
古くからの友人の母国を訪ねた。本人の帰省期間に合わせた短い日程だったが、大変に周到な準備がなされた案内を得て、観光客では手の届かない訪問先も紹介された。旅行の目的は、北島のホークスベイ周辺のワインと、関連して環境、農業、食材の観察。
オークランド空港に着くなり、友人夫妻とレンタカーでホークスベイのネイピア市を目指す。途中タウポの湖畔で昼食と休憩(といち早く買い物)。400Km以上の道のりを7時間ほどかけて夕刻に到着。夏の終わりにあたる季節で、沿道の景観は極度のモノカルチャーという印象。原生でない森、牧草地、カボチャや飼料作物の農地が延々と連なるゆるやかな起伏の風景。所々に原生林があり全く異質な景観を示す。
ネイピアは、1931年の大地震で破壊されたが、再建にあたって多くの建物がアールデコの様式で建設された。植民地らしくない(?)優雅なたたずまいである。宿泊したホテルも非の打ち所がない様式美を見せていた。ホテルのパブとレストランは「NZでNo.1」を自称するだけあって、違和感のない洗練された料理が提供されていた。ワインと現地でお初の対面であった。軽快なソーヴィニョン・ブランで始めて、シャルドネ(以上白)、さらに赤へ。ピノ・ノワルはやや甘めで優雅。驚いたことに(失礼)、シラーとメルローは実のあるしっかりした作りだった。子羊のフィレもチェダーチーズも期待に違わない品質だった。
翌日はブドウ園とワイン醸造場めぐり。ワインに余り興味のなさそうな英語圏の相客達(カナダ+連合王国)とマイクロバスで移動。エコロジカルな栽培と醸造を強調する小規模な2カ所の蔵と、海外への輸出を目指す大規模な蔵とを見学。最初に訪問したSalvareという小さな蔵が一番本格的だった。3カ所とも隣町のヘイスティングスに位置して、ブドウ以外にも多くの果樹園や野菜畑が見られた。
紙幅の関係で、以下主な観察項目を列挙する。





全体として振り返ると、この社会からは以下のような印象を受けた(あくまで「印象」)。


