「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

超越性 Long Good-bye 2022・11・17

2022-11-17 04:59:00 | Weblog



   今日の「 お気に入り 」は 、田原総一朗・佐藤 優 共著 「 人生は天国か 、
  それとも地獄か 」から 、佐藤 優 さんの 文章のひとくだり 。

   引用はじめ 。

  「 ヨーロッパでは 、総合大学 ( University ) と呼ばれるためには 、
   神学部を擁することが必要条件です 。法学 、哲学 、文学 、医学 、
   工学など神学以外の学問は 、何かしら人の役に立つ『 実学 』といえ
   るでしょう 。これに対して神学は 、人間の役に立たない『 虚学 』
   です 。
    キリスト教では 、人間は原罪を負っていると考える 。したがって 、
   そのような人間に積極的な価値を見出すヒューマニズムを 、神学は
   拒否します 。人間の知的営為を信頼した学問を 、キリスト教は拒否
   するのです 。ですから 、キリスト教は反知性的な宗教であり 、神学
   は『 虚学 』に他なりません 。
    私は 、この神学を学ぶことで 、自らの限界を知りました 。同時に
   限界の外部に 、目には見えないが確実に存在する事柄があることに
   気づいたのです 。私は 、この外部に存在するいわば『 超越性 』の
   おかげで 、自らの狭い経験や知識の限界を突破して自由になることが
   できました 。この『 自由 』が 、外交官としてソ連崩壊や新生ロシ
   アの混乱を観察するときにも 、独房に囚われていたときにも 、拠って
   立つ基盤となったのです 。

   虚学であるがゆえに 、危機的な状況で人間の役に立つ神学という不
   思議な知を 、同志社大学神学部で 、全人格を賭して教育に従事する
   優れた神学教師たち 、そして他者を自己よりも大切にする友人たち
   から学びました 。  
    彼らと対話し 、書物を読み 、さらに対話を重ねた六年間 ……
   その時間に自ずと身の内に蓄積されたものを『 教養 』だといって
   いいのかもしれません 。」

  「 振り返ってみれば 、父母や好きだった先生たちは 、みな私を子ども
   扱いせず 、きちんと一人の人間として受け止めてくれました 。そして 、
   私の質問について真剣に考え 、またごまかさずに答えてくれました 。
    このように多様な 、そして魅力的な人たちとの対話は 、確実に 、その
   後の私の人生を拓いてくれたのです 。 」

    引用おわり 。

   読んでよかった 。



コメント
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