「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2007・08・21

2007-08-21 09:10:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」。


  青蛙以上に 勝る青はなく (伊丹三樹彦)
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2007・08・20

2007-08-20 08:40:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」。

   水の色すいと裂いたるさよりかな

   白鳥の花のやうなる浮寝かな (長谷川櫂)
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2007・08・19

2007-08-19 08:10:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」。

  われ行けばわれに随き来る瀬の音の
       寂しき山をひとり越えゆく

  瀬の音の岩にひゞきて岩のうへの
      椎の繁りは風絶えにけり

  日ざかりの暑さをこめて楢の木の
       一山は蝉のこゑとなりけり  (太田水穂)
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2007・08・18

2007-08-18 08:45:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)の「無想庵物語」から。

 「往年の旅行者たちは自在に外国人と語りあったようなことを言う。西洋婦人との間に恋物語があったように言うが、私は疑わしく思っている。日本人であることを忘れたかのような話は本当らしくない。いたるところのショーウィンドウにうつったのは、あの土け色の顔ではなかったか。
 旅行者の多くは本音をはかない。帰ればほかのことでは争っても、その身が西洋人と似たものであったということにかけてはかたく結束して留守中の我々をあざむいてなん十年になるひとり漱石にモデルがあるのにだれも本当のことを言わないうちに星移って何十年、毎年何百万の旅行者が海外に行くようになってしまった。
 彼らは文化ショックをうけるかというとうけない。あれは『はとバス』の海外版だと私は言ったことがある。日本がそっくりそのまま移動しているのだからショックのうけようがないのである。ロバは旅をしても馬になって帰ってくるわけではないという私の大好きな諺がある。私のことを言っているのだと感服した。繰返すが私は西洋人のなかに日本人と同じ所を見て違う所を見ない。」

 「当時も今も私は人間にしか関心がない。それはいいが西洋に行って、日本と同じものを見たのでは行った甲斐がない
 然り、行った甲斐がないのである。私はただはげしい文化ショックを受けただけである漱石はロンドンに住んだ二年あまりはもっとも不愉快な二年だったと言った。自分を水の中の油、狼のなかのむく犬のようだったと書いている。漱石は雲つくようなイギリス人のなかにあって、子供かと見られた。その上あばたである。漱石は茶の会によばれてフロックコートを着てシルクハットをかぶったら、一寸法師がイギリス人のような恰好をしていると言われた。教育のないものはまじまじと見て、支那人にしてはハンサムだと言った。教育のあるものは言わないが、内心同じことを思っているにちがいない
 鷗外はそう思わなかったようだ。ドイツ人を相手に論争して論破したり、演説したりしている。性質というものは人によって違うが、日本人の半ばは漱石のように感じたとみていい。容貌風采のことだけではない。文化ショックを受けること今も昔も変らないはずなのに、このごろそのことを全く聞かないのは、今は団体でぞろぞろ行くから日本国がそのまま移動してショックをうける性質の人も受けないで帰るのだろう。」

  (山本夏彦著「無想庵物語」文藝春秋社刊 所収)
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2007・08・17

2007-08-17 08:35:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」。

   嚏(くしゃみ)する咳(せき)する小さく放屁(ほうひ)する
         連れゆく犬はわが真似をする (寺田陽子)
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2007・08・16

2007-08-16 08:55:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」。

   文賢くて羞恥なし羽蟻(はあり)の夜 (飯田龍太)
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2007・08・15

2007-08-15 08:45:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」。

   通夜の席に笑声起こる死は所詮
        他人事にてビールがまはる (山本かね子)

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2007・08・14

2007-08-14 07:55:00 | Weblog
今日の「お気に入り」。

  とりかえしつかないことの第一歩
    名付ければその名になるおまえ 

  バンザイの姿勢で眠りいる吾子(あこ)よ
    そうだバンザイ生まれてバンザイ (俵 万智)




  
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2007・08・13

2007-08-13 08:44:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」。

  山のうへに、かそけく人は住みにけり。
       道くだり来る心はなごめり 


  燈(ひ)ともさぬ村を行きたり。
       山かげの道のあかりは、月あるらしも

                      (釈超空

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2007・08・12

2007-08-12 09:00:00 | Weblog
今日の「お気に入り」。

  鳴き声は上げぬものかな浅蜊をば
      熱き味噌汁にどどと落せり

  次々に走り過ぎゆく自動車の
      運転する人みな前を向く (奥村晃作) 
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