みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

ヴェネズエラのユースオーケストラ

2009-04-14 21:39:27 | Weblog
で今や超人気のシモン・ボリバル・ユース・シンフォニーのyou tube映像を時々見ているが(このオケを知らない人は絶対に見るべきだ。これ以上感動的なオーケストラは世界中探してもどこにもない)、そこからリンクしているちょっと面白い映像がある。
アメリカのメジャー新聞のワシントンポストが行っている実験映像がそれ。ジョシュア・ベルという世界的ヴァイオリニストに地下鉄の駅(ワシントンD.C)でストリート・ミュージシャン(しかも、たった一人で)をやらせて一体どれだけの人が気づき足をとめるかという実験だ。
映像の長さがよくわからないのだが(コマ送りで時間を縮めているので)、相当長い時間ベルがバッハを演奏していてもほとんどの人はまったく気づかず、最後に一人の若い女性が「先週のアナタの演奏会は素晴らしかった」と近寄っていくところで映像は終わっている。
まあ、日本で言えば霞ヶ関のような駅のラッシュ時に駅で有名な音楽家がヴァイオリンを演奏していたって一体どれだけの人が気づくのか?あるいはたとえ気づいたところで一体どれだけの人が足を止めようという気になるのかは疑問だろう。
でも同じ実験をやったらきっと日本でやった方がもっと人は止まるような気がする(わからないけどね)。アメリカって意外と文化音痴なところがあるから(ヨーロッパと違って)、きっとそういうことを言いたいためにワシントポストのような一流誌がこんな実験をしたのかもしれない。
でも、ヴァイオリンっていうところが象徴的でいかにもという気がする。これがバンドやギターの弾き語りみたいなものだったらもっと反応は違っていたかもしれない。
こんな実験一つで何がわかると言われればそれまでだけれど、見ているといろんなことを考えさせられる。
所詮音楽なんて「アリとキリギリス」の「キリギリス」にしか過ぎないなんだから、真面目に働いているアリさんからみれば単なる「なまけもの」にしか過ぎないと世間は見ているのだろうか?
駅を足早に通り過ぎる人たちはみんな仕事に向かって真面目に働いている人たち。だから音楽なんかにかまっているヒマはない。きっとそんな映像とその逆抜きから発せられる「きみたちはホンのちょっとの間も音楽を聞いている余裕すらないのかい?」という声も聞こえてくる。
この映像につけられたタイトルは「STOP AND HEAR THE MUSIC」だ。