わせて、読んでいただきたい一冊です。


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