人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「飯野ビル・ランチタイムコンサート」を聴く~小池彩夏(vn)物井彩(P)/ シトコヴェツキ―+東京藝大チェンバーオケのチケットを取る / 茂木健一郎著「東京藝大物語」を読む

2017年04月20日 07時52分32秒 | 日記

20日(木).わが家に来てから今日で933日目を迎え,犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案について,衆院法務委員会で安倍首相は「法案は東京五輪に向けた『テロ対策』に有効であり 国際条約を締結する上で早期の成立が必要」と強調したのに対し,廃案を求める民進,共産両党は「捜査機関による監視社会につながる」と批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                        「共謀罪」でなく「狂暴罪」なら下の動物を取り締まった方がええんでないかい

 

       

                       二代目さくら  二度目の見参!!

 

                      

 

昨日,夕食に「鶏手羽元と野菜のスープ」「生野菜とホタテ貝柱のサラダ」「大根の葉のお浸し」を作りました 「鶏手羽元~」の味付けは日本酒と醤油だけですが美味しいです

 

       

 

                     

 

昨日,内幸町の飯野ビルのエントランスロビーで「ランチタイムコンサート」を聴きました 61回目を迎えた今回の出演はヴァイオリン=小池彩夏さん,ピアノ=物井彩さんです ともに桐朋学園大学音楽学部を卒業しています

プログラムは①エルガー「愛の挨拶」,②モーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第5番第1楽章」,③ベートーヴェン「ロマンス第2番」,④ドヴォルザーク「4つの小品」,⑤クライスラー「ドヴォルザークの主題によるスラヴ幻想曲」です

 

       

 

プログラムのラインナップを見ると,技巧的な曲ではなくメロディーラインが美しい曲を並べたという感じがします 小池さんの演奏は,意図した通り,どの曲もメロディーを美しく響かせます 物井さんのピアノもピッタリ寄り添っています 5曲の中ではあまり聴く機会のないドヴォルザークの「4つの小品」が 小粒ながらドヴォルザークらしい輝きのある とても良い作品でした 性格の違う4つの作品の弾き分けも見事でした

いずれどこかのオーケストラに入団したり,今まで以上にソロ活動を広げたりすることがあるかもしれません お二人の名前をしっかりと覚えておこうと思います

 

                     

 

5月28日(日)午後3時から上野の東京藝大奏楽堂で開かれる「東京藝大チェンバーオーケストラ第29回演奏会」のチケットを取りました プログラムは①レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア  第3組曲」,②チャイコフスキー「弦楽のためのセレナード」,③シューマン「交響曲第2番ハ長調」です 指揮はドミトリー・シトコヴェツキ―です 入場料は全席自由で1,500円と格安です

 

       

 

                     

 

茂木健一郎著「東京藝大物語」(講談社文庫)を読み終わりました 茂木健一郎は1952年東京生まれ.東京大学理学部,法学部を卒業後,同大学院物理学専攻課程修了.理化学研究所,ケンブリッジ大学を経て,ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー.専門は能科学.2005年に「脳と仮想」で第4回小林秀雄賞を受賞しています

 

       

 

正直に告白すると,この本は二宮敦人著「最後の秘境  東京藝大」と間違えて買ってしまった本です 単行本で出てから随分早く文庫化したなあ と思い,買ってから あらためて著者名を確かめると 何とクォリアの茂木健一郎さんではありませんか 後の祭りです が,買って良かったと思います

まず最初に,何故 能科学者の茂木さんが天下の東京藝大を舞台にした小説を書いたのか その答えは 2002年から07年まで茂木さんが東京藝大の非常勤講師を務めていたからです 茂木さんはその当時知り合った個性あふれる美術学部の学生たちが よほど忘れられなかったのでしょう.小説にして残そうと思い立ったようです

感動すると鼻水が出るジャガーこと大打(4浪入学),鳩ばかり描いているハト沼こと蓮沼(一浪入学),思い込んだら一筋,情熱が制御できない杉ちゃんこと杉原・・・といったユニークな学生たちが主人公として登場し,事件を起こします この本の帯に「テンサイかヘンタイか?」とありますが,鼻水をチューブに入れて持ち歩くジャガーや,縄文原人の恰好をして横浜の街を走り回る杉ちゃんらのことを考えれば,間違いなくヘンタイでしょう

茂木先生は 講義の後,学生たちと上野公園の一角(東京都美術館前辺り.藝大生たちが「トビカン」と呼んだ広場で.今は無い)で酒盛りをしていたようです 先生がジャガーに金を渡すと 彼は自転車に乗って酒とつまみを調達してきて みんなで飲みながら芸術論を戦わせていたようです 藝大はいいですね.近くに緑が豊富で広々とした上野公園があって

この小説を読んでいると,若いっていいなあ,と思います バカをやっても許されます

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第89回アカデミー賞3部門受賞作「ムーンライト」を観る~モーツアルト「ヴェスペレK.339」から「ラウダーテ・ドミヌム」が流れる

2017年04月19日 07時58分22秒 | 日記

19日(水).4月も下旬に入ろうとしている今,東京は夏で北海道は冬のようです それにしても帯広の雪は ゆき過ぎ ではないか,と思います 春,何が気に入らないのか突然怒り出す”異常気性”の人を見かけますが,いま日本列島は”異常気象”で 希少な現象が続きます

ということで,わが家に来てから今日で932日目を迎え,トランプ大統領が北朝鮮の弾道ミサイル発射後初めて発言し,北朝鮮の金正恩委員長に対し「行儀よく振る舞いなさい」と語ったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        トランプはレッドラインを示さなかったけど,その時は北朝鮮にとってデッドラインだろう

 

                     

 

昨日,夕食に「サバの塩焼き」「野菜とウィンナのスープ(トマトベース)」「生野菜サラダ」「アボガドのにんにく和え」を作りました 魚はすっかりローテ―ション入りしました 「アボガド~」は先日ご紹介した「世界一美味しい煮卵の作り方」の超簡単料理の一つです 調味料はごま油,醤油,砂糖,にんにく(チューブ入り)ですが,食が進みます

 

       

 

                     

 

昨日,TOHOシネマズ シャンテで第89回アカデミー賞受賞作「ムーンライト」を観ました これはバリー・ジェンキンス監督による2016年製作のアメリカ映画(111分)です

マイアミを舞台に,一人の黒人少年の成長を,少年期,ティーンエイジャー期,成人期の3つの時代構成で描いています 下のポスターの顔は,左側が少年期,中央がティーンエイジャー期,右側が成人期の顔の合成になっています

 

       

 

マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは,学校ではリトル(ちび)と呼ばれていじめに遭い,家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた そんなシャロンに優しく接してくれたのは,近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と,唯一の男友達のケヴィンだけだった.フアンはシャロンをわが子のように育てようとするが,その一方でシャロンの母親に麻薬を売っていることに罪悪感を覚えていた やがてシャロンはケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが,その気持ちが受け入れられないことに気付き,誰にも打ち明けられないでいた そんなある日,シャロンは自分をいじめていた”レゲエ野郎”を椅子で殴り刑務所に入れられる 成長して麻薬の売人になったシャロンは,ケヴィンから久しぶりに電話をもらい会いに行く決心をする.ケヴィンは料理の腕を磨き小さなレストランを経営していた

この映画を観ようと思ったのは,先日 当ブログの読者Nさんからメールが届き,「『ムーンライト』を観たが,誰にでもお薦めという作品ではないけれど,今 アカデミー賞を受賞せざるを得なかった作品だった ちなみに,あるシーンで『ヴェスペレK.339』から『ラウダーテ・ドミヌム』が使われていた」と書かれていたからです これを知ったからには(性格上)観ないわけにはいきません コンサートのない日を狙って観に行ってきたというわけです

そのシーンは,シャロンが少年時代に仲間と紙を丸めたボールでサッカーをやっている場面でした ソプラノによって清らかで美しい音楽が歌われます

「ヴェスペレK.339」はモーツアルトが24歳の時 1780年に作曲されました 「ヴェスペレ」とは,カトリック教会の聖務日課において日没時に執り行われる祈り=「夕べの祈り」を意味します モーツアルトは2曲のヴェスペレを作曲していますが,K.339はザルツブルク時代最後の教会音楽に当たり,「ラウダーテ・ドミヌム(主を讃えよ)」はK.339の第5曲に当たります 

歌詞は「もろもろの種族よ,主を讃えまつれ,もろもろの民よ,彼を讃えまつれ,われらに賜る そのいつくしみは大きいからである.種のまことはとこしえに絶えることがない.聖父と聖子と聖霊とに栄あらんことを.初めにありしごとく,今もいつも 世々にいたるまで.アーメン」というものです

所有する約700枚のモーツアルトのCDの中からやっと探し出したのがフェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送管弦楽団によるモーツアルトの「大ミサ曲K.427」にカップリングされている「ラウダーテ・ドミヌム」(1962年録音)でした ヴォルフガング・マイヤーのオルガン,ヘルムート・ヘラーのヴァイオリン,RIAS室内合唱団をバックにソプラノのマリア・シュターダーが歌っています 

 

       

 

バリー・ジェンキンス監督が,なぜあのシーンでこの曲を使ったのか分かりませんが,あるいは 一人の貧しい黒人少年の行く末を案じて祈りを込めたのかも知れません 映画が終わって 家に帰って何度も繰り返し聴きました たった5分程の曲ですが,モーツアルトの魅力が凝縮された作品です 3分強の晩年の「アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618」に通じる天国的な透明感のある傑作です

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「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」,モーツアルト「交響曲第35番」,シューベルト「交響曲第6番」他を聴く~アンコールはもちろんあの曲!

2017年04月18日 08時01分31秒 | 日記

18日(火).わが家に来てから今日で931日目を迎え,中国国家統計局が 2017年1-3月の国内総生産(GDP)が物価の変動を除いた実質で前年同期比6.9%増えた と発表したというニュースを見て 感想を述べるモコタロです

 

       

         成長率が低迷する日本からは脅威的だけど どこまで信用できる数字なんだろか ?

 

                     

 

昨日,夕食に「肉野菜炒め」「生野菜とアボガドのサラダ」「ウィンナと野菜とシメジのスープ」を作りました 「肉野菜~」はキャベツを炒め過ぎて「肉野菜煮」になってしまいました 味に自信はありますが,見た目がぐちゃぐちゃです

 

       

 

                     

 

昨夕,東京オペラシティコンサートホールで「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」のコンサートを聴きました  このオケは,ウィーン・フィルのコンサートマスター,フォルクハルト・シュトイデ芸術監督のもと,ウィーン国立歌劇場管弦楽団,ウィーン・フィルのメンバーを中心にヨーロッパで活躍するアーティストも加わった30名から構成されている少数精鋭オーケストラです

プログラムは①ベートーヴェン「コリオラン」序曲,②同「ピアノ協奏曲第4番ト長調」(P:金子三勇士),③モーツアルト「交響曲第35番ニ長調”ハフナー”K.385」,④シューベルト「交響曲第6番ハ長調」です

 

       

 

自席は1階24列5番,左ブロックのど真ん中です.人気公演につき通路側席が取れませんでした 会場は文字通り満席です 例年サントリーホールで開催されてきたコンサートなので,会場が違うとちょっと違和感を感じます でも 来ている人たちは多分毎年のように聴いているリピーターのような気がします

オケのメンバーが登場し配置に着きます.指揮者なしのためコンマスのシュトイデの合図で1曲目のベートーヴェン「コリオラン」序曲の演奏に入ります  曲の冒頭,フォルティッシモで演奏される弦楽器の鋭い切れはベートーヴェンのエッセンスそのものです これが本当に30人だけで演奏しているのか と思うほど迫力に満ちた演奏です そして第1ヴァイオリンが導く第2主題の美しさもまたベートーヴェンのエッセンスです つかの間の安らぎとでもいうべき曲想です.この曲は,短い曲ながら魅力に満ちた作品です

ピアノがセンターに移動して2曲目のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番ト長調」の演奏に備えます この曲は1808年の暮れに38歳のベートーヴェンのピアノ・ソロによって初演されました よく知られている通り,当日は第5交響曲”運命”,第6交響曲”田園”,合唱幻想曲も併せて初演されています

金子三勇士が登場しピアノに対峙します 金子は1989年,日本人の父とハンガリー人の母との間に生まれ,6歳で単身ハンガリーに渡りバルトーク音楽学校に入学,2001年に11歳でハンガリー国立リスト音楽大学の特別才能開発コースに入学し,06年に全課程取得して帰国,東京音楽大学付属高校に編入,清水和音他に師事しました 2008年にはバルトーク国際ピアノコンクールで優勝したほか数々のコンクールに入賞しています

この曲はピアノの独奏から入ります 金子としては,指揮者役のシュトイデを背にして演奏する形になるので,間合いを取るのが難しいのではないかと思います そこはウィーン・フィルのコンマス,シュトイデの方が金子に合わせる形を取ります 金子の演奏では,第1楽章のカデンツァが鮮やかでしたが,初めて聴いたような気がします ベートーヴェン自身が2種類のカデンツァを書いているほか,ブラームスやシューマンなども書いてます 結局 誰のものか分かりませんでしたが,技巧的な曲想でした

 

       

 

休憩後の1曲目はモーツアルト「交響曲第35番ニ長調”ハフナー”K.385」です ザルツブルクの富豪ハフナー家の祝宴のために1782年に作曲されたセレナーデを基に生まれました ただし,あの有名な1776年作曲の「ハフナー・セレナーデK.250」はまったく別の曲です

この交響曲は1783年春,ウィーンのブルク劇場で初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・スピリト」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「メヌエット」,第4楽章「プレスト」の4つの楽章から成ります

全体を通して感じたのは,管楽器と弦楽器がよく溶け合って見事なアンサンブルを奏でていることです フルートが,オーボエが,あるいはホルンが突出して演奏技巧を誇るというのでなく,あくまでもオケの1セクションとして自然体で演奏しているように感じました これが本来のアンサンブルの在り方ではないか,とさえ思いました

第4楽章はモーツアルトが楽譜に「可能な限り速く」と書いている「プレスト」ですが,このメンバーで聴くプレストは滅茶苦茶速いというのでなく,これこそモーツアルトの求めた理想の速度だと思わせる説得力のあるテンポで演奏しました

ウィーン・フィルを中心とするメンバーによるオケが選んだ最後の曲は,ウィーン生まれのシューベルトが作曲した「交響曲第6番ハ長調」です この曲は1817年秋から18年にかけて(シューベルト20~21歳の時)作曲されました.4つの楽章から成りますが,通常,交響曲の第3楽章は「メヌエット」のところを,ベートーヴェンの影響か「スケルツォ」と明記しています

第1楽章冒頭はベートーヴェン的な堂々たる開始ですが,すぐにシューベルトらしい曲想が現れます 第2楽章はハイドンの交響曲の影響があるような曲想です.交響曲の父=ハイドンへのオマージュでしょうか 第3楽章は再びベートーヴェン,とくに第7交響曲第3楽章「プレスト」冒頭のスケルツォに似た曲想です 第4楽章は冒頭からシューベルトらしい明るく軽快な曲想が展開します オケのメンバーは「我らがシューベルト」を誇らしげに,楽し気に演奏していました

ウィーンの精鋭たちはアンコールに,ウィーン・フィルの代名詞的なアンコール・ピース,ヨハン・シュトラウス2世の「美しき青きドナウ」を選び,ウィーン情緒たっぷりに演奏,会場割れんばかりの拍手とブラボーを浴びました 私は心の中で思わず「ホンモノだ」と叫んでいました

 

       

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「東京春祭スペシャル・ガラ・コンサート」を聴く / 「 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」のチケットを7枚取る

2017年04月17日 08時11分53秒 | 日記

17日(月).わが家に来てから今日で930日目を迎え,昨日フィナーレを迎えた「東京・春・音楽祭2017」のパンフレットを前に,ひと言述べるモコタロです

 

       

                    ご主人は今年の東京春祭を11公演聴いたってさ 次のお祭りは夏のミューザらしい 

 

                     

 

「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」のチケットを取りました サントリーホールが主催するこの「室内楽音楽祭」は例年6月に開催されていますが,今年は同ホールが全面的な改修工事(8月末まで)のため日程が9月にずれ,期間も短縮されています 例年実施されてきたベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会(ベートーヴェン・サイクル)が無いのが寂しいところです

 

       

 

今回取ったチケットは次の7枚です

1.オープニング・コンサート(9月15日・金 19時開演)①ブラームス「弦楽六重奏曲」②同「ピアノ五重奏曲」

 

       

 

2.マスターおすすめの室内楽:ピアノ編(9月18日・月 14時開演)ハイドン「ピアノ三重奏曲第25番」他

3.プレシャス1pm(9月19日・火 13時開演)モーツアルト「弦楽四重奏曲第17番」から第1楽章他

4.プレシャス1pm(9月20日・水 13時開演)ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番」他

5.プレシャス1pm(9月22日・金 13時開演)ドビュッシー「フルート,ヴィオラとハープのソナタ」他

 

       

 

6.ストルツマンと日本の仲間たち(9月23日・土 19時開演)モーツアルト「クラリネット三重奏曲K.498」他

7.フィナーレ・コンサート(9月24日・日 14時開演)ベートーヴェン「七重奏曲」他

 

       

 

この他,9月16日19時から「アジアンサンブル@TOKYO」,9月17日14時から「マスターおすすめ室内楽:弦楽器編」,9月22日19時から「へーデンボルク・トリオ 日本デビュー・リサイタル」がありますが,すでに他のコンサートの予定が入っているので断念しました

また,「室内楽アカデミー  マルシェ  ワンコイン・コンサート」が9月16日と23日の各12時半から開催されますが,全自由席のため会員先行発売はなく,5月14日からの一般発売を待つしかないようです

 

       

 

                     

 

昨日,上野の東京文化会館大ホールで「東京春祭スペシャル・ガラ・コンサート」を聴きました

プログラムは①モーツアルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲,②同:歌劇「フィガロの結婚」第1幕より「もう飛ぶまいぞ,この蝶々」,③ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲,④同:歌劇「リゴレット」第3幕より「女心の歌」,⑤同:第1幕より「慕わしい人の名は」,⑥同:歌劇「エルナー二」第1幕より「不幸な人よ!」,⑦同:歌劇「椿姫」第2幕より「燃える心を」,⑧同:第3幕より「パリを離れて,愛しい人よ」,⑨同:第1幕より「不思議だわ!・・・ああ,そはかの人か・・・花から花へ」,⑩ベッリーニ:歌劇「ノルマ」序曲,⑪ドニゼッティ:歌劇「愛の妙薬」第1幕よりネモリーノとドゥルカマーラの二重唱,⑫同:第2幕より「人知れぬ涙」,⑬ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」第1幕より「陰口はその風のように」,⑭ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクアーレ」第1幕より「騎士はあの眼差しを」,⑮プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」間奏曲,⑯同:歌劇「ラ・ボエーム」より「冷たい手を・・・私の名はミミ・・・愛らしい乙女よ」です

演奏は,ソプラノ=クリスティナ・パサローユ,テノール=イヴァン・マグリ,バス=アドリアン・ザンぺトレアン,管弦楽=東京春祭特別オーケストラ,指揮=スペランツァ・スカップッチです

ソプラノのクリスティナ・パサローユはルーマニア・ブカレストのディヌ・リパッティ音楽学校等で学びました テノールのイヴァン・マグリはシチリア生まれで,ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で学んでいます バスのアドリアン・ザンぺトレアンはルーマニア生まれで,地元の音楽アカデミーで学びました 3人とも国内外のオペラ劇場で活躍しています 管弦楽の「東京春祭特別オーケストラ」は,この音楽祭のために特別に編成されたオケで,東京の主要なオケのメンバーを中心に構成されています 指揮のスペランツァ・スカップッチはイタリア生まれの女性指揮者で,ジュリアード音楽院,ローマのサンタ・チェチーリア音楽院を卒業,ウィーン国立歌劇場で「椿姫」「チェネレントラ」を指揮し好評を博しています

 

       

 

自席は1階L9列11番,左サイド9列目の右から2つ目です.会場は9割方入っているでしょうか オケのメンバーが入場し配置に着きます.ヴァイオリン・セクションを見て驚きました コンマスはN響コンマスの伊藤亮太郎,その後ろの席はN響の宇根京子とエクセルシオの西野ゆか,その後ろは会田莉凡と瀬崎明日香,その後ろはバッハ国際コンクール優勝の岡本誠司がスタンバイしています.これだけでもすごいと思います 第2ヴァイオリンには読響首席の瀧村依里が,チェロには上森祥平が,ヴィオラには新日本フィル首席の篠崎友美とエクセルシオの吉田有紀子が並びます さらにコントラバス首席には新日本フィル首席の渡邉玲雄が控えています 一方,管楽器を見ると,フルートにはN響首席の甲斐雅之が,オーボエには新日本フィル首席の金子亜未が,クラリネットには元新日本フィルの澤村康江が,ホルンにはN響の今井仁志がスタンバイして・・・・と探し出したらキリがありません まさにスーパーオーケストラです

茶髪を後ろで束ねたスカップッチが登場し1曲目のモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲の演奏に入ります 速めのテンポによる爽快な演奏でした 次にバスのザンぺトレアンが登場し,モーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」第1幕から「もう飛ぶまいぞ,この蝶々」を芝居気たっぷりに歌いました

次にオーケストラだけで,ヴェルディの歌劇「ナブッコ」の序曲が演奏されました これほどワクワクドキドキするドラマティックな演奏は聴いたことがありません 中盤での速いパッセージは,もしトスカニーニが生きていたらこういう演奏をしただろう,と思わせる目にも止まらぬスピードでした スピード違反で切符が切られそうです

次いで,テノールのイヴァン・マグリが登場,ヴェルディの歌劇「リゴレット」第3幕から「女心の歌」を高音も伸びやかに歌い,ソプラノのパサローユが登場,第1幕からジルダのアリア「慕わしい人の名は」を玉をころがすような輝かしい声で歌いました

次にバスのザンぺトレアンが登場し,ヴェルディの歌劇「エルナー二」第1幕から「不幸な人よ!」を迫力たっぷりに歌いました

次いで,テノールのマグリが登場,ヴェルディの歌劇「椿姫」第2幕からアルフレードのアリア「燃える心を」を情熱的に歌い,パサローユが加わり,第3幕から「パリを離れて,愛しい人よ」を協演しました 「これは素晴らしい」と思っていたら,次がありました 舞台に残ったパサローユが第1幕からヴィオレッタのアリア「不思議だわ!・・・ああ,そはかの人か・・・花から花へ」を完璧な高音のコントロールのもと,表情豊かに歌い上げました

 

       

 

後半の冒頭はベッリーニの歌劇「ノルマ」の序曲が演奏されます 私はこのオペラが大好きで,この序曲はオペラの主だったシーンの音楽を盛り込んでいるので,いつも楽しく聴いています スカップッチは,ここでも速めのテンポでグングン進めていき,ドラマティックな音楽作りに徹しています

スカップッチの指揮を見ていたら,2010年のトスカニーニ国際指揮者コンクール準優勝の三ツ橋敬子に似ているな,と思いました 指揮の途中で膝を折って身体を低くし 音を制御する仕草を見せるところとか,両手で大きく円を描くような仕草を見せるところとか,いくつか共通点があるように思いました ただし,背の低い三ツ橋よりスカップッチの方が大きく見えます

次に,マグリとザンぺトレアンが登場し,ドニゼッティの歌劇「愛の妙薬」第1幕からネモリーノとドゥルカマーラの二重唱をユーモアたっぷりに,また芝居気たっぷりに歌い,会場からヤンヤの喝采を浴びました 次いで マグリが篠崎和子のハープに乗せて第2幕からネモリーノのアリア「人知れぬ涙」をしみじみと歌い深い感動を誘いました

かと思っていると,今度はザンぺトレアンがロッシーニの歌劇「セヴィリアの理髪師」第1幕からドン・バジリオのアリア「陰口はその風のように」を堂々たるバスで歌い,聴衆の喝采をかっさらいました

すると今度は,パサローユがドニゼッティの歌劇「ドン・パスクアーレ」第1幕からノリ―ナのアリア「騎士はあの眼差しを」を美しくもドラマティックな歌声で歌い上げ,聴衆の心を鷲掴みしました

ここで,歌手陣の声帯を休ませるため,管弦楽によってプッチーニの歌劇「マノン・レスコー」から「間奏曲」が感動的に演奏されました 冒頭の上森祥平のチェロ,篠崎友美のヴィオラ,伊藤亮太郎のヴァイオリンの独奏は,このオペラの結末を予感させるような悲しみに満ち素晴らしい演奏でした

プログラムの最後はマグリとパサローユが,プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」からアリア「冷たい手を・・・私の名はミミ・・・愛らしい乙女よ」をドラマティックに歌い上げました.二人とも高音の伸びが凄い

会場いっぱいのブラボーと拍手に応えて,3人の歌手が片手にシャンペン・グラスを持って再登場しました 言う間でもなく,アンコールはヴェルディの「椿姫」第1幕から「乾杯の歌」です 実に楽しい幕切れでした

いつの日か,スカップッチがこの日の伸び盛りの3人の歌手を引き連れて,イタリアの歌劇場の来日公演を挙行する日が来るかも知れません その時を楽しみに待ちたいと思います

この日の公演は「東京・春・音楽祭2017」を締めくくるのに相応しい感動に満ちた素晴らしいコンサートでした

 

       

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カンブルラン+読響でバルトーク:歌劇「青ひげ公の城」他を聴く~イリス・フェルミリオンとバリント・ザボにブラボーの嵐

2017年04月16日 08時53分41秒 | 日記

16日(日).わが家に来てから今日で929日目を迎え,日向ぼっこをするモコタロです

 

       

          

大変失礼しました.契約通信社の誤配信により,近所の人気犬「二代目さくら」の写真を誤って掲載してしまいました  参考までに「さくら」は「桜」ではなく,映画「男はつらいよ」のフーテンの寅さんのセリフで「おい さくら,500円貸してくんねえか」というときの「さくら」のイントネーションで呼ばれています 二代目さくらの所属芸能事務所との契約の関係で,これからは不定期で出演しますので,以後 見苦しき面体お見しりおかれまして 恐惶万端よろしくおたの申します

ということで,この度の誤配信につきお詫びの上,以下に正しいモコタロの写真を掲載いたします

 

       

        何だよ おいらと間違えてさくらの写真を載せたんだって?  犬当違いもいいとこだぜ

 

                     

 

昨夕,池袋の東京芸術劇場で読売日響第567回定期演奏会を聴きました プログラムは①メシアン「忘れられた捧げもの」,②ドビュッシー「聖セバスチャンの殉教」交響的断章,③バルトーク:歌劇「青ひげ公の城」(演奏会形式)です ③のユディット=イリス・フェルミリオン,青ひげ公=バリント・ザボ,指揮=シルヴァン・カンブルランです

 

       

 

読響定期演奏会の新年度が始まりました サントリーホールの改修工事に伴い 年度の前半は池袋の東京芸術劇場コンサートホールで開催されます. 読響側で用意した自席は1階RB席です.ひと言でいえば1階右サイドにせり出した中2階のような席です ステージに近くとてもいい席だと思います ステージ上には集音マイクが立てられ,客席には2階席を中心に数台のテレビカメラがステージに向けられています ロビーの掲示に「日本テレビの読響シンフォニックライブで放映する」旨が書かれていました(放映日程は未定)

オケのメンバーが登場し配置に着きます.コンマスは小森谷巧です 1曲目はメシアンの「忘れられた捧げもの」です この曲はメシアンがパリ高等音楽院卒業の年に書かれた,若き日の記念碑的な作品です 「十字架」「原罪」「聖体の秘跡」の3つの部分から成りますが,緩-急ー緩のテンポで切れ目なく演奏されます この曲を聴くのは確か2回目のはずですが,カンブルランの指揮で聴くと非常に分かり易い曲だと感じました

2曲目のドビュッシー「聖セバスティアンの殉教」交響的断章は,この後に演奏されるバルトークの歌劇「青ひげ公の城」と同じ1911年に作曲されました イタリアの詩人で劇作家のガブリエーレ・ダヌンツィオの聖史劇のための音楽として書かれましたが,ドビュッシーは多忙を極めていた(借金の返済のため仕事をしていたらしい)ことから,友人のアンドレ・カプレの助力を得て完成させました 交響的断章はカプレによって編まれた4曲から成る組曲で,第1曲「百合の園」,第2曲「法悦の踊りと第1幕の終曲」,第3曲「受難」,第4曲「良き羊飼い キリスト」から成ります

この日は,第3幕のためのファンファーレが冒頭に演奏されましたが,読響のトランペット,トロンボーン・セクションは素晴らしい それと,第4曲の冒頭で演奏されたイングリッシュ・ホルンの美しいメロディーが忘れられません

この曲を聴いて思うのは,同じドビュッシーでも,「海」に代表される管弦楽曲よりも,歌劇「ペレアスとメリザンド」の世界に近いな,ということです

 

       

 

休憩後はバルトークの歌劇「青ひげ公の城」(演奏会形式)です この作品は,友人のベラ・バラージュがヨーロッパ各地で語り継がれてきた「青ひげ伝説」を題材にして書いた台本に基づいて作曲されました 全1幕 約1時間の作品で 登場人物は2人だけというシンプルなオペラです

ストーリーを大雑把に解説すると,婚約者を捨て 家族の反対を押し切って青ひげ公に嫁いたユディットは,青ひげ公に城内の7つの「開かずの扉」を開けるように懇願する 「拷問の扉」「武器庫への扉」「宝物の扉」「秘密の花園の扉」「広大な領地への扉」「涙の扉」「青ひげ公の先妻たちの扉」が次々と開かれていく,といった ちょっとミステリータッチのオペラです

ユディットを歌うドイツ生まれのイリス・フェルミリオンが,青ひげ公を歌うハンガリー生まれのバリント・ザボとともに登場し,指揮台の左右にスタンバイします  イリスはローズ・レッドの衣装が鮮やかです ザボの前には譜面台がありません.暗譜で歌うようです

イリス・フェルミリオンは説得力のあるメゾ・ソプラノで,好奇心豊かなユディットをドラマティックに歌い上げました バリント・ザボはMETライブビューイングでお馴染みのルネ・パーペに似た風貌のバスで,声の質もよく似ていて,底力のある歌声で聴衆を圧倒しました 

実は,この二人の歌手は聴く前はそれほど期待していなかったのですが,予想以上の出来で,カンブルラン+読響の完璧なサポートと相まって,歌劇が文字通り「歌によるドラマである」ことを強く印象付ける演奏として心に刻まれました

 

       

 

これから1年,読響定期で悪名高きサスペンダー爺さんの姿を見ることになるという 不都合な真実 を突きつけられました   嗚呼ミゼラブル

 

 

本日,当toraブログのトータル訪問者数が75万人を突破しました.これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも1日も休むことなく書いて参りますので,引き続きご覧くださるようお願い致します

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J.S.バッハ「マタイ受難曲BWV244」を聴く~バッハ・コレギウム・ジャパン第122回定期演奏会

2017年04月15日 08時53分58秒 | 日記

15日(土).わが家に来てから今日で928日目を迎え,米軍がアフガニスタンで過激派組織「イスラム国(IS)」の地下施設を破壊するため,大規模爆風爆弾「モアブ」を使用したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

       シリアに次いで新型爆弾モアブでアフガンを爆撃した  も アブないんだから 次の標的が

 

                     

 

昨日,夕食に「豚肉のアスパラ巻き焼き」「生野菜とツナのサラダ」「野菜とシメジとベーコンのスープ」を作りました 「豚肉の~」は何回か作った実績があるので慣れました

 

       

       

                     

 

昨日,初台の東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン第122回定期演奏会を聴きました プログラムはJ.S.バッハ「マタイ受難曲BWV244」です 出演は,ソプラノ=ハンナ・モリソン,松井亜希,アルト=ロビン・ブレイズ,青木洋也,エヴァンゲリスト=ベンヤミン・ブルンス,テノール=櫻田亮,バス=クリスティアン・イムラー,加来徹,合唱・管弦楽=バッハ・コレギウム・ジャパン,指揮=鈴木雅明です

 

       

 

バッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の新年度は「マタイ」から始まります この曲を聴くと,あれから1年経ったのかと感慨深いものがあります(昨年は3月でした).B.C.Jはバッハの「受難曲」を演奏する時はオケが左右対称に配置されます 向かって左側に第1群,右側に第2群がスタンバイします.フラウト・トラヴェルソやオーボエなどの管楽器,ヴァイオリンをはじめとする弦楽器,オルガン,さらにソリストも左右に分かれます エヴァンゲリスト役のテノールが中央にスタンバイし物語を語ります

第1群はコンマス=若松夏美,フラウト・トラヴェルソ=菅きよみ,前田りり子,オーボエ&オーボエ・ダガッチャ=三宮正満といったレギュラーメンバーで,一方の第2群はコンマスを高田あずみが務めます(プログラムを買っていないので他の演奏者の名前が分からない).

鈴木雅明が登場,さっそく第1部の演奏に入ります 歌手陣では,エヴァンゲリストを歌ったテノールのベンヤミン・ブルンスがダントツに上手く,存在感が抜群でした 次いでイエスを歌ったバスのクリスティアン・イムラーが素晴らしい歌唱力でした ソプラノのハンナ・モリソンはノン・ヴィブラートの美しい声で高音が綺麗でした アルトのロビン・ブレイズは中盤で不安定になるところがありましたが,後半は修正し いつものカウンターテナーを聴かせてくれました

日本人歌手で良かったのは,まずアルトの青木洋也です  この人は聴くたびに上手くなっていると思います.次いでバスの加来徹です.テノールの櫻田亮はいつ聴いても安定感があります

バックを務めたオケのメンバーでは,オーボエ&オーボエ・ダガッチャの三宮正満,フラウト・トラヴェルソの菅きよみと前田りり子,そしてコンマスの若松夏美の演奏が印象に残りました

 

       

 

ところで,演奏側ではなく客席側に残念なことが2つありました  1つは,第1部の終了にあたり,指揮者・鈴木雅明の両手が下りないうちに大きな拍手があったことです.私のすぐ後ろの席の男性客でしたが,明らかにフライングです 余韻を楽しむことが出来ず残念だったのは鈴木雅明氏をはじめ,その男を除く全員です  拍手をした男は,通ぶっているだけで 音楽の何たるかが分かっていない輩です

2つ目は,自席のすぐ前の客が 演奏中さかんに身体を右に左に傾けて落ち着きがなかったことです  ずっと左に傾いたままなら 反って舞台が見やすいのですが,その反対だと舞台が見えなくなってしまうのです  小学校低学年でよく見かけますね.こういう落ち着きのない子を.そういう子がそのまま大人になったみたいです いくら良い席を取っても前にこういう客がいるとすべてが台無しになります 休憩時間に注意してやろうと思っていたら,髪が長いので女性だと思っていたその客が 鼻の下に髭を生やした若者で,いかにも胸ポケットにバタフライ・ナイフかヌンチャクを隠し持っているような顔をしていたので,危険を察知して止めておきました 注意して,その結果 逆上して刺されたりしたら「マタイ受難曲」ではなく「マサに受難極(まる)」になってしまいますから

この曲の最後,第2部のフィナーレ「哀悼と告別」のコラールを聴きながら,「今年のバッハの長い旅もこれで終わりか また新年度が始まったな」と,思わず感慨にふけりました

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「郷古廉&加藤洋之 ベートーヴェン『ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会1』」を聴く / N響から次期シーズン継続案内届く / 「世界一美味しい煮卵の作り方」を読む

2017年04月14日 07時50分58秒 | 日記

14日(金).わが家に来てから今日で927日目を迎え,シリアで化学兵器が使われた疑惑について,国連安全保障理事会が,攻撃を非難し 同国政府に調査への協力を求める決議をしたが,ロシアが拒否権を行使,中国が棄権し 決議案は廃案となった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

         中国は「シリアのことはシリアせん  廃案にしチャイナ」と言って棄権したんだってさ 

 

                     

 

昨日,夕食に「鶏のトマト煮」と「生野菜とアボガドのサラダ」を作りました 「鶏の~」は子供たちに好評でした

 

       

 

                     

 

新日本フィルに続いて,N響から「2017-18シーズン 会員券更新のご案内」が届きました N響はA・B・Cの3つのプログラム(各2回)があります.現在私はCプログラム(金・土コース)の会員です.次期の各プログラムのラインアップを比較すると,Cプロを継続するか,Aプロに変更するかのどちらかだろうと思います Cプロの魅力はデュトワのサン=サーンス「ピアノ協奏曲第5番」(P:ティボーデ),ヤルヴィのサン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」(Vn:樫本大進),アシュケナージのメンデルスゾーン「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」(Vn:庄司紗矢香),ブロムシュテットのベートーヴェン「交響曲第4番」他など,一方Aプロはヤルヴィのショスタコーヴィチ「交響曲第7番」,マーラー「交響曲第7番」,ヤノフスキのベートーヴェン「交響曲第3番」,デュトワのラヴェル管弦楽曲集,下野竜也のベルク「ルル組曲」(SP:エルトマン)などです どちらにするにしても,すでに予定が入っている東京交響楽団と読売日響の定期演奏会とダブるケースが出てきます 新年度の新日本フィルも含めて出来るだけダブらないよう,振り替えできるかどうかも含めて選択したいと思います

 

       

 

                     

はらぺこグリズリー著「世界一美味しい煮卵の作り方」を読み終わりました.というか,見終わりました 「美味い,安い,速い」というどこかの牛丼チェーンのキャッチフレーズそのままのレシピの数々が紹介されています 近いうちにわが家の食卓にものりますので,このブログでご紹介します

 

       

 

                     

 

昨夕,上野の東京文化会館小ホールで「郷古廉&加藤洋之 ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会1」公演を聴きました プログラムはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ①第1番ニ長調 作品12-1,②第2番イ長調 作品12-2,③第3番変ホ長調 作品12-3,④第5番ヘ長調 作品24「春」です

 

       

 

郷古廉は宮城県生まれ.2013年8月 ティボール・ヴァルガ シオン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝,併せて聴衆賞,現代曲賞を受賞しています 現在ウィーン私立音楽大学で学んでいます   なかなか名前の読み方が分からなくて,最初のうちは「きょうこ  れん」・・・変な名前ーなどと勝手に読んでいましたが,「ごうこ  すなお」だと後から知り赤面しました

一方,加藤洋之(かとう ひろし)は東京藝大大学院在学中の1990年にジュネーヴ国際音楽コンクールで第3位に入賞しています ウィーン・フィルのライナー・キュッヒル氏との共演は15年にも及び,2010年にウィーン楽友協会で開かれたベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会は絶賛を博したと言われています

自席はE列29番,右ブロック左から2つ目です.会場はほぼ満席と言って良いでしょう

1曲目のヴァイオリン・ソナタ第1番は,作品12として作曲された3曲のうち2番目に作られた作品です この3曲は「アマデウス」でお馴染みの,ベートーヴェンの先生だったアントニオ・サリエリに献呈されました この曲は3つの楽章から成ります

第1楽章冒頭から力強い音楽が展開します.郷古の演奏は「ベートーヴェンに挑戦してやる!」という意気込みを感じます 彼を第2楽章のアンダンテでは郷古の1682年製ストラディヴァリウスが美しく響き渡ります 郷古の演奏を支える加藤のピアノは饒舌です これは,この後の演奏に共通して言える彼らの特徴となります

2曲目の第2番は3曲の中で最初に作曲された作品で,3つの楽章から成ります この曲で思い出すのは,十数年前に,日本を代表するピアニスト園田高広が新日本フィルのコンマス豊嶋泰嗣と組んでトリフォニーホールで演奏したベートーヴェン・ツィクルスです この曲の第1楽章冒頭はピアノの軽やかな演奏で入りますが,晩年の園田は肩の力が抜けたソフトで軽いアプローチで入りました これを聴いて,人生を達観した園田の明鏡止水の境地を思いました もちろん他のソナタも含めて,豊嶋の冴えたヴァイオリンと相まって素晴らしかったのは言うまでもありません

その時と演奏と比べると,郷古+加藤の演奏は同じ軽やかでも「前を向いて生きて行こうとする力強さ」を感じさせる演奏です これはこれでベートーヴェンらしくて素晴らしいと思いました

 

       

 

休憩後の最初はソナタ第3番です この曲も3つの楽章から成ります.第1番,第2番と比べると,だんだんベートーヴェンらしくなってきたな,と感じます 特に第3楽章のロンド:アレグロ・モルトはベートーヴェンの「前進あるのみ」という意欲を感じさせる曲想で,2人の演奏も「登り坂」にあるベートーヴェンその人を表わしているようなアグレッシブな演奏でした

最後の第5番は「スプリング・ソナタ」という愛称で親しまれていますが,誰が名付けたのか知りませんが この曲にピッタリで, まさに今の季節に相応しい作品です   この曲は,第4番までと違って規模が拡大し4楽章形式から成ります 2人の演奏は清々しい中にも将来への生きる意欲を感じさせる力強い演奏でした

会場いっぱいの拍手に,2人はアンコールにベートーヴェンの小品を演奏するかと思いきや,シューベルトの「ソナチネ第3番」から第2楽章を軽やかに演奏し,コンサートを締めくくりました

なお,当日はそこかしこにテレビ・カメラが入っていましたが,この日の演奏は6月21日(水)午前5時30分からNHK-BSで放映されるそうです そんな早い時間に起きられないよ

この公演を聴くに当たってアルチュール・グリュミオー(vn)とクララ・ハスキル(P)による3枚組CD(1956/57年録音)で予習しておきました

 

       

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METライブビューイングでヴェルディ「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」を観る~感動的なヨンチェヴァのヴィオレッタ / 新日本フィルから次期シーズンへの継続案内届く

2017年04月13日 07時51分32秒 | 日記

13日(木).わが家に来てから今日で926日目を迎え,フィギュアスケートの浅田真央選手が現役引退の記者会見を開いたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        最後まで涙を見せまいとした会見は真央さんらしかった  長い間お疲れさまでした!

 

                      

 

昨日は息子がなぜか「豚足」を買ってきたので,夕食は自己流の「豚足の煮込み」と「野菜とシメジとウインナのスープ」を作りました コラーゲンたっぷりの「豚足~」は,和風だしで大根と豆腐とともに煮込み,後から小松菜と小葱を加えました.何とか整った味になりました

 

       

 

                     

 

新日本フィルから「2017/2018シーズン  定期演奏会  継続のお願い」が届きました コースは3つあります.①トパーズ(トリフォニー・シリーズ),②ジェイド(サントリーホール・シリーズ),③ルビー(アフタヌーン・コンサート・シリーズ)で,各コース全8回公演.チケット代が高い順にジェイド,トパーズ,ルビーの順です 現在,私は現在トパーズ会員ですが,3つのコースのプログラムをよく比較検討してから継続かコース変更かを判断したいと思います 

3つのコースのプログラムをざっと見渡したところ,どうしても聴きたいという公演がありません 強いて挙げるとすれば「ジェイド」の来年4月度公演=上岡敏之指揮①モーツアルト「ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491」(P:アンヌ・ケフェレック),②ブルックナー「交響曲第6番イ長調」くらいです 会員の継続手続きは5月8日までということなので,他のオケの日程も考慮して方針を決めたいと思います

 

       

 

                     

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,ヴェルディ「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」を観ました これは今年3月11日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は,ヴィオレッタ=ソニア・ヨンチェヴァ,アルフレード=マイケル・ファビアーノ,ジョルジュ・ジェルモン=トーマス・ハンプソン,指揮=二コラ・ルイゾッティ,演出=ヴィリー・デッカーです

原作はアレクサンドル・デュマ・フィスの小説「椿を持つ女」ですが,ヴェルディは題名を「道を踏み外した女(ラ・トラヴィアータ)」と変え,表面は華やかでも,社会には受け入れられない不幸な女性の心情を音楽で表現したのです

 

       

 

前回METライブで観た同じデッカーの演出による「椿姫」ではヒロインをナタリー・デセイが歌っていましたが,今回はブルガリア出身のソニア・ヨンチェヴァが歌います

舞台はシンプルです.半円形の舞台の右サイドに大きな円い時計が置かれていて,そのそばに謎の男性が座っているだけです この謎の男性の正体は第3幕で明らかになります.舞台転換はなく,全3幕が同じ舞台上で歌い演じられます 今回久しぶりにデッカーの演出で観て,あらためて気が付いたことがあります.それは,装飾を排したシンプルな舞台作りとともに,焦点が明確に主役のヴィオレッタ,アルフレート,ジェルモンの3人に当てられているということです 普通の演出では,第1幕のパーティー・シーンでの「乾杯の歌」は華やかに着飾った男女混声合唱で歌われますが,デッカーの演出では女性も男装して歌っているので,ヴィオレッタだけがこのオペラのヒロインであることが強調されます.聴衆の目は 黒の衣装集団に囲まれた赤いドレスのヴィオレッタを歌うヨンチェヴァに注がれます この演出は見事です

ヴィオレッタ役のソプラノは全3幕を通して出ずっぱりで,次から次へと歌わなければならない しんどい役柄ですが,ヨンチェヴァの 低音から高音までの美しい声とそれを歌い通すスタミナには驚きます このオペラの魅力はヴィオレッタが歌うアリアの数々ですが,第1幕のアリア「きっと,あの方なのね~花から花へ」,第2幕のジェルモンとの二重唱「神様は私に天使のような娘を」,第3幕のアリア「さようなら,過ぎ去った愛の日々よ」は,思わず感情移入してしまうほど感動的でした ヨンチェヴァは ときに繊細に,ときにドラマティックに,自由自在に歌い分けます

アルフレードを歌ったテノールのマイケル・ファビアーノは,METのオーディションに合格して育て上げられた若手の有望株です プロ野球で言えば「育成選手」といったところでしょうか  彼の良いところは 与えられた役柄に全身全霊を傾けているところです  高音もよく伸びます

ジェルモンを歌ったバリトンのトーマス・ハンプソンは大ベテランらしく歌にも演技にも余裕があります  第2幕での「プロヴァンスの海と陸」は,まるでベテランの歌舞伎役者が”見えを切る”ような堂に入った歌唱でした

今年度のMETライブも,あとはモーツアルト「イドメネオ」,チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」,リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」の3作を残すのみとなりました もちろん全部観ます

 

        

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トリオ・アコードでハイドン,ラヴェル,シューベルトの「ピアノ三重奏曲」を聴く~プログラミングの妙

2017年04月12日 08時01分31秒 | 日記

12日(水).昨日,当ブログの読者ゆえさんと内幸町の飯野ビル内でランチしました 「暖かくなったらランチしよう」ということだったのですが,雨が降って寒かった 彼女の仕事の話とかお互いのコンサート情報とか,いろいろとお話ししましたが,ドヴォルザーク,とくに序曲「謝肉祭」が大好きだという彼女は10月3日のチェコ・フィル来日公演のチケットを取ったとのこと 首席指揮者ビエロフラーヴェクの指揮で「謝肉祭」のほか,ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(Vc:ジャン=ギアン・ケラス),ブラームス「交響曲第4番」が演奏されるとのことです 私の方は,昔さかんに通った中野「クラシック」,渋谷「ライオン」などの「名曲喫茶」の話などをしました というのは,私のかつての夢は「クラシック喫茶」を経営したいというものだったからです その話をしたら「toraさんは,CDもレコードも豊富に持っているし,本も沢山あるし,ウサギも飼っているから,”本が読めてウサギが触れるクラシック喫茶”なんていいんじゃありませんか」と貴重なアドヴァイスをしてくれました その時 思い浮かべたのは,誰もお客のいない喫茶ルームの片隅でモコタロを抱きながらコーヒー片手にLPレコードから流れるブラームスの室内楽に耳を傾けている一人の男の姿でした ゆえさん,楽しいひと時をありがとうございました

 

       

 

ということで,わが家に来てから今日で925日目を迎え,東芝が2016年4~12月期決算について,監査法人の「適正意見」を付けない形で発表することを取締役会で決めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        かつて長年「サザエさん」の単独スポンサーを誇った東芝はどこへ・・・・・えっ芝公園? 

 

                      

 

昨日,夕食に「サバの塩焼き」「野菜とシメジとタケノコとアサリのスープ」「ホウレン草のお浸し」「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました スープの素はもちろん毎日変えていますが,スープの素と具材の組み合わせを考えるのが大変です

 

       

 

                      

 

昨夕,上野の上野学園石橋メモリアルホールで「トリオ・アコード」演奏会を聴きました これは「東京・春・音楽祭」参加公演です.「トリオ・アコード」は,2003年に東京藝大の同級生によって結成されたピアノ・トリオで,ヴァイオリン=白井圭,チェロ=門脇大樹,ピアノ=津田裕也の3人で構成されています 卒業後,それぞれが海外留学で離ればなれになり一時期活動を中断していましたが,近年活動を再開したとのことです

プログラムは①ハイドン「ピアノ三重奏曲第25番ト長調”ジプシー・ロンド”」,②ラヴェル「同 イ短調」,③シューベルト「同 第1番変ロ長調」です

 

       

 

自席は1階G列8番,左ブロック右通路側です.雨にも関わらず多くのお客さんが入っています 私の左側は4人の修道女の皆さんが横一列に並んでいます.後方の席からこの列を見たら,マリア様ご一行と付き添いのおじさんという景色でしょうか 私も黒のジャケット着てたし

1曲目のハイドン「ピアノ三重奏曲第25番ト長調」は1795年に作曲されたと言われており,「ジプシー・ロンド」という愛称で親しまれています これは最後の第3楽章にジプシー調のメロディーが聴かれるところから付けられました

2曲目のラヴェル「ピアノ三重奏曲イ短調」は4楽章から成りますが,1914年に完成しました

ハイドンが終わり,次のラヴェルの第1楽章冒頭を聴いた時に感じたのは,ハイドンの「モノトーン」からラヴェルの「フルカラー」に一瞬で音色が激変した,ということです クラシック音楽が約120年を経て いかに革新的に変化したかを思い知らされる思いがしました

プログラミングとしては,作曲年代順にハイドン,シューベルト,ラヴェルという順に演奏する方法も考えられると思いますが,(それぞれの演奏時間の関係もあるでしょうが)彼らはその方法を取らず,前半で あえてハイドンとラヴェルを並べました これは,前述の「音色の激変」を考えれば,プログラミングの妙と言うべきでしょう 鮮やかなコントラストでした また,3人の演奏者はそれを強く印象付ける演奏力を持っていたと言うべきでしょう

さらに言えば,ラヴェルの「ピアノ三重奏曲イ短調」の第3楽章におけるピアノの低音部とチェロを中心とする音楽から,第4楽章のヴァイオリンの高音部を中心とするアンサンブルへの移行も,まさに「モノトーン」から「フルカラー」への転換というべき変化で,3人の演奏は鮮やかでした

 

       

 

休憩後はシューベルト「ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調」です この曲は自筆譜が失われているため作曲年代が明確ではありませんが,1827~28年頃に書かれたと言われています.この曲は4つの楽章から成ります

この曲は第1楽章冒頭の第1主題からして,まさにシューベルトらしい旋律で,明るく勢いがあります 第2楽章のアンダンテは,シューマンが「数々の快い夢」と評したシューベルト特有の美しいメロディーが,チェロからヴァイオリン,ピアノへと受け継がれていきます いつまでも聴いていたいような心地よい音楽です 第3楽章の躍動的なスケルツォを経て,第4楽章は最晩年の作品らしく,いつ終わるのか分からないほど同じメロディーが形を変えて登場します 終わるかと思うと終わらない,という点では,あのハ長調の大交響曲を思い出します

シューベルトのこの曲は「モノトーン」とか「フルカラー」とか言うよりは,シューベルト特有の「歌心に満ちたカラー」とでも言うべき性質の音楽です 3人の演奏は,シューベルトらしさを十分に表現した素晴らしい演奏でした

3人はアンコールにシューベルトの「8つのレント」を演奏しました いかにもウィーン生まれのシューベルトが作曲したウィーン情緒豊かな曲でした

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斎藤美奈子著「文庫解説ワンダーランド」を読む~小林秀雄「モオツァルト」の解説も切る! / ヤノフスキ+N響のワーグナー「神々の黄昏」のコンサート評を読んで思う

2017年04月11日 07時55分24秒 | 日記

11日(火).昨日の朝日夕刊・文化欄に4月4日の東京・春・音楽祭でのワーグナー「神々の黄昏」の演奏会評が載っていました 執筆者は音楽評論家の伊東信宏氏です.これを見る限り,プロの音楽評論家も私のようなアマチュアも,同じような感想を持ったのだなということが確認できます

伊東氏は「ハーゲン役のアイン・アンガーの存在感が圧倒的」,「ブリュンヒルデ役のクリスティアーネ・リボールも,この役の気性の激しさをよく表現」,「ワルトラウテ役のエリーザベト・クールマン,アルべリヒ役のトマス・コニエチュニーも,出番は少ないながら印象に残る」,一方「ジークリート役のアーノルド・べズイエンは,高音の伸びがなく苦しかったが,急きょ呼ばれた代役としては仕方ないところもある」,「この公演の主役は,間違いなく指揮者のマレク・ヤノフスキだろう」と書いていますが,これらの印象は,表現方法が多少異なるものの,私が5日付のブログで書いた内容とほとんど変わりません

伊東氏に限らず,新聞にコンサート評を書く音楽評論家は,ほぼ間違いなく,新聞社から招待券をもらって,一番いい席で聴いて,それを文章にして原稿料をもらっているのだと思います 一方,私のような単なるクラシック音楽好きは,自腹で安くないチケットを買って,思ったことをせいぜいブログにアップするくらいのことしか出来ません 私はアフィリエイト広告は導入していないので,ブログから収入を得ているわけではありません.それでも私は音楽評論家を羨ましいとは思いません 例えば,そのコンサートがその新聞社が主催もしくは後援しているものだとしたら,演奏内容に対して不満だったことや批判的なことは書けないでしょうし,書いたとしたら次に声がかかることはないでしょう そんな窮屈な立場で聴くより,自腹で聴いて,思った通りの感想をブログに書いた方がよほど気が楽です

ということで,わが家に来てから今日で924日目を迎え,アメリカが,国際合意に反してミサイル発射を繰り返す北朝鮮を牽制し,当初予定を変えて朝鮮半島周辺に向けて米海軍の原子力空母カール・ビンソンを派遣した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        ミセス・ロビンソンでなく カール・ビンソンだから 北朝鮮は鼻歌なんか歌ってられないぞ

 

                     

 

昨日は娘が仕事休みの日だったので夕食はステーキにしました いつも通り,私がジャガイモ,人参,エリンギなどの付け合わせや野菜サラダを作り,娘が肉を焼きました

 

       

 

                     

 

斎藤美奈子著「文庫解説ワンダーランド」(岩波新書)を読み終わりました 斎藤美奈子は1956年新潟県生まれの文芸評論家です.「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞を受賞しています

 

       

 

この本には,夏目漱石の「坊っちゃん」,川端康成の「伊豆の踊子」「雪国」,太宰治の「走れメロス」から,サガン「悲しみよ,こんにちは」,村上龍の「限りなく透明に近いブルー」まで,広範囲にわたる作品に添えられた「解説」に焦点を当て,その内容を批判的に「解説」した稀に見る傑作です

私の興味を引いたのは「小林秀雄『モオツァルト・無常という事』~試験によく出るアンタッチャブルな評論家」です これを見てあらためて知ったのは小林秀雄の作品の文庫版には「解説」がないこと.あったとしても,それは江藤淳が専属解説者のようになっているということです

斎藤は江藤の解説を具体的に紹介しながら,「江藤の解説は分かりにくい」として次の2つの理由を挙げています.①小林の内面に寄り添おうとしていること,②それにもかかわらず,小林の内面の背後にある伝記的事実は伏せていること

そして,結論として次のようにまとめています

「『小林秀雄』という本を執筆した江藤は,何を読んでもコバヒデの執筆モチベーションを考えずにはいられなかった.江藤淳は要するに,小林秀雄の作品を『私小説を読む』ように読んで解説しているのだ あるいは小林自身が『私小説を書く』ように評論を書いているのかも知れない 読者が頭を抱えるのも当然だろう

斎藤の「あるいは小林自身が『私小説を書く』ように評論を書いているのかも知れない」と指摘しているのは卓見だと思います

「試験によく出るアンタッチャブルな評論家」というテーマで思い出したことがあります いつ どこで 何で 読んだか忘れましたが,小林秀雄の娘さんが学校の宿題で出された文章をどう解釈したら良いか分からなかったので,父親である小林秀雄に尋ねたところ,一通りその文章を読んで「何を言っているのかさっぱり分からない.悪文だ」と答えたといいます.その文書の筆者を確かめると「小林秀雄」とあった,というものです  自分が過去に書いた文章を悪文と決めつけているのですから世話がありません

ところで,文学作品の解説について斎藤が一番言いたいことが書かれているのは次の文章です

「日本の現代文学の解説には,しばしば次のような特徴が見られる.①作品を離れて解説者が自分の体験や思索したことを滔々と語る,②表現,描写,単語などの細部にこだわる,③作品が生まれた社会的な背景にはふれない.・・・同人誌の合評ならいざ知らず,解説としては落第だろう

これは文庫本の「解説」を読んでいてよく経験することです とくに①のケースが多いように思います.読者が知りたいのは著者や作品そのものの解説であって,解説者の体験や,著者との付き合いの深さなどはどーでも良いのです 斎藤は解説者の取るべき態度として次のように語ります

「悪習を絶つ方法は簡単である.第一に,5年後,10年後の読者を想定して書くこと.第二に,中学二年生くらいの読者を対象に書くことだ 同時代の読者には説明過剰に思えても,数年後の読者にはもう通じない それが現代.後世の読者に必要なのは,国語(文章の鑑賞)よりも社会科(地理的歴史的背景)なのだ

そして,「解説」を読む読者としてはどうすべきかについて,次のように語ります

「文庫解説はどうあるべきかという問いに正解はない.ただし,注意すべきは,その文庫が生き残っている限り,解説もいっしょに生き残ることだろう どんな解説がつくかはほとんど『運の世界』である.読者としては,メディアリテラシーを磨いて,解説をも批評的に読むのが最良の対抗策だろう

本を解説も含めて批評的に読むというのはそう簡単なことではありません せっせと 靴の代わりに メディアリテラシーを磨かなくっちゃ

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