▼臆病は唯一の障害―哲学者アラン
アランの『幸福論』は、幸福を感情ではなく、意志と行動の結果として捉える点で独特です。
彼は、幸福は待つものではなく、自らの行動によって掴み取るものであると説いてい る。
▼現在、さまざまな言説が極端に偏り、単純化され、対立を生んでいる。
▼トランプ前大統領が勝利を収めたが、その勝因の一つとして、主張の「分かりやすさ」と指摘されている。
それは必ずしも中身の「正しさ」意味しないが、アメリカ国民の多くが共感したのである。
▼感情のなかに傷や痛みを残すことは、悪いことではない。
そして、感情を無理に打ち消す必要はない。
心の傷や痛みとじっくり向き合うことで、大切な財産ともなる。
▼相手の心、言葉に耳を傾け、率直に受け止めることだ。
奮起を急がせたり、拙速に結論づけたりしないことだ。
▼11月16日は「国際寛容デー」
他者の存在を尊重し、受け入れることを「寛容」の定義とし、多様な社会を存続させることを目的に国連が定めた日だ。
▼あらゆる分野で、多様性が叫ばれる昨今、求められる寛容さは、うわべだけの善行でも、他者への無関心の裏返しでもない。
大切なのは、自分と相手の意見が異なったとしても、相手との関係を保ち、接していくことではないだろうか。
他者の意見に賛同できずとも、相手の気持ちや背景を理解し、共感しようと試みる寛容さこそが重要だ。
▼相手の立場に立つことで、新たな学びや、気付きを得ることもあるものだ。
差異に目を向けることは、自身の世界を広げる好機にもなる。
▼寛容とは、現状に対する安易な全面肯定ではなく、もしろ悪への自覚、反省と慚愧を促し、善へと導いていくプロセスにある。
慚愧(ざんき)とは自分の言動を反省して恥ずかしいという思い、気持ち。