みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

まるで引っ越しのような

2012-04-21 21:03:42 | Weblog
自宅への移動だ。
たった7ヶ月の仮暮らしだったとはいえほとんど重要な仕事の道具や洋服、本などを移動させていたのでそれをまた元の場所へ移動させるとなると本当に「引っ越し」になってしまった。
となるとその片付け作業も大変なのだが、それよりもやはり気を使うのは恵子の具合。
日によって調子の波はあるし、これまでの経過の流れのまま順調に「右肩上がり」に回復が進むかと思えばそう単純なものでもない。
引き戻しのような状態になることもあり「一進一退」といった感じの方が正確かもしれない。
脳卒中とはつくづくやっかいな病気だと思うのだが、東京で電車に乗っているとついつり革広告というものに目が行って週刊新潮の「有名人が語る脳卒中の前兆と初期症状の研究」という見出しにひかれてつい買って読んでしまった。
で、読んだ感想はと言えば、この病気の家族を持っている人にとっては「何も書かれていない」に等しいぐらいの内容だったのだが、一つだけきちんとわかったこともあった。
それは、脳卒中にかかった人たちにほぼ共通の前兆とは「疲れ過ぎ」ということだ。
それこそ尋常ではない「疲れ方」をしている時にみんなこの病気に襲われている。
恵子も場合もそうだった。
結果論としてそう思うのかもしれないが、恵子が倒れる直前にふと思ったことがあった。
「こんなに忙しくしていて倒れなきゃ良いのだが…」。
東京と伊豆の往復生活。そして、自宅やカルチュアスクールをはじめいろいろな所でトールペインティングやデコパージュを教える日々。そして、東京の実家で84歳の叔母の面倒を見る日々。
そんな彼女の生活を見ていてふと思ったのが先ほどの感想だ。
それが見事に的中してしまった。
そして、彼女が倒れてから7ヶ月間その彼女の仕事を私が全部引き受けてきた(まあ、さすがに私にはトールペインティングは教えられないのだけれど)。
そんな東京での生活もほぼ卒業して今度は恵子のリハビリの手伝いをしながら日常生活の全ての面倒を見る日々が始まったのだが、先日も彼女のケアマネージャーさんが「施設のショートステイを利用したり、ヘルパーさん、食事のサービスなどを利用してなるべく介護の手を抜いた方が良いですよ」と言われた。
まあ、そうだろうとは思っている。
今は、泊まりで東京に仕事に行く時は一緒に車で移動している(そのための移動途中で利用できるバリアフリーのトイレマップも足で丹念に調べて作った)。
東京での仕事はなるべく日帰りにしたいと思っているが全てそううまくいくとは限らない。
でも、私は元々家事がけっして嫌いではなかったのであれこれやるのはけっして苦ではない。
ただ、きっとどっかで手を抜かないとへばってくるのかナ?とは思っている。
理想は、「頑張らずに頑張る」。
一昨日も脳卒中から復帰した友人と喫茶店でおしゃべりをして彼からも同じことを言われた。
彼曰く「頑張ると絶対に身体が固まってしまう。そうするとできることもできなくなってしまう。それがリハビリには一番悪い結果をもたらしてしまう」。
要は力の抜き方なのだろうと思う。
楽器も同じこと。一生懸命やればやるほど指も身体も固くなって本来の演奏ができなくなってしまう。
最近の私は楽器の練習をしながら何度も柔軟体操をやっている。そうしないと身体が固過ぎて楽器が思うように演奏できないからだ。
身体と精神を最もほぐすのは「笑い」だとも言われている。
きっとすべて笑いながらやれば良いのかもしれない。