徹は高校と大学でドイツ語を学んだのだが、身に付かなかった。
英語は中学生からであるが、さらにダメだった。
入学式に目を留めたことが契機となり惚れた女学生と席を並べる機会を狙ってドイツ科の授業を選択したのだが、彼女にはすでに彼氏がいて、二人は何時も行動をともにしていたのだ。
徹は国文科専攻であるが、体育科も選択して、昼休みを含めて体育館で過ごすことも増えた。
先輩や講師には、オリンピックに出た人もいた。
だが、体操については高校生から体操をやってきた同期生にはとても及ばなかった。
剣道だけは高校生からやっていたので、大学生から初めて同期生たちには、試合では負けなかった。
「今日は、やけに少ないな。皆はどうしたんだ?」講師の一人が講堂へ入っくるなり、怪訝そうに学生たちに聞くのだ。
「皆、国体に行ってます」と一番前に座る学生が説明する。
「そうか、君たちも頑張って、来年は国体へいくようにしなさい」と講師は促すが「ハイ」と応える学生は皆無だった。
徹は1500メートのタイプ測定で2位となる。
油断だった、気を抜いたらゴール手前で後から追い込んできた学生に寸前で差されてしまった。
その学生こそ、徹が密かに惚れていた秋山純子の彼氏だったのだ。
徹は講師でオリンピックにも出た体操の青山貴子先生から「バーベルを片付けなさい」と命じられた。
バーベルを使用していた数人の学生が放置したまだっだ。
青山貴子講師の練習姿を見るために、徹は体育館へ行くことが増えた。
高校生の時に惚れこんだ田辺みどりに面影が似ている青山講師に対して心を投影させていたのだ。
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